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2話「私はいつも笑いものです」
しおりを挟む「私は何も言っていません」
「嘘をつくな! ならいいさ、この際ここで皆の前で言ってやる。先日『お前は見た目も性格も不細工』というようなことをいきなり近寄っていって言ったそうじゃないか!」
いやいやいや……。
おかしい、おかしすぎる。
私は何もしていない。
「それは嘘です」
「何だと!?」
「あるいは勘違いでしょう」
「まだ嘘をつくのか!?」
「ですから、アンターニアさんの主張が間違っているのだと思われます」
ここは引けない。
私の名誉のためにも。
「私はアンターニアさんにそのような言葉は投げつけていません」
「嘘だ!」
「いいえ、嘘ではありません」
「言い返すな! 女のくせに生意気な!」
「……話を逸らさないでください」
アッシュは眉間にしわを寄せた。
「っ……、本当にどこまでも生意気な女だな。王女だからと勘違いしているのだろうがお前はここでは最下級の立場だ! 分かっているのか!」
渋いものでも口にしてしまったかのような顔をしながらも高圧的に言葉を発してくる。
「最下級? それは奴隷のような扱いを受けて当然ということですか?」
「ああそうだ!」
「……それは、すみませんが私には理解できませんね」
そんな風に暫しやり取りをして、その果てに。
「まぁいい、いずれにせよお前とはもうおしまいだ。お前は今すぐここから出ていけ! そして二度と戻るな!」
皆の前でアッシュに捨てられることとなった私は、茶会の場でまで笑いものとなってしまったのだった。
だがこれで解放される。
もうアンターニアに虐められることはない。
多少の嬉しさはあった。
もちろん、王女としては、アッシュに捨てられたことは恥ずかしいことかもしれない――けれども私個人としてはある意味幸運だったのかもと思う部分もあって。
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