20 / 33
ツヨシくん編
コピー機
しおりを挟む
暑中見舞申し上げます。愛妻家のツヨシです。
今回の話は、去年の年末の話です。季節外れの話題でスミマセン。
師走に入り、僕も色々と忙しくなります。
仕事もそうですが、トモカちゃんとのラブラブ計画も立てる必要があったのです。
まぁ、熊谷辺りでもイルミネーションは有りますが、何処か隠れた穴場を探したい気もします。
トモカちゃんに
「すっご~い! こんな経験は初めて」
と、言われたいのです。
ドラマ「陸王」効果で、行田の知名度も上がりました。軍手を宣伝するデカイ看板も、何故か誇らしげです。
そう、足袋の縫製技術を生かし、軍手作りも盛んなのです。戦後、和服の需要が落ち込み、生産を軍手に移した工場が多いらしいです。
なんて、ただの臆測です。信じないでください。今、ノリで書いただけです。
僕は、そんなフェイクニュースを出してしまう程、悩んでいました。
そもそも、12月はクリスチャンに取っては多忙を極める月なので、体が最低でも三つは欲しいくらいです。
まぁ、一体はイケメンツヨシくんで、
もう一体はマッチョツヨシくん。
そして、もう痛ったい、じゃない、もう一体はサイボーグツヨシくんでお願いしたいところです。
え、クリスチャンが12月に忙しいのは何故か?
そこを聞いてしまいますぅ?
思わず田中邦衛の口になりそうです。
当然、クリスマス会が有るからです。一年の内、日本人がイエス様を意識する貴重な期間です。
ですが、昨今はハロウィンに押されている感じがします。
某ラジオの番組で、渋谷のハロウィンパレードに参加した話をしていました。
その時に彼女がしていた仮装は、赤ずきんだったそうです。
そして、手にプラカードを持っていたそうです。
プラカードには、ぽたぽた焼きのお婆ちゃんを拡大した物を貼り付け、
「お婆さんを捜しています」と書いておいたそうです。
この遊び心がクリスマスにも欲しいです。
牧師さんに提案しようかな?
個人的にも、まずは出身の母教会、地元の教会、夫婦で開催するクリスマス会と、スケジュールが目白押しです。
さて、僕は、会社のパソコンで素敵な年末スケジュールを作成します。
トモカちゃんとのクリスマスプランも折り込み、カラーで作成します。
こんな事をしていては仕事が押してしまい、残業になりそうです。
でも大丈夫、トモカちゃんも忙しいらしく、帰りが遅いので、慌てて帰宅する必要はないのです。
さて、タイトルの
「トモカとツヨシの師走ミッション」
を、ショッキングピンクに設定して、スケジュール表は完成します。
後は、プリントアウトするだけです。
それにしても、夫婦で共用するだけの物にフルカラーでイラストまで付けるのは、やり過ぎかも知れません。
タイトルも痛すぎです。四十五才にして痛車に乗り始めた人みたいです。
さて、会社のパソコンはコピー機と連動しているので、プリントすべく行動します。
とは言え、堂々とコピーする訳にもいきません。なんせ、タイトルがショッキングピンクです。職場の人に見られるのはマズイです。
僕は、コピー室前で様子を窺います。
誰も居ない事は勿論、後から人が来てもデンジャーです。
何度かコピー室の前を素通りし、不審な行動を繰り返します。
「コピー機を使うのか?」などと言われても、「いやぁ」と答えます。
四度目の巡回でチャンス到来です。コピー機にパソコンの暗証番号を入力して、
「トモカとツヨシの師走ミッション」をコピーします。
当然、カモフラージュ用に仕事のデータもコピーしようとすると、やっぱり
「トモカとツヨシの師走ミッション」がコピーされてしまいます。
これはヤバイです。そして不思議です。違うデータを選択しても、
「トモカとツヨシの師走ミッション」がプリントアウトされます。
僕は、目の前が真っ暗になります。
「がぁっみざぁま~~ゆずしてぐだざいぃ~! ぶぉくがあざはがですぃた~!」
僕はコピー機を揺らし、涙と鼻水を振り撒き、神に赦しを乞います。
幸い、コピー室は少し離れた場所に在るため、給湯室並みに治外法権なのです。
「ごのじれんは重ずぎまずぅ。ぶぉくじはおいぎれまぜん~うぉぉぉ!」
もう、獣のように吼えます。
僕がヨヨと泣き、肩を震わせていると、同僚のハジメさんがコピー室を訪れます。
僕は、ドアの開く音に反応して、背筋を伸ばします。
「ツヨシ、コピー機いい?」
個人的にはいい筈がありません。
「バダづがってまずぅ~。ど言うがごしょうじてまずぅ。えぎばえのゴンビニへいってぐだざいぃ~」
この返しは墓穴を掘りました。ハジメさんはメカに強いので、異常なほど動揺している僕を助ける気になったのです。
涙と鼻水に心打たれたのでしょう。
しかも、ハジメさんは僕より先輩であり、学生時代は水球の選手で、今でも休日には㎞級を泳ぐキロちゃんです。
もう、吉○晃司ばりの威圧感があり、これを阻止する手段がありません。
コピー機のディスプレイに暗証番号を打ち込み、データファイルを選択します。
コピースタート! ぷち。
プリントアウトされたのは、ショッキングピンクのイカれた題字ではなく、普通の資料でした。
「おいツヨシ、壊れてないぞ」
僕は、ハジメさんの言葉に、大袈裟に反応します。
「ぁぁぁあぁりぐぁとぅぅございまずぅぅ!」
PS、お騒がせしました。どうやら、コピー機は故障ではなく、僕の入力ミスのようです。
後ろめたさに焦っていたのかも知れません。
今後は、会社は仕事をする所だと言う事を、肝に命じます。
今回の話は、去年の年末の話です。季節外れの話題でスミマセン。
師走に入り、僕も色々と忙しくなります。
仕事もそうですが、トモカちゃんとのラブラブ計画も立てる必要があったのです。
まぁ、熊谷辺りでもイルミネーションは有りますが、何処か隠れた穴場を探したい気もします。
トモカちゃんに
「すっご~い! こんな経験は初めて」
と、言われたいのです。
ドラマ「陸王」効果で、行田の知名度も上がりました。軍手を宣伝するデカイ看板も、何故か誇らしげです。
そう、足袋の縫製技術を生かし、軍手作りも盛んなのです。戦後、和服の需要が落ち込み、生産を軍手に移した工場が多いらしいです。
なんて、ただの臆測です。信じないでください。今、ノリで書いただけです。
僕は、そんなフェイクニュースを出してしまう程、悩んでいました。
そもそも、12月はクリスチャンに取っては多忙を極める月なので、体が最低でも三つは欲しいくらいです。
まぁ、一体はイケメンツヨシくんで、
もう一体はマッチョツヨシくん。
そして、もう痛ったい、じゃない、もう一体はサイボーグツヨシくんでお願いしたいところです。
え、クリスチャンが12月に忙しいのは何故か?
そこを聞いてしまいますぅ?
思わず田中邦衛の口になりそうです。
当然、クリスマス会が有るからです。一年の内、日本人がイエス様を意識する貴重な期間です。
ですが、昨今はハロウィンに押されている感じがします。
某ラジオの番組で、渋谷のハロウィンパレードに参加した話をしていました。
その時に彼女がしていた仮装は、赤ずきんだったそうです。
そして、手にプラカードを持っていたそうです。
プラカードには、ぽたぽた焼きのお婆ちゃんを拡大した物を貼り付け、
「お婆さんを捜しています」と書いておいたそうです。
この遊び心がクリスマスにも欲しいです。
牧師さんに提案しようかな?
個人的にも、まずは出身の母教会、地元の教会、夫婦で開催するクリスマス会と、スケジュールが目白押しです。
さて、僕は、会社のパソコンで素敵な年末スケジュールを作成します。
トモカちゃんとのクリスマスプランも折り込み、カラーで作成します。
こんな事をしていては仕事が押してしまい、残業になりそうです。
でも大丈夫、トモカちゃんも忙しいらしく、帰りが遅いので、慌てて帰宅する必要はないのです。
さて、タイトルの
「トモカとツヨシの師走ミッション」
を、ショッキングピンクに設定して、スケジュール表は完成します。
後は、プリントアウトするだけです。
それにしても、夫婦で共用するだけの物にフルカラーでイラストまで付けるのは、やり過ぎかも知れません。
タイトルも痛すぎです。四十五才にして痛車に乗り始めた人みたいです。
さて、会社のパソコンはコピー機と連動しているので、プリントすべく行動します。
とは言え、堂々とコピーする訳にもいきません。なんせ、タイトルがショッキングピンクです。職場の人に見られるのはマズイです。
僕は、コピー室前で様子を窺います。
誰も居ない事は勿論、後から人が来てもデンジャーです。
何度かコピー室の前を素通りし、不審な行動を繰り返します。
「コピー機を使うのか?」などと言われても、「いやぁ」と答えます。
四度目の巡回でチャンス到来です。コピー機にパソコンの暗証番号を入力して、
「トモカとツヨシの師走ミッション」をコピーします。
当然、カモフラージュ用に仕事のデータもコピーしようとすると、やっぱり
「トモカとツヨシの師走ミッション」がコピーされてしまいます。
これはヤバイです。そして不思議です。違うデータを選択しても、
「トモカとツヨシの師走ミッション」がプリントアウトされます。
僕は、目の前が真っ暗になります。
「がぁっみざぁま~~ゆずしてぐだざいぃ~! ぶぉくがあざはがですぃた~!」
僕はコピー機を揺らし、涙と鼻水を振り撒き、神に赦しを乞います。
幸い、コピー室は少し離れた場所に在るため、給湯室並みに治外法権なのです。
「ごのじれんは重ずぎまずぅ。ぶぉくじはおいぎれまぜん~うぉぉぉ!」
もう、獣のように吼えます。
僕がヨヨと泣き、肩を震わせていると、同僚のハジメさんがコピー室を訪れます。
僕は、ドアの開く音に反応して、背筋を伸ばします。
「ツヨシ、コピー機いい?」
個人的にはいい筈がありません。
「バダづがってまずぅ~。ど言うがごしょうじてまずぅ。えぎばえのゴンビニへいってぐだざいぃ~」
この返しは墓穴を掘りました。ハジメさんはメカに強いので、異常なほど動揺している僕を助ける気になったのです。
涙と鼻水に心打たれたのでしょう。
しかも、ハジメさんは僕より先輩であり、学生時代は水球の選手で、今でも休日には㎞級を泳ぐキロちゃんです。
もう、吉○晃司ばりの威圧感があり、これを阻止する手段がありません。
コピー機のディスプレイに暗証番号を打ち込み、データファイルを選択します。
コピースタート! ぷち。
プリントアウトされたのは、ショッキングピンクのイカれた題字ではなく、普通の資料でした。
「おいツヨシ、壊れてないぞ」
僕は、ハジメさんの言葉に、大袈裟に反応します。
「ぁぁぁあぁりぐぁとぅぅございまずぅぅ!」
PS、お騒がせしました。どうやら、コピー機は故障ではなく、僕の入力ミスのようです。
後ろめたさに焦っていたのかも知れません。
今後は、会社は仕事をする所だと言う事を、肝に命じます。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
今さらやり直しは出来ません
mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。
落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。
そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる