ツヨシくんとトモカちゃん

雨川 海(旧 つくね)

文字の大きさ
8 / 33
ツヨシくん編

夢見

しおりを挟む
 お暑ぅございます。愛妻家のツヨシです。
 本日も、レッツ、ゴーだ!


 ある日の朝食の時、僕がフンフンと鼻歌交じりにパンにバターを塗っていると、トモカちゃんから待ったが掛かります。

 これは大変です。鼻歌の節が外れていたのでしょうか? 絶対音感もなく、長調と短調の違いも解らない僕としては、音痴のまま、不快なハミングを垂れ流していた可能性があり、トモカちゃんに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 ところが、トモカちゃんが問題視しているのは、食パンの消費期限が切れている事であって、僕の賞味期限、いや、音楽性の問題ではない事が解りました。
 いやはや、流石、主婦の鑑です。

 ただ、食材を無駄にした罪悪感は拭えないようで、いきなり祈り始めます。
 お財布と神様とツヨシくんに謝罪します。

 僕を三番目にしたのは、トモカちゃんは嫌いなものから食べる派だからだと信じたいです。
 ただ、語呂の良さも重要かも知れません。


「暫くパンを買って来ないね。これから毎日パンと納豆で」

 僕は、トモカちゃんの宣言に驚いてしまいます。これは突っ込んで欲しいのか? などと思案していると、賢いトモカちゃんは言い間違いに気付いたようです。
 彼女は、毎週「メンタリスト」を観ていたので、観察眼と洞察力が磨かれていたのでしょう。

「違うね。毎日パンとご飯です」

 どうやら、トモカちゃんはパンの呪いに掛かったようです。



 さて、話は変わります。
 ある日、僕は珍しく夢をみました。

 夜、車を走らせていたら、流れ星のような光が横一文字に走ってビックリ。
 その直後、曲がり角から大きな犬が出て来て、通行の邪魔になりそうでした。
 犬との距離は遠かったのですが、何だか白と黒の模様が付いていて、バカでかい犬なのです。
 距離が近くなって良く見ると、その正体は牛でした。
 慌ててハンドルを切ると、道幅が狭く、崖から落下して地面に着地。

 そこで目が覚めました。

 意味不明な夢です。
 精神科医の夢診断を受ければ、貴方の潜在意識と願望が交差して

「クロスファイあぁ! 」

 と叫んだ後にお薬を出して貰えるかも知れません。

 ですが、僕は愛しいトモカちゃんに夢の内容を話します。

 すると、彼女は向日葵のようにニッコリし、ウフフと笑います。

 僕は、その笑顔で安心できます。

 おやすみなさい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

フッてくれてありがとう

nanahi
恋愛
「子どもができたんだ」 ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。 「誰の」 私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。 でも私は知っている。 大学生時代の元カノだ。 「じゃあ。元気で」 彼からは謝罪の一言さえなかった。 下を向き、私はひたすら涙を流した。 それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。 過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...