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序 こんな肉体に誰がした
ところで俺のポテト(意味深)はどこ?
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「贅沢チーズバーガーと……ポテトのMセットで」
Lは最近胃が辛いんだよなぁと躊躇した結果がこれだが、いつからこんな風になってしまったのか。疲れてるだけという事にしたい。そもそも夜にファーストフードを食う時点で若いと思いたいが、こんな事を店でごちゃごちゃ考えている時点で若さとは遠い。若さとは振り向かない事なのだ。
35歳。正直に言えばまだ若いとは思う。今から何か別の事を始めたって遅くはない。人生は割と長い。
おそらく普段、大学生のバイトやら小中学生の生徒とばかり居るのがいけない。あいつらの体力は恐ろしい。体力だけはどうしようもない、あと胃。
だが同時に……俺も大学出てすぐ結婚してたらこれぐらいの子供が居る父親だったのか、とも思う。こんな人間が父親でいいのか、良くはない。少なくとも俺は嫌だ。
でも俺よりもひどい父親を沢山見てきたのでひどい世の中だ。
テイクアウトにしたので抱えて帰る。駅前に店があるとついこうして買ってしまう。
チーズと肉、バンズ、揚げたてのポテト、コーヒー。全ての香りが混ざって最高に腹が減る匂いだ。
「なんかゴロゴロ言ってんなあ……」
腹ではない。空からだ。
暗くてよく分からないがひと雨来るのかもしれない。
急いだ方がいいかもしれない、そう思った瞬間ーーーー
世界が、真っ白になった。
◇
白。
白白白。無音。何も見えない。聞こえない。
(何があった……?)
帰路だった。雨が降りそうだった。そこまでは覚えている。それでーー
「あ、動かないで下さいね♡」
女性の声だ。少し甘ったるいが、何故か看護師を連想する。
もしかして俺は病院にいるのだろうか、白いのは病室の壁かあるいは目元を包帯で覆われているからか。
「うーん……やっぱり赤い瞳がいいですかね」
うん?
「うんうん、瞳は意志の強そうな紅色にしましょう。髪も揃えた方がいいですよね。おっぱいはどうしましょう……お尻をちょっと大きめにしたので、バランスが取れるぐらいにはあった方がいいですかねぇ? それとも控えめな方が可愛らしいかしら♡」
俺は尻が大きければそれで充分だが。いやそうじゃない。
「おい」
「あ、動かないで下さいってば」
「うぉい!!」
怒鳴った瞬間はヘリウムガスでも吸ったのか、と思った。
喋ったはずの声が違う声として発声される気持ち悪さは、自分の声を録音して聴いた時の感覚に近い。あれは今思い出しても本当に死にたかった。授業風景の録画もいまだに見返せない。
だがこの声は妙に高い。高いと言うか、可愛い……いや、俺の声だぞ。
「あ……あー? 何だ、これ」
「んもう、危ないですよ? まだ完全じゃないんですから」
目が慣れてくると、ここが病院では無いことがわかる。どこかの……どこだここ。
こんな場所は知らない。ギリシャだかローマだかを一瞬連想したが、行ったことがないので分からない。神殿か何かのような、白い石造りの建物のようだった。少なくとも病院ではない。
少なくともほぼ布を巻いてるだけと言っていい半裸の格好の医者や看護師がいる病院はないだろう。患者なら別かもしれないが。
あとこの女、なんか髪がやたら飛び出ていて……なんか……
「蟹……」
「はい?」
「いや……誰だ、何だこれ、どういう状況だ……」
焦燥感が襲ってくる。ここは、どこだ。何故こんな場所にいる?
この女は何だ?
ここは病院ではない。ならばどういう事だ。俺は確か夕飯を買って、それで、それでーーああ、これは、俺は混乱している。
「あ、お、落ち着いて下さい! 大丈夫です。あなたは生まれ変わりました」
「は?」
半裸の蟹女が肩を掴んでいる。力強い。というか、この女妙に……でかい気がする。
「混乱するのも無理もありません……もっと後でゆっくりと目覚めた時に説明するつもりだったんです、すみません」
女は俺の目を見て申し訳なさそうに微笑んだ。西洋の血だろうか、彫りの深い顔立ちに薄い緑色の瞳が揺れている。
口調がのんびりしているせいか、あるいは肩を掴まれているせいか分からないが、とりあえず俺のパニック状態は収まりつつあった。意味は分からないが。
それにしても……でかい。背だけではない。柔らかい。この感触、偽物ではない。でもなんか妙に柔らかすぎる気がする。
「あの、あの……言い難いんだけど、当たって」
「あらごめんなさい。ふふ、やっぱりあんまり大きくしすぎなくて良かったわ。これぐらいがいいわね♡」
女は微笑んだまま。
俺の乳房を。
おっぱいを。
揉み始めたのだった。
おっぱい?
「ああああああ!?」
「あら?」
「おおおお俺ぇ!!!!!?何!!????」
目が覚めたら半裸の女がいて、どこだかよくわからなくて、俺にはおっぱいが生えていた(そして揉まれた)。訳が分からないよ!!!!
Lは最近胃が辛いんだよなぁと躊躇した結果がこれだが、いつからこんな風になってしまったのか。疲れてるだけという事にしたい。そもそも夜にファーストフードを食う時点で若いと思いたいが、こんな事を店でごちゃごちゃ考えている時点で若さとは遠い。若さとは振り向かない事なのだ。
35歳。正直に言えばまだ若いとは思う。今から何か別の事を始めたって遅くはない。人生は割と長い。
おそらく普段、大学生のバイトやら小中学生の生徒とばかり居るのがいけない。あいつらの体力は恐ろしい。体力だけはどうしようもない、あと胃。
だが同時に……俺も大学出てすぐ結婚してたらこれぐらいの子供が居る父親だったのか、とも思う。こんな人間が父親でいいのか、良くはない。少なくとも俺は嫌だ。
でも俺よりもひどい父親を沢山見てきたのでひどい世の中だ。
テイクアウトにしたので抱えて帰る。駅前に店があるとついこうして買ってしまう。
チーズと肉、バンズ、揚げたてのポテト、コーヒー。全ての香りが混ざって最高に腹が減る匂いだ。
「なんかゴロゴロ言ってんなあ……」
腹ではない。空からだ。
暗くてよく分からないがひと雨来るのかもしれない。
急いだ方がいいかもしれない、そう思った瞬間ーーーー
世界が、真っ白になった。
◇
白。
白白白。無音。何も見えない。聞こえない。
(何があった……?)
帰路だった。雨が降りそうだった。そこまでは覚えている。それでーー
「あ、動かないで下さいね♡」
女性の声だ。少し甘ったるいが、何故か看護師を連想する。
もしかして俺は病院にいるのだろうか、白いのは病室の壁かあるいは目元を包帯で覆われているからか。
「うーん……やっぱり赤い瞳がいいですかね」
うん?
「うんうん、瞳は意志の強そうな紅色にしましょう。髪も揃えた方がいいですよね。おっぱいはどうしましょう……お尻をちょっと大きめにしたので、バランスが取れるぐらいにはあった方がいいですかねぇ? それとも控えめな方が可愛らしいかしら♡」
俺は尻が大きければそれで充分だが。いやそうじゃない。
「おい」
「あ、動かないで下さいってば」
「うぉい!!」
怒鳴った瞬間はヘリウムガスでも吸ったのか、と思った。
喋ったはずの声が違う声として発声される気持ち悪さは、自分の声を録音して聴いた時の感覚に近い。あれは今思い出しても本当に死にたかった。授業風景の録画もいまだに見返せない。
だがこの声は妙に高い。高いと言うか、可愛い……いや、俺の声だぞ。
「あ……あー? 何だ、これ」
「んもう、危ないですよ? まだ完全じゃないんですから」
目が慣れてくると、ここが病院では無いことがわかる。どこかの……どこだここ。
こんな場所は知らない。ギリシャだかローマだかを一瞬連想したが、行ったことがないので分からない。神殿か何かのような、白い石造りの建物のようだった。少なくとも病院ではない。
少なくともほぼ布を巻いてるだけと言っていい半裸の格好の医者や看護師がいる病院はないだろう。患者なら別かもしれないが。
あとこの女、なんか髪がやたら飛び出ていて……なんか……
「蟹……」
「はい?」
「いや……誰だ、何だこれ、どういう状況だ……」
焦燥感が襲ってくる。ここは、どこだ。何故こんな場所にいる?
この女は何だ?
ここは病院ではない。ならばどういう事だ。俺は確か夕飯を買って、それで、それでーーああ、これは、俺は混乱している。
「あ、お、落ち着いて下さい! 大丈夫です。あなたは生まれ変わりました」
「は?」
半裸の蟹女が肩を掴んでいる。力強い。というか、この女妙に……でかい気がする。
「混乱するのも無理もありません……もっと後でゆっくりと目覚めた時に説明するつもりだったんです、すみません」
女は俺の目を見て申し訳なさそうに微笑んだ。西洋の血だろうか、彫りの深い顔立ちに薄い緑色の瞳が揺れている。
口調がのんびりしているせいか、あるいは肩を掴まれているせいか分からないが、とりあえず俺のパニック状態は収まりつつあった。意味は分からないが。
それにしても……でかい。背だけではない。柔らかい。この感触、偽物ではない。でもなんか妙に柔らかすぎる気がする。
「あの、あの……言い難いんだけど、当たって」
「あらごめんなさい。ふふ、やっぱりあんまり大きくしすぎなくて良かったわ。これぐらいがいいわね♡」
女は微笑んだまま。
俺の乳房を。
おっぱいを。
揉み始めたのだった。
おっぱい?
「ああああああ!?」
「あら?」
「おおおお俺ぇ!!!!!?何!!????」
目が覚めたら半裸の女がいて、どこだかよくわからなくて、俺にはおっぱいが生えていた(そして揉まれた)。訳が分からないよ!!!!
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