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一息つく暇もなく
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『クラディア様を呼び捨てに……無礼な!』
はぁ……オレのつぶやきにすらこんな反応ですか。とても素晴らしい狂信者ですね。
わざわざ反応するのも馬鹿みたいだ。
『うるさいなぁ……』
どうしてそんなにも盲信しているのかわからないけど、誰がどんなやつを呼び捨てにしたっていいじゃん。公的な場所で呼び捨てにしないんだったらいいだろ。
先生のこととかを裏で呼び捨てで呼んでいる生徒なんかごまんといるんだしさ。
そもそも、勇者が魔王を呼び捨てにして何が悪い。敵なんかにいちいち尊称とかをつけるほうがありえない。
こいつはそこまで考えが回らないのかねぇ……。
『もういい。ボルトショック』
これ以上聞くのは何も得るものがないような気がする。もし聞いたとしても、期待する答えが出てこないどころかうるさく喚くだけだ。
偉いやつでこれだもんな……。
「終わったのか?」
「うーん……まぁ、一応は」
「どんな内容が聞けたんだ?」
「それがねぇ……」
今まで話していた内容を人族の言語になおしてから、平井に話した。
平井もオレと同じような感想を言った。
クラディアの件については、もう平井にはいろんなことが知られているからしっかりと省かないで伝えた。
「しっかしなぁ……」
「ん?」
「魔人にした魔族がいるんだろ?そいつを締め上げたほうが……」
そうなんだよね。何かを吐いてくれる可能性があるとするならその魔族なんだよね。
流石にそいつに容赦する気はない。そこの分別はついている。
「もちろんいいよね。個人的にも興味あるし」
「じゃあこいつを連れて五嶋たちの所に戻るか」
「そうだね……?ん……んん?」
クラクラするな……。また倒れるの?それ困るんだよね……弱いとはいえ、魔人はまだ得体のしれないやつなんだから。
とにかく、ここで倒れるのはだめだ。せめて騎士団がいる場所まで戻ってから……。
「……うーん」
「結城?大丈夫か?」
前回倒れたときと同じような予告に平井がウソだろと言うような視線で見つめてくる。
ワタクシにそういった趣味はゴザイマセン……とジョークを言っている場合ではなく、本当にヤバイかも。
視点が定まらないし、色彩がおかしい。白黒が反転したような……。
「多分、ムリ……。でも、外までは歩くから」
「いや、あ……とにかく!騎士団のところまで行くぞ!」
どんなにステータスが高くても、意識を失ってしまえば役に立たない足手まといだもんな。
「……りょーかい……」
またアストールと話でもすんのか?瞳の次はどこの色が変わるのかね……。いや、変わんなくて、他の形で変わるかもしれない。それか、どこも変わらないってこともあるな……。
平井の肩を借りながら民家の外に出ると五嶋たちの方からこちらへ寄ってきた。そして、オレを見るとなにかあったのではないかと心配そうな顔になった。
「……ありがと、う……」
体調さんはタイミングを図っていらっしゃったのでしょうか?村を出た途端、オレは意識を失ったっぽい。
目が覚めたのは……
「知らない天井だ……」
「……何言ってるんですか?」
「佐川、おはよう?」
王宮のオレに与えられた部屋だった。てことは、少なくとも五日は意識がなかったってことか。
佐川がこのネタわからなくて残念。
「もうこんにちは、ですね。調子はどうですか?」
「スッキリしてる」
とても体が軽いんだ。何か重いものがなくなったように。
そうだ、どこか変わっただろうか。
「この前みたいにどこか変わっている?」
「……えぇ。髪が瞳と同じく緋色になってますね」
「……緋色かぁ……」
アストールみたいだな。本当になんなんだろうね、これ。他の人にはない現象だよな。
オレ限定なんて、オレが転生したあとこっちに転移させられて戻ってきたのとかにか関係があるのか……?オレとクラスメイト全員の違いってそれくらいだしね。
考えられる原因として、やっぱり元いた世界に来てしまったからだよな。細かいことはわからないけど、今までの流れだといつかアストールになってしまうんではないだろうか。
そしたらもう人じゃないよな、それだと。
「ぱっと見、日本人に見えませんよね」
「それ、結構傷つくなぁ……」
「あぁ!ごめんなさい……そんなつもりじゃなかったんです」
「大丈夫、あながち間違いじゃないから」
人でなければ日本人でもない。
はぁ……クラスメイトをどうこうとか、フィーリアがどうとかより自分のことをどうにかしないとじゃないか?
それに、いつ倒れるのかわからない状態で旅に出ても大丈夫なものかな。近くに人里がないときオレが倒れたら数日間動けなくなってしまうわけだし……。
「え?ん?どういうことです……?」
「何日も食べてないからお腹空いちゃった」
オレは現在かなりの空腹だ。お腹の虫がなりだした。
「……メイドさん恐るべしです……!」
「え?」
佐川ったら、いきなり何を言い出して……。
「数日ぶりの食事なのでお腹に優しいものを用意させていただきました」
コンコンとドアがノックされて入ってきたのはオレについてくれていたメイドさん。ベストタイミングで、温かい湯気が立っているお粥を持ってきてくれた。
確かにメイドさん恐るべしですね。
はぁ……オレのつぶやきにすらこんな反応ですか。とても素晴らしい狂信者ですね。
わざわざ反応するのも馬鹿みたいだ。
『うるさいなぁ……』
どうしてそんなにも盲信しているのかわからないけど、誰がどんなやつを呼び捨てにしたっていいじゃん。公的な場所で呼び捨てにしないんだったらいいだろ。
先生のこととかを裏で呼び捨てで呼んでいる生徒なんかごまんといるんだしさ。
そもそも、勇者が魔王を呼び捨てにして何が悪い。敵なんかにいちいち尊称とかをつけるほうがありえない。
こいつはそこまで考えが回らないのかねぇ……。
『もういい。ボルトショック』
これ以上聞くのは何も得るものがないような気がする。もし聞いたとしても、期待する答えが出てこないどころかうるさく喚くだけだ。
偉いやつでこれだもんな……。
「終わったのか?」
「うーん……まぁ、一応は」
「どんな内容が聞けたんだ?」
「それがねぇ……」
今まで話していた内容を人族の言語になおしてから、平井に話した。
平井もオレと同じような感想を言った。
クラディアの件については、もう平井にはいろんなことが知られているからしっかりと省かないで伝えた。
「しっかしなぁ……」
「ん?」
「魔人にした魔族がいるんだろ?そいつを締め上げたほうが……」
そうなんだよね。何かを吐いてくれる可能性があるとするならその魔族なんだよね。
流石にそいつに容赦する気はない。そこの分別はついている。
「もちろんいいよね。個人的にも興味あるし」
「じゃあこいつを連れて五嶋たちの所に戻るか」
「そうだね……?ん……んん?」
クラクラするな……。また倒れるの?それ困るんだよね……弱いとはいえ、魔人はまだ得体のしれないやつなんだから。
とにかく、ここで倒れるのはだめだ。せめて騎士団がいる場所まで戻ってから……。
「……うーん」
「結城?大丈夫か?」
前回倒れたときと同じような予告に平井がウソだろと言うような視線で見つめてくる。
ワタクシにそういった趣味はゴザイマセン……とジョークを言っている場合ではなく、本当にヤバイかも。
視点が定まらないし、色彩がおかしい。白黒が反転したような……。
「多分、ムリ……。でも、外までは歩くから」
「いや、あ……とにかく!騎士団のところまで行くぞ!」
どんなにステータスが高くても、意識を失ってしまえば役に立たない足手まといだもんな。
「……りょーかい……」
またアストールと話でもすんのか?瞳の次はどこの色が変わるのかね……。いや、変わんなくて、他の形で変わるかもしれない。それか、どこも変わらないってこともあるな……。
平井の肩を借りながら民家の外に出ると五嶋たちの方からこちらへ寄ってきた。そして、オレを見るとなにかあったのではないかと心配そうな顔になった。
「……ありがと、う……」
体調さんはタイミングを図っていらっしゃったのでしょうか?村を出た途端、オレは意識を失ったっぽい。
目が覚めたのは……
「知らない天井だ……」
「……何言ってるんですか?」
「佐川、おはよう?」
王宮のオレに与えられた部屋だった。てことは、少なくとも五日は意識がなかったってことか。
佐川がこのネタわからなくて残念。
「もうこんにちは、ですね。調子はどうですか?」
「スッキリしてる」
とても体が軽いんだ。何か重いものがなくなったように。
そうだ、どこか変わっただろうか。
「この前みたいにどこか変わっている?」
「……えぇ。髪が瞳と同じく緋色になってますね」
「……緋色かぁ……」
アストールみたいだな。本当になんなんだろうね、これ。他の人にはない現象だよな。
オレ限定なんて、オレが転生したあとこっちに転移させられて戻ってきたのとかにか関係があるのか……?オレとクラスメイト全員の違いってそれくらいだしね。
考えられる原因として、やっぱり元いた世界に来てしまったからだよな。細かいことはわからないけど、今までの流れだといつかアストールになってしまうんではないだろうか。
そしたらもう人じゃないよな、それだと。
「ぱっと見、日本人に見えませんよね」
「それ、結構傷つくなぁ……」
「あぁ!ごめんなさい……そんなつもりじゃなかったんです」
「大丈夫、あながち間違いじゃないから」
人でなければ日本人でもない。
はぁ……クラスメイトをどうこうとか、フィーリアがどうとかより自分のことをどうにかしないとじゃないか?
それに、いつ倒れるのかわからない状態で旅に出ても大丈夫なものかな。近くに人里がないときオレが倒れたら数日間動けなくなってしまうわけだし……。
「え?ん?どういうことです……?」
「何日も食べてないからお腹空いちゃった」
オレは現在かなりの空腹だ。お腹の虫がなりだした。
「……メイドさん恐るべしです……!」
「え?」
佐川ったら、いきなり何を言い出して……。
「数日ぶりの食事なのでお腹に優しいものを用意させていただきました」
コンコンとドアがノックされて入ってきたのはオレについてくれていたメイドさん。ベストタイミングで、温かい湯気が立っているお粥を持ってきてくれた。
確かにメイドさん恐るべしですね。
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