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ツヨシくん編
ドラマ
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どうも、愛妻家のツヨシです。今回の話は、某ドラマが放送していた時の話なので、少し前の内容になります。それでは、レッツ、ゴー!
僕とトモカちゃんは、ドライブに出かけます。
僕は、恐ろしい事に、ハンドルを握っても夢見がちな傾向があります。
「何処へ行くの?」
「へっ?」
僕は、トモカちゃんにすかしっぺのような返事をしてしまいました。
気が付くと、目的地とは逆方向に向かっています。
「ごめん、トモカちゃんみたいに何も考えずに行動しちゃった」
トモカちゃんは、僕の発言が聞き捨てならなかったのか? 反論してきます。
「私と一緒にしないでよね」
ん? この言い回しは変です。ですが、トモカちゃんはウフフと笑っているので、指摘しない方がいい気がします。
こんな時は、空気を読んで誤魔化します。それが夫婦円満の秘結なのです。
さて、そんな似た者夫婦は、ドラマが好きな事でも一致しています。
今期は、何と言っても「陸王」でしょう。時代遅れと言われている足袋屋さんの奮戦記です。
そして、ダークホース的な存在が、「手紙」です。
以下は、第一話目の内容になります。
【手紙(全12回)】
少女が光を失ったのは5年前だった。
しかも、最も残酷な形で視力は奪われた。
5年前の夏、家族旅行で海に行った帰り、居眠り運転のトラックに正面衝突されてしまったのだ。
4人が乗る乗用車は大破。
両親と弟が犠牲になり、彼女も脳の視床下部を損傷して視力を失った。
心の傷が癒えぬまま学校にも行かず、彼女は引き取られた叔父の家で、時が過ぎるのを待つ生活を続けていた。
「美保、また手紙が来ているよ」
叔父の正孝が、朝食の時に美保に手紙を渡した。
あまり感情を表に出さない美保だが、顔が赤らんでいた。
「叔父さんは、美保がやっと明るくなってくれて嬉しいよ。これも、手紙のおかげかな?」
美保は、花のように微かに顔を綻ばせ、叔父に答えた。
「叔父さんには、いつも感謝してます」
「辛い気持ちも解るし、忘れろとも言えないけど、両親や弟のためにも強く生きて欲しい」
叔父は、いつでも美保を見守っていた。
朝食を終え、部屋に戻る美保。
家の間取りは、既に隅から隅まで記憶しているので、配置が変わらない限り、躓く事なく移動できる。
だが、最初の頃はぶつかってばかりで、自分の位置も解らず泣きそうになっていた。
美保は、机の上で手紙を広げ、指で触れる。
指先に伝わる感触が、心の中で文字になり、リズムを刻んで行く。
『美保さん、変わりなくお過ごしでしょうか?
こちらは相変わらず、夜勤の日々が続いています。眠い目を擦りながら思うのは、お互いに励まし合う相手が居る喜びです。
人は一人では生きて行けない物です。いや、正確に言うと、生きている意味が無いのかもしれません。
自分が、誰かの役に立っていると感じる時、本当に嬉しいものです。
叔父さんから、僕の手紙で美保さんが明るさを取り戻したと聞いた時、凄く幸せを感じました。
言い換えれば、僕は美保さんから幸せを貰ったのです。ありがとう。また、手紙を書きます。』
凸の一個一個を読み解くと、美保は暖かい気持ちになれた。
相手の誠実さが伝わって来る。
こんな自分でも、誰かの役に立てるような気がして、勇気が湧いて来た。
手紙の相手は、吉村 孝と言う。
心に傷を負った人を励ますNGOのボランティアだった。
ハンデがあるけど、社会に出てみたい。いつの間にか美保は、前向きな気持ちになっていた。
数日後、美保の叔父は、孝と喫茶店で待ち合わせをしていた。
「積木さん、美保さんと交際するのは無理ですよ。まして、結婚する事にでもなったら、毎日が辛くなります」
孝は、叔父に懇願した。
「孝くん、少しくらい刑務所に入ったくらいで、君が犯した罪が償えると思っているのかい? 美保の家族を殺した上に、目まで奪ってしまったんだ。彼女を幸せにするのは君の使命だよ」
叔父に諭された孝は、うなだれて考え込んでしまった。
「では、せめて美保さんに本当の事を打ち明けさせてください」
「孝くん、それでは、何のために名前を変え、別人になったと思っているんだ。君があの時のトラックの運転手だとバレないためだろう?」
叔父の指摘に、孝は反論できなかった。
「……これは、罰なのですか?」
「そうだ、そして、君は美保を幸せにする義務がある」
叔父が宣告する。
暫く重苦しい雰囲気が漂った。
「もうすぐ美保が来る時間だ。孝くん、あの子を頼むよ」
叔父は、気を取り直したようにこう言うと、席を移動した。
それから30分もすると、彼が言ったように美保が店を訪れた。
孝は、白い杖を付いた少女に近づき、話しかけた。
「美保さん、初めまして。吉村 孝です」
「いつもお手紙ありがとうございます。積木 美保です」
美保は、屈託のない笑顔で答えた。
(了)
一昔前のドラマ感が良いです。ドロドロの展開を期待します。
僕とトモカちゃんは、ドライブに出かけます。
僕は、恐ろしい事に、ハンドルを握っても夢見がちな傾向があります。
「何処へ行くの?」
「へっ?」
僕は、トモカちゃんにすかしっぺのような返事をしてしまいました。
気が付くと、目的地とは逆方向に向かっています。
「ごめん、トモカちゃんみたいに何も考えずに行動しちゃった」
トモカちゃんは、僕の発言が聞き捨てならなかったのか? 反論してきます。
「私と一緒にしないでよね」
ん? この言い回しは変です。ですが、トモカちゃんはウフフと笑っているので、指摘しない方がいい気がします。
こんな時は、空気を読んで誤魔化します。それが夫婦円満の秘結なのです。
さて、そんな似た者夫婦は、ドラマが好きな事でも一致しています。
今期は、何と言っても「陸王」でしょう。時代遅れと言われている足袋屋さんの奮戦記です。
そして、ダークホース的な存在が、「手紙」です。
以下は、第一話目の内容になります。
【手紙(全12回)】
少女が光を失ったのは5年前だった。
しかも、最も残酷な形で視力は奪われた。
5年前の夏、家族旅行で海に行った帰り、居眠り運転のトラックに正面衝突されてしまったのだ。
4人が乗る乗用車は大破。
両親と弟が犠牲になり、彼女も脳の視床下部を損傷して視力を失った。
心の傷が癒えぬまま学校にも行かず、彼女は引き取られた叔父の家で、時が過ぎるのを待つ生活を続けていた。
「美保、また手紙が来ているよ」
叔父の正孝が、朝食の時に美保に手紙を渡した。
あまり感情を表に出さない美保だが、顔が赤らんでいた。
「叔父さんは、美保がやっと明るくなってくれて嬉しいよ。これも、手紙のおかげかな?」
美保は、花のように微かに顔を綻ばせ、叔父に答えた。
「叔父さんには、いつも感謝してます」
「辛い気持ちも解るし、忘れろとも言えないけど、両親や弟のためにも強く生きて欲しい」
叔父は、いつでも美保を見守っていた。
朝食を終え、部屋に戻る美保。
家の間取りは、既に隅から隅まで記憶しているので、配置が変わらない限り、躓く事なく移動できる。
だが、最初の頃はぶつかってばかりで、自分の位置も解らず泣きそうになっていた。
美保は、机の上で手紙を広げ、指で触れる。
指先に伝わる感触が、心の中で文字になり、リズムを刻んで行く。
『美保さん、変わりなくお過ごしでしょうか?
こちらは相変わらず、夜勤の日々が続いています。眠い目を擦りながら思うのは、お互いに励まし合う相手が居る喜びです。
人は一人では生きて行けない物です。いや、正確に言うと、生きている意味が無いのかもしれません。
自分が、誰かの役に立っていると感じる時、本当に嬉しいものです。
叔父さんから、僕の手紙で美保さんが明るさを取り戻したと聞いた時、凄く幸せを感じました。
言い換えれば、僕は美保さんから幸せを貰ったのです。ありがとう。また、手紙を書きます。』
凸の一個一個を読み解くと、美保は暖かい気持ちになれた。
相手の誠実さが伝わって来る。
こんな自分でも、誰かの役に立てるような気がして、勇気が湧いて来た。
手紙の相手は、吉村 孝と言う。
心に傷を負った人を励ますNGOのボランティアだった。
ハンデがあるけど、社会に出てみたい。いつの間にか美保は、前向きな気持ちになっていた。
数日後、美保の叔父は、孝と喫茶店で待ち合わせをしていた。
「積木さん、美保さんと交際するのは無理ですよ。まして、結婚する事にでもなったら、毎日が辛くなります」
孝は、叔父に懇願した。
「孝くん、少しくらい刑務所に入ったくらいで、君が犯した罪が償えると思っているのかい? 美保の家族を殺した上に、目まで奪ってしまったんだ。彼女を幸せにするのは君の使命だよ」
叔父に諭された孝は、うなだれて考え込んでしまった。
「では、せめて美保さんに本当の事を打ち明けさせてください」
「孝くん、それでは、何のために名前を変え、別人になったと思っているんだ。君があの時のトラックの運転手だとバレないためだろう?」
叔父の指摘に、孝は反論できなかった。
「……これは、罰なのですか?」
「そうだ、そして、君は美保を幸せにする義務がある」
叔父が宣告する。
暫く重苦しい雰囲気が漂った。
「もうすぐ美保が来る時間だ。孝くん、あの子を頼むよ」
叔父は、気を取り直したようにこう言うと、席を移動した。
それから30分もすると、彼が言ったように美保が店を訪れた。
孝は、白い杖を付いた少女に近づき、話しかけた。
「美保さん、初めまして。吉村 孝です」
「いつもお手紙ありがとうございます。積木 美保です」
美保は、屈託のない笑顔で答えた。
(了)
一昔前のドラマ感が良いです。ドロドロの展開を期待します。
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