10 / 36
第10話 薄くて見えない壁
しおりを挟む
セオドアがブラッドリー邸に滞在している間、地下室から一階の新しい部屋に引っ越しする作業は着々と進められた。蜘蛛の巣や埃を被ったエリオットが一階と地下室を何往復もす姿をよく見かける。セオドアも積極的に手伝ってくれるお陰で、膨大な荷物の移動もさほど時間がかからなかった。
「よかった、セオドアさんが来てから、エリオットがより一層明るくなったみたい。こんなに生き生きとしている姿は初めて見ました。昔からの親友だけありますね」
ある日、ビアトリスは、エリオットのいない所でセオドアと話をした。彼女も新しい部屋の掃除を手伝うなど、少しでも夫の助けになるように働いていた。
「あいつが地下室を出ようと決めたのは、あなたの影響が大きいと思います。僕も今まで散々説得してきましたが、決して首を縦に振ることはありませんでした。あんなに態度が軟化するなんて、どんな魔法を使ったんですか?」
セオドアの冗談にビアトリスも笑ってしまった。彼がいい人でよかった。引きこもるほどの何かを背負った夫の周りには、一人でも明るく信頼できる友人がついて欲しい。
「そうだ、一つ本人には聞きにくいことがあるんです。彼は、お義兄様に並々ならぬ敬意を抱いているようですが、どうしてなのか不思議で。話を聞いていると、何て言うかその、違和感が……」
この機会なので、前から気になっていたことを尋ねてみようと思った。昔からの友人であるセオドアなら詳しい事情を知っているかもしれない。彼女の質問に彼がしかめ面になったところを見ると、心配や懸念もあながち的外れではないと悟った。
「確かにそれは気になるでしょうね。だが、百聞は一見に如かず、あなたが直接ユージンに会って確かめる方が納得しやすいでしょう。すいません、もったいぶるわけじゃないんですが……」
「えっ? 会えるんですか? 余り大きな声では言えないけど、生きてるか死んでるか分からないという噂もあるくらいで……」
「絶対生きてますよ。根拠は、エリオットが冷静なことです。もし、本当にユージンがいなくなれば、もっと取り乱すはず。それが、どっしり構えているのだから、兄の無事を確信しているし、本人から詳しい事情も聞かされていると思います。だから、僕はユージンのことは心配していない。ただ……ユージンが戻って来た時、あなたと対立するんじゃないか、それが心配だ」
「えっ? それはどうしてですか?」
ビアトリスは、思ってもみなかったことを言われ、目を白黒させた。
「あなたの存在がエリオットを変えたからです。彼に地下室を出る勇気を授けた張本人だからです。そんなあなたをユージンがどう受け止めるか、僕には分からない。ユージンとあなたが対立した時、エリオットがどんな判断を下すかも現時点では不明だ」
にわかに不穏な話になってビアトリスは不安を抑えきれなかった。そんな彼女を勇気づけるように、セオドアは微笑みかける。
「そうだ。もし、その件で困ったことになったら王都の僕の家を訪ねて下さい。何らかの助けにはなると思います。名刺を渡しますが、エリオットには内緒ですよ。いや、決して変な意味ではないのでご安心を。僕は、新妻を口説くには道徳的すぎる男ですから」
そう言うと、ビアトリスに名刺を渡しながらウィンクをした。困ったことが起きたら自分を訪ねろとはどういう意味なのか。まるで、ユージンと衝突するのは決まり切っているような言い方ではないか。エリオットが地下室から出ることをユージンは望まないのだろうか。何から何まで意味が分からない。モヤモヤした気持ちのまま、一応名刺を受け取っておいた。
「つまり、お義兄様に直接会えば全てが分かるということですか?」
「ええ。その日は遠からずやって来ると思います。でもあなたは強い女性とお見受けしました。絶対に克服できるはずです。その上で、誰かに相談したくなったら僕を頼って下さい。これでもエリオットのためになりたいんです」
セオドアは、この時ばかりは冗談を交えず、ビアトリスの瞳をまっすぐ捉えて言った。この人の言うことに嘘はない。きっと夫と自分の助けになってくれる。ビアトリスはそう判断した。この先何が待ち受けているか分からないが、一人じゃないことだけ分かれば今は十分だ。
数日後、エリオットの引っ越しが完全に終わったのを見届けてセオドアは王都の自宅へ戻って行った。冷やかし役がいなくなり、またビアトリスとエリオットの静かな暮らしに戻ったが、エリオットが一階の部屋に移動したという点で前と大きく異なっている。エリオットは大分広く明るくなった部屋に所在なげに座っていた。
「やっぱりまだ落ち着きませんか?」
自分の部屋にいるのに、どこか緊張の色を隠せないエリオットにビアトリスが話しかける。やはり、気持ちの整理がまだついていないらしい。
「うん……正直言って、地下室の方が守られている感じがまだある。明るい場所にいると落ち着かなくて……でも読んだり書いたりする分には便利だよ。前もって散歩を始めて予行練習しておいたのはよかった」
「時間の経過と共に、徐々に慣れてきますよ。誰でも最初からうまく行く人なんていません」
「じゃあ、夜暗くなれば安心かというとそうでもなくて、場所が変わったら眠れなくて……実は今も寝不足なんだ。なかなかうまくいかないもんだね、はは……」
エリオットは弱々しく笑った。一階に来てから部屋も広くなり、ベッドも穴倉のような万年床から寝心地いい物に変えたはずだ。だが、広い空間だと却って落ち着かなくなり安心できない。独り身という現実がひしひしと迫って来る。
(いや、待てよ? 今は独り身じゃない。結婚してるんだった! 結婚してるのに一人じゃ眠れないっておかしくないか? でもこんなこと言ったらビアトリスが気持ち悪がってしまうよな? どうしよう!)
エリオットは、一人赤面してあたふたした。隣にいるビアトリスにおかしく思われないかとこそっと確認する。幸い彼女はなにも気付いてないようだ。ほっとしたのも束の間、今度は、自分みたいな人間と一緒に寝てくれるわけないだろうと自己嫌悪に陥った。全く、気持ちが乱高下してどうにもならない。
だが、ビアトリスは気付いていた。一人で眠れないのなら、二人で眠ればいいということに。でも、自分から言い出すなんてそんな破廉恥なことできない。いや、夫婦だから破廉恥どころか当たり前なのだが、今の彼女はなかなかその勇気が出なかった。
(やっぱりこんなの普通じゃないよね……でも普通って何? 私も彼も普通からかけ離れているし、今更普通を追い求めたってどうにもならないわよね?)
ここに来る前、ビアトリスの母は新婚の心得として「男性に身をゆだねれば相手がリードしてくれるわよ」と言っていた。それを聞いた時は怖くて仕方なかったが、優しいエリオットはそんな怖いことはしなかった。最初は安心したが、今は? 今もこのままでいいと思ってる? ビアトリスは分からなかった。彼がどう思っているのか、自分がどうしたいのか?
「ねえ、今日はどうする? 疲れたから散歩は休んだ方がいい?」
「うん? いや、いつも通り行こう。いつものようにお昼は外でサンドイッチを食べよう」
「普段も食堂室で一緒に食べない?」
「うん? まあそれはまたおいおい」
二人は、何事もなかったかのようにいつもの会話を続けた。一体、いつまで誤魔化せるのだろう。頭の片隅ではそんなことを考えながら、実際は刹那の安寧を追い求めていた。
★★★
最後までお読みいただきありがとうございます。
恋愛小説大賞エントリー中です。
また何か隠してる?と思ったら清き一票をお願いします!
「忘れられた王女は獣人皇帝に溺愛される」も同時連載中です。こちらはシリアス度高めです。
「よかった、セオドアさんが来てから、エリオットがより一層明るくなったみたい。こんなに生き生きとしている姿は初めて見ました。昔からの親友だけありますね」
ある日、ビアトリスは、エリオットのいない所でセオドアと話をした。彼女も新しい部屋の掃除を手伝うなど、少しでも夫の助けになるように働いていた。
「あいつが地下室を出ようと決めたのは、あなたの影響が大きいと思います。僕も今まで散々説得してきましたが、決して首を縦に振ることはありませんでした。あんなに態度が軟化するなんて、どんな魔法を使ったんですか?」
セオドアの冗談にビアトリスも笑ってしまった。彼がいい人でよかった。引きこもるほどの何かを背負った夫の周りには、一人でも明るく信頼できる友人がついて欲しい。
「そうだ、一つ本人には聞きにくいことがあるんです。彼は、お義兄様に並々ならぬ敬意を抱いているようですが、どうしてなのか不思議で。話を聞いていると、何て言うかその、違和感が……」
この機会なので、前から気になっていたことを尋ねてみようと思った。昔からの友人であるセオドアなら詳しい事情を知っているかもしれない。彼女の質問に彼がしかめ面になったところを見ると、心配や懸念もあながち的外れではないと悟った。
「確かにそれは気になるでしょうね。だが、百聞は一見に如かず、あなたが直接ユージンに会って確かめる方が納得しやすいでしょう。すいません、もったいぶるわけじゃないんですが……」
「えっ? 会えるんですか? 余り大きな声では言えないけど、生きてるか死んでるか分からないという噂もあるくらいで……」
「絶対生きてますよ。根拠は、エリオットが冷静なことです。もし、本当にユージンがいなくなれば、もっと取り乱すはず。それが、どっしり構えているのだから、兄の無事を確信しているし、本人から詳しい事情も聞かされていると思います。だから、僕はユージンのことは心配していない。ただ……ユージンが戻って来た時、あなたと対立するんじゃないか、それが心配だ」
「えっ? それはどうしてですか?」
ビアトリスは、思ってもみなかったことを言われ、目を白黒させた。
「あなたの存在がエリオットを変えたからです。彼に地下室を出る勇気を授けた張本人だからです。そんなあなたをユージンがどう受け止めるか、僕には分からない。ユージンとあなたが対立した時、エリオットがどんな判断を下すかも現時点では不明だ」
にわかに不穏な話になってビアトリスは不安を抑えきれなかった。そんな彼女を勇気づけるように、セオドアは微笑みかける。
「そうだ。もし、その件で困ったことになったら王都の僕の家を訪ねて下さい。何らかの助けにはなると思います。名刺を渡しますが、エリオットには内緒ですよ。いや、決して変な意味ではないのでご安心を。僕は、新妻を口説くには道徳的すぎる男ですから」
そう言うと、ビアトリスに名刺を渡しながらウィンクをした。困ったことが起きたら自分を訪ねろとはどういう意味なのか。まるで、ユージンと衝突するのは決まり切っているような言い方ではないか。エリオットが地下室から出ることをユージンは望まないのだろうか。何から何まで意味が分からない。モヤモヤした気持ちのまま、一応名刺を受け取っておいた。
「つまり、お義兄様に直接会えば全てが分かるということですか?」
「ええ。その日は遠からずやって来ると思います。でもあなたは強い女性とお見受けしました。絶対に克服できるはずです。その上で、誰かに相談したくなったら僕を頼って下さい。これでもエリオットのためになりたいんです」
セオドアは、この時ばかりは冗談を交えず、ビアトリスの瞳をまっすぐ捉えて言った。この人の言うことに嘘はない。きっと夫と自分の助けになってくれる。ビアトリスはそう判断した。この先何が待ち受けているか分からないが、一人じゃないことだけ分かれば今は十分だ。
数日後、エリオットの引っ越しが完全に終わったのを見届けてセオドアは王都の自宅へ戻って行った。冷やかし役がいなくなり、またビアトリスとエリオットの静かな暮らしに戻ったが、エリオットが一階の部屋に移動したという点で前と大きく異なっている。エリオットは大分広く明るくなった部屋に所在なげに座っていた。
「やっぱりまだ落ち着きませんか?」
自分の部屋にいるのに、どこか緊張の色を隠せないエリオットにビアトリスが話しかける。やはり、気持ちの整理がまだついていないらしい。
「うん……正直言って、地下室の方が守られている感じがまだある。明るい場所にいると落ち着かなくて……でも読んだり書いたりする分には便利だよ。前もって散歩を始めて予行練習しておいたのはよかった」
「時間の経過と共に、徐々に慣れてきますよ。誰でも最初からうまく行く人なんていません」
「じゃあ、夜暗くなれば安心かというとそうでもなくて、場所が変わったら眠れなくて……実は今も寝不足なんだ。なかなかうまくいかないもんだね、はは……」
エリオットは弱々しく笑った。一階に来てから部屋も広くなり、ベッドも穴倉のような万年床から寝心地いい物に変えたはずだ。だが、広い空間だと却って落ち着かなくなり安心できない。独り身という現実がひしひしと迫って来る。
(いや、待てよ? 今は独り身じゃない。結婚してるんだった! 結婚してるのに一人じゃ眠れないっておかしくないか? でもこんなこと言ったらビアトリスが気持ち悪がってしまうよな? どうしよう!)
エリオットは、一人赤面してあたふたした。隣にいるビアトリスにおかしく思われないかとこそっと確認する。幸い彼女はなにも気付いてないようだ。ほっとしたのも束の間、今度は、自分みたいな人間と一緒に寝てくれるわけないだろうと自己嫌悪に陥った。全く、気持ちが乱高下してどうにもならない。
だが、ビアトリスは気付いていた。一人で眠れないのなら、二人で眠ればいいということに。でも、自分から言い出すなんてそんな破廉恥なことできない。いや、夫婦だから破廉恥どころか当たり前なのだが、今の彼女はなかなかその勇気が出なかった。
(やっぱりこんなの普通じゃないよね……でも普通って何? 私も彼も普通からかけ離れているし、今更普通を追い求めたってどうにもならないわよね?)
ここに来る前、ビアトリスの母は新婚の心得として「男性に身をゆだねれば相手がリードしてくれるわよ」と言っていた。それを聞いた時は怖くて仕方なかったが、優しいエリオットはそんな怖いことはしなかった。最初は安心したが、今は? 今もこのままでいいと思ってる? ビアトリスは分からなかった。彼がどう思っているのか、自分がどうしたいのか?
「ねえ、今日はどうする? 疲れたから散歩は休んだ方がいい?」
「うん? いや、いつも通り行こう。いつものようにお昼は外でサンドイッチを食べよう」
「普段も食堂室で一緒に食べない?」
「うん? まあそれはまたおいおい」
二人は、何事もなかったかのようにいつもの会話を続けた。一体、いつまで誤魔化せるのだろう。頭の片隅ではそんなことを考えながら、実際は刹那の安寧を追い求めていた。
★★★
最後までお読みいただきありがとうございます。
恋愛小説大賞エントリー中です。
また何か隠してる?と思ったら清き一票をお願いします!
「忘れられた王女は獣人皇帝に溺愛される」も同時連載中です。こちらはシリアス度高めです。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
地味な私では退屈だったのでしょう? 最強聖騎士団長の溺愛妃になったので、元婚約者はどうぞお好きに
reva
恋愛
「君と一緒にいると退屈だ」――そう言って、婚約者の伯爵令息カイル様は、私を捨てた。
選んだのは、華やかで社交的な公爵令嬢。
地味で無口な私には、誰も見向きもしない……そう思っていたのに。
失意のまま辺境へ向かった私が出会ったのは、偶然にも国中の騎士の頂点に立つ、最強の聖騎士団長でした。
「君は、僕にとってかけがえのない存在だ」
彼の優しさに触れ、私の世界は色づき始める。
そして、私は彼の正妃として王都へ……
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
恋愛
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)
【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。
112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。
ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。
ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。
※完結しました。ありがとうございました。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる