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2話
しおりを挟む正直、あまり良く思われていないだろうな、とは思っていたけれど、まさかウィロウからではなく彼の母親から直接宣言されるとは思っていなくて――その点に関してはかなり驚きだった。
「え、あの……ウィロウさんもそれでいいと仰っているのですか?」
「何を言っているのかしら。我が家ではあたしが言うことがすべてよ。あたしが決めたことに反論する者なんていないわ」
「ええ……」
いきなり聞かされるウィロウの家の謎文化。
「だからあたしがそう決めて言ったならそれがすべてなの」
「は、はい……そうですか……」
決定権は彼女以外にはない、ということか。
「だからね? ミレイさん、貴女はさっさと消えて」
「ええっ」
「いいわね? もう二度とウィロウにも我が家にも近づかないでちょうだいね?」
静かながら圧がある。
「は、はい、分かりました」
深く考えず返事をしたのだが。
「本当に分かっているの!?」
急に大声を出されてびくっとなってしまう。
なぜいきなり叫ぶの?
どうして大声を出すの?
言いたいことは色々ある。
でも、ここでそんなことを言ったところで絶対にややこしい話になるだけなので、このタイミングで思考を言葉に変えることはしない。
「はい。分かっております。では私はこれで、失礼いたします」
一礼し、ウィロウの家から去った。
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