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お前は付けるってことだな?

温和の立ち位置

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 一旦自室に戻って着替え諸々を済ませてから、温和はるまさと一緒に出勤する。

 その車中で、
「あのね、温和はるまさ鶴見つるみ先生のお見舞いに……」
 一緒に行きたいな、って言おうと思ったら、温和はるまさがその前にやらないといけないことがあるって言った。

「え?」

 何だろうと思って温和はるまさをじっと見つめたら、「俺、さ……、今回色々あって思い知ったんだよ」とつぶやく。

 さっぱり話が見えなくて……でも温和はるまさのことだから全く関係のない話はしないはず……。
 そう思って、彼が分かるところまで話してくれるのを根気強く待ったの。

鶴見つるみがお前にアプローチかけたときにしても、喜多里きたさとが変なちょっかいかけてきた時にしても……俺が立ち位置を明確にしてないのがいけないんじゃないかと思ったんだ」

 温和はるまさの立ち位置って何?

 キョトンとして彼をじっと見つめたら「だから……お前との関係のことだよ」と何故かムッとしたように言うの。

「私との……」

 温和はるまさの言葉を復唱してから、私はハッとする。

 それって。つまり――。

 ドキドキと心臓が高鳴ったけれど、そこで温和はるまさが考え込むみたいに黙り込んでしまって。

 結局それっきり会話にならなかったの。

 温和はるまさ、言いかけでストップとか……めっちゃ気になるよぅ。


***


「でね、結局それっきりなの」

 金曜の夜――。
 温和はるまさから、佳乃花かのか一路いちろとの飲み会はOKだけど夜に出かけるのはダメって言われて。

 「どう言う意味!?」って聞いたら「家飲みにしろ」ってことだった。

 佳乃花かのか温和はるまさがそんなワガママを言ってくるの!って愚痴ったら、「仲直りできたんだね」って喜んでくれた。

 ばかりか――。

「せっかく良い感じになった2人に水差すようになったらマズイし、音芽おとめで飲もう!」って言ってくれて。

***

「今日は本っ当ごめんねっ」
 当日開口一番そう言って頭を下げたら「気にすることないよ。でも気になるんなら――」って、先日の佳乃花かのか宅での飲み会後に起きたあれこれを根掘り葉掘り告白させられる羽目になった。

 もちろん、その中には取り戻した記憶の話や、乗り越えたトラウマのこと、それから――。

温和はるまさの言う、私との関係を明確にするって……どういう意味だと思う?」

 眉根を寄せて聞いたら、佳乃花かのかが「さすが鈍感娘」って笑うの。

 鈍感って温和はるまさにもよく言われるけど……そこまでひどくないと思うんだけどな?

「わ、私だって……何となく……こういう意味なのかな?って言うのは……あるんだよ?」

 ムキになって言ったら「音芽おとめちゃんはどういう意味だと思ってるの? 言ってごらん」ってニヤリとされた。

「うー。だからっ。その……職場のみんなに私たち付き合っていますって宣言するってことかなって」

 そう言ったら佳乃花かのかが「あー、霧島きりしま先輩、お疲れ様ですっ!」って温和はるまさの部屋の方に向かって頭を下げるの。

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