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序 こんな肉体に誰がした
目が覚めたら(たぶん)女勇者だった件について ★
しおりを挟む「というわけで、あなたは生まれ変わりました。この世界に勇者として転生し、新しい肉体と名を授けます。アデリア……アデリア・ヤリ・マンチーニです」
「ヤリマン……」
「マンチーニ。由緒正しい家柄ですよ」
半裸の蟹女……女神が言った。俺の名前はアデリアヤリマンらしい。
カツオがちんことか、乾杯がチンチンだとか、珍満軒とか、そういうあれだろうか。
サッカー選手にも居た気がする。
何がというわけなのか分からないが、俺は死んで転生したらしい。
「勇者っすか」
「はい♡」
ゲームをやる時間が無くなって随分経つ。いやぼんやりスマホで動画を見ている時間でゲームぐらいいくらでも出来ただろう。
俺は勇者でも冒険者でも傭兵でもモテモテでもなく、何でも吸い込む星の人でもない。正直に言えば、虚しくなってしまったのだ。現実逃避すればするほど現実を突きつけられる事に、俺は耐えられなかった。
最後に寝ずにゲームをやったのは確か大学の頃だ。勇者なんて存在はそんな遠い過去だ。
「……なるほど」
たぶん夢だろうとは思った。よく生徒が読んでる漫画や本の設定にあるやつだ。アニメでも見たことがある。
だいたい死んで転生ってそんな、そんな馬鹿な話があるか?
「おい、いつまで揉んでるんだ」
「あらごめんなさい、可愛らしくてつい」
ようやく蟹女神が俺の乳房を揉むのを止めた。特に気持ちいいとかは無いのだが、何となく落ち着かない。どちらかといえば揉みたい。
ただ、初対面の女性に(文字通り)身に覚えのないおっぱいを揉まれるというのも貴重な体験ではあった。
「ふふっ、やっぱりいいですねえ。むちむちでとても可愛いです」
女神が俺を眺めてニコニコしているのも妙な感じだ。可愛い可愛いと言われても、まだ自分の顔すら見ていない。
顔。変わったのだろうか。そしてこの肉体。おそらく以前より背が低い。関節が柔らかい。いや柔らかいのは関節だけでは無いのだが。あとなんか腰周りがでかい気がしないでもない。比較の問題ではあるが。
「お気に召しましたか? 勇者様は可愛らしいでしょう」
蟹女は鏡の前に案内し、笑顔で一緒に覗き込む。確かにそこには、紅い髪と瞳が印象的な美少女が居た。少し気が強そうで、むちむちしていて、でも長い睫毛や白く細い首がどこか儚げでもある。勇者という印象はあまり受けない。
どちらかと言えば、知り合いや生徒にいてもおかしくないような普通の女の子だ。
「気になってることがあるんだけど」
「なんでしょう?」
「元のっていうか……この、勇者だった子はどうなったんだ?」
俺がこの異世界──どこだかはわからんし、そもそもまだこの神殿っぽい場所から1歩も出ていないのでこの女に騙されている可能性もある──に居るのはまあいいとして、いや良くは無いが、この明らかに俺のものではない少女の肉体は誰のものなのだ?
「勇者様、その肉体はただの器。勇者様の魂をこの世に存在させるための依代です」
うつわ。よりしろ。中身はいないのか。
「言うなれば……そうですね、勇者様の世界の言葉をお借りすれば、その肉体は人型のロボット……アンドロイドであり、勇者様の魂がオペレーションシステムです。元素はほぼ同じですので生身の娘と変わりありませんが」
にっこりと蟹女は笑う。
限りなく人に近いが魂は人ではないという事だろうか。
魂。魂ってなんだ?
「そらまた……凄いテクノロジーですこと」
「うふふ」
とはいえ、俺がOSなら尚更この少女が俺である必要はない。
それに確かに俺は碌でもないただのおっさんでもう死にたいとか隕石が降ってこないかとか何とか言ってはいたが、実際に死にたかったわけじゃない。
だって、じゃあどうなるんだ。仕事は。教室は。生徒達は。親御さんは。バイトのガキ共は。パートのおばちゃんは。事務のねーちゃんは。本社のクソ共……はどうでもいいか。友人は。田舎の両親は。年末にだけ会う幼なじみは。あと週末に約束していた元カノは。色々な意味で未練タラタラだ。
「キャンセルとか出来ませんかね? 貴女神様なんでしょう?」
夢だとは思いつつ、交渉してみる。
「残念ながら~~。私、創造の神に属するんです。だから創る事は出来るんですけど、その、元通りにするとか、治すとか、生き返らせるとかは……創り直す事になっちゃうんです。えへへ♡」
万能ではないらしい。えへへ♡ではない。
俺の夢も何だかよく分からんな。
とりあえず俺は女の子になって、どうやら勇者らしい。
肌質は十代と言っても良さそうだが、わりとしっかりした尻とむっちりした太ももが正直気に入っている。ぷにぷにした腕とそれなりの存在感のある乳房もいい。まだ直接見てはいないが、きっと形も悪くないだろう。
何よりお腹がすべすべだ。産毛すら柔らかい、あと、自分の指も柔らかい。
ほっぺたもふわふわだし、唇だってぷるぷるだ。ふふ、女の子は気持ちがいいな。
「……何してるんだ」
「あ、最終チェックです♡」
女神が俺の腕を上げたり下ろしたり、瞼を引っ張ったり、口を開けさせたり、なかなか忙しい。
「おっ、おい」
「ちょっと待っててくださいね~~♡」
「まてまて……ひゃ!」
尻!!!!!
ありえない事に、蟹女は俺の背後で尻の布をめくりあげて、尻たぶを広げている。ナニが見えるというのか。俺のブラックホールか。
「ななななにして」
「たまにあるんですよ、穴を創り忘れたり……えいっ」
ぬぷっ。
ぬぷぬぷぬぷ。
いやいやいやいやいやいやいやいや何だこれん何だこれ何だこれ熱い痛い何だこれ棒? 指か!?
「あ”あ”あ!!!?」
「あ、ちゃんと開いてますね。良かった。じゃあ奥は……」
ぬぷぬぷぬぷぬぷ。
ゆ、指が、動い……いや、いやいやいやいやどこだここ????
「すぐ済みますからね~~」
「!!!!!????」
熱い熱い熱い熱いいや痛い痛い痛いんだこれ。
何かが動いているのが気持ち悪い。
「な、な、何してるの、やめろ、痛い、気持ちわる……」
「大丈夫ですよ~~ちゃんと気持ち良くなりますから。えっと、このへんかな?」
こりっ。
ナカで何か引っ掻いた……ような……。
「!?」
「あ、大丈夫そうですね♡ じゃあ次行きましょう~~」
ちゅぽん。
指? が引っこ抜かれた。まだジンジンする。
が、休む間もなく──
「うぇ……っぁ……?」
ずぶ。
「んああああああ?!」
痛い痛い痛い痛いアホか! ここは、そこは。
「けっ、ケツの穴じゃねぇか! 何してるんださっきから!!」
俺はキレた。決してケツの穴がキレた訳では無い。
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