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前編
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「突然になってすまないが、本日をもって婚約破棄させてもらう」
婚約者である三つ年上のアブロフが、ある春の日の朝、突然そんなことを告げてきた。
けれどもそれほど驚きはなかった。というのも、彼は元々私のことをあまり良く思っていないようだったのだ。直前までご機嫌だった時も、女性と盛り上がっていた時も、私を見た瞬間物凄く冷めたような顔をするのだ。露骨だったので、非常に分かりやすかった。
彼と出会ってから今日まで、私は、彼に良く思われているなんて思ったことは一度もない。
現実が見えていないわけではない。
むしろこれまでそういう話にならなかったのが不思議なくらい。
「もはや君を愛すことはできない。なぜなら、君は俺に相応しい女性ではないからだ。もちろん容姿のことだけを言っているわけではない。容姿もそうだが、性格や能力、忠誠心もそうだ」
忠誠心? ふざけないでほしい。なぜ尊敬しているわけでもないアブロフに絶対的な忠誠心を抱かなくてはならない? そんなことを口にできる精神がとても私には理解できない。私を奴隷とでも思っているのか? ならそれは勘違い。婚約者や妻というのは奴隷ではない。
だか、そんなことを言ったところで、彼はきっとまともに聞こうとしないだろう。
婚約者である三つ年上のアブロフが、ある春の日の朝、突然そんなことを告げてきた。
けれどもそれほど驚きはなかった。というのも、彼は元々私のことをあまり良く思っていないようだったのだ。直前までご機嫌だった時も、女性と盛り上がっていた時も、私を見た瞬間物凄く冷めたような顔をするのだ。露骨だったので、非常に分かりやすかった。
彼と出会ってから今日まで、私は、彼に良く思われているなんて思ったことは一度もない。
現実が見えていないわけではない。
むしろこれまでそういう話にならなかったのが不思議なくらい。
「もはや君を愛すことはできない。なぜなら、君は俺に相応しい女性ではないからだ。もちろん容姿のことだけを言っているわけではない。容姿もそうだが、性格や能力、忠誠心もそうだ」
忠誠心? ふざけないでほしい。なぜ尊敬しているわけでもないアブロフに絶対的な忠誠心を抱かなくてはならない? そんなことを口にできる精神がとても私には理解できない。私を奴隷とでも思っているのか? ならそれは勘違い。婚約者や妻というのは奴隷ではない。
だか、そんなことを言ったところで、彼はきっとまともに聞こうとしないだろう。
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