ツヨシくんとトモカちゃん

ツヨシくん編

キャンプにて

　ごきげんよう。愛妻家のツヨシです。では、レッツ、ゴーです。


　僕とトモカちゃんは、教会の仲間とキャンプに来ています。
　トモカちゃんの統制の元、BBQや遊びを楽しみ、男性陣と女性陣に分かれてロッジでお休みです。

　さて、ロッジでは、ＵＮＯで盛り上がります。
　ローカルルール満載のゲームは、場の気分で決めているかのような複雑さで、何ともトリッキーです。
　もう、普通にドロー返しやスキップ爆撃が炸裂します。

　通常ルールでは、2ドローを貰うと、貰った人は山札から強制的に二枚を引く事になりますが、ローカルルールでは、2ドローを持っていれば、上乗せして、次の人に４枚引かせる事で、自分への攻撃をキャンセルできます。

　更に、2ドローにスキップを出せば、自分の代わりに一つ飛ばした人に二枚を引かせる事ができます。
　つまり、2ドローが何処へ行くか？ 何枚になるか解りません。


　そして、UNOで盛り上がれば、あっと言う間に夜中になり、就寝の時間となります。

　僕は、トモカちゃんがまだ起きているのかが気になります。なんせ、寝不足は美容の敵なので、心配で心配で、僕の方が寝不足になりそうです。

　寝付けぬままに隣を見ると、信じられない光景を目にします。
　薄暗がりで二度見します。

　それは、隣で就寝中のイシハラくんの口が無いのです。
　もう、ジャンルはホラーです。
　最恐百物語の領域です。
　恐怖で青ざめながらも、僕は東北地方の理系大学出身ですから、原因究明に集中します。
　すると、暗がりで分かりにくかったのですが、イシハラくんの口の上にテープが貼ってあるのを確認しました。
　おやおや、一人誘拐ゴッコを楽しんでいるのでしょうか？

　僕は、やっぱり気になって寝付けません。


　翌日、僕はイシハラくんの行為が気になり、さっそく質問をします。

「夜、口にガムテープを貼って寝ていたよね。どうして？」

　イシハラくん曰く、鼻呼吸を強制的にする為だそうです。口呼吸は喉が渇き、免疫力の低下や風邪を引きやすくするそうです。

　それにしても、口無しにはビックリです。意味の不明さでは顔無しの方が上ですが、口無しも負けていません。

　例え、イシハラくんの喉に優しくても、僕の心臓には良くありません。

　とは言え、健康の為には手段を選ばない態度は立派です。命すら掛けるかも知れません。

　そう、寿命を延ばすだけではいけません。健康寿命を延ばさなくては。

　僕は、イシハラくんの心意気に感動しました。