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前編
しおりを挟むその日、私は、三つ年上の親戚のお兄さんと会って話をしていた。
すると夜になって婚約者クトルネースから連絡があって。急なことで珍しい、と思っていたのだが、その話というのが婚約破棄だった。
「他の男とあんな仲良さげに喋って! 信じられない! よって、婚約は破棄とする!」
「勘違いよ、あれは親戚の人なの」
「嘘だ! 嘘つきだ! 大体なぁ、浮気者ほどそういうこと言うんだ。で! 相手を傷つけるんだ! そして、傷ついた人を見て、二人で笑うんだ!」
クトルネースは少々被害妄想が多い人だったので、この時もしっかりそれが発動してしまっていた。
「待って、何言ってるのよ」
「俺を馬鹿にして笑っていたんだろう!? 二人して!!」
「意味が分からないわ」
「もういい! 婚約は破棄、つまり俺たちは他人となる! ここでさよならだ!」
こうしてクトルネースは一方的に婚約を破棄した。
だが彼はただでは済まなかった。
勝手に勘違いして勝手に私との関係を終わらせて――親戚のお兄さんはそんな自分勝手なクトルネースを許さなかったのだ。
ろくに話も聞かず、思い込みで関係を終わらせた。
そのことに対してお兄さんは怒っていた。
――そしてクトルネースはその身勝手な行動を世へばらされてしまうこととなる。
親戚のお兄さんはメディア系の仕事に就いていて、だから、特定の情報をばらまき世へ出すくらい容易いことだった。
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