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■僕惚れ②『温泉へ行こう!』
葵咲ばかり2
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私だってまさか自分があそこまで彼の求めに応じることが出来るとは思わなかった。
2人してさっきのことを思い出して真っ赤になっていることに、何だかおかしくなってしまう。
お互いそのことに気がついて顔を見合わせて笑いあってから、
「服、どこかで洗いたいな。旅館に、そういう施設あるかな?」
理人の腕の中でぽつんとつぶやく。
理人は、「調べてみるよ」と言ってくれた。もしなかったら、コインランドリーの場所を探してくれる、とも。
当初計画した観光プランの通りにはならないかもしれないけれど、理人と一緒に過ごせるなら何でもいいや、と思った。
***
結局旅館には洗濯施設はないということで、コインランドリーをスマホで探して行くことになった。
幸い天気は良かったので利用者は少なく、洗濯機も乾燥機も殆ど稼動していなかった。
所要時間は洗濯に30分、乾燥に20分。
私はずっと付いていなくても大丈夫だと思うよ、洗い上がりの頃に来て、乾燥機にインしたらまた乾燥が終わる頃までうろうろしていよう?って言ったんだけど……。
理人は「下着が盗まれたらどうするの!」と譲らなかった。
変なところで頑なな彼が愛しくもあり、正直面倒臭くもあり。
時計を見ると旅館にチェックイン出来る15時までだって、まだ2時間あって。
「お腹空かない?」
時刻はとっくに13時近くて。
色々あって気持ちが張っていて気付いてなかったけれど、昼食の時間をとうに過ぎていた。
ここまでの道すがら、近くにコンビニがあったっけ。
「何か買いに行こうよ」
洗濯も乾燥も稼働中はロックがかかっているから中身が取り出される心配はないよ?
そう言ったら、理人はやっと承知してくれた。
それでも「せっかく遠出をしたのにコンビニでいいの?」と乗り気ではなかったので、「夜はご馳走でしょう?」と告げてみた。
実際、予約した旅館の料理は美味しいと評判なんだ、と旅行前に理人が言っていた。
「だったらお昼は軽めのほうがいいし、ね?」
ニコッと笑って理人の手に軽く触れたら、その手をギュッと握り返された。
その力が結構強くて。
「……理人?」
どうしたの?と見つめ返したら「葵咲、お願い。余り煽らないで。またしたくなる」って……。どれだけなの。
***
コンビニでおにぎりとお茶を買って、コインランドリーの駐車場に戻ってくる。
コンビニの駐車場は車や人の出入りが多かったけれど、コインランドリーのほうは私たちの車しか停まっていなかった。
エアコンを利かせた車内で理人と一緒に軽めのランチをとる。
自分でも笑ってしまうくらい、理人と一緒だと何をしていても幸せだなって思えてしまう。
学生時代、自分の気持ちが分からなくて……理人の直向すぎる愛情表現が怖くて逃げ回っていたことがあったけど、今思うと何だかもったいなかったな、と思えてしまったほどに。
おにぎりを食べながら思わずクスッと笑ったら、理人が不思議そうに見つめてきた。
「なんかね、理人とこうしていられるの、幸せだなぁって思って」
私の言葉の真意が理解できたのかどうか。
理人がおにぎりを手にしたまま私のほうへ顔を傾けてきた。
そのまま私のほっぺに軽くキスを落とすと、「続きは旅館で」と、耳元で囁いた。
2人してさっきのことを思い出して真っ赤になっていることに、何だかおかしくなってしまう。
お互いそのことに気がついて顔を見合わせて笑いあってから、
「服、どこかで洗いたいな。旅館に、そういう施設あるかな?」
理人の腕の中でぽつんとつぶやく。
理人は、「調べてみるよ」と言ってくれた。もしなかったら、コインランドリーの場所を探してくれる、とも。
当初計画した観光プランの通りにはならないかもしれないけれど、理人と一緒に過ごせるなら何でもいいや、と思った。
***
結局旅館には洗濯施設はないということで、コインランドリーをスマホで探して行くことになった。
幸い天気は良かったので利用者は少なく、洗濯機も乾燥機も殆ど稼動していなかった。
所要時間は洗濯に30分、乾燥に20分。
私はずっと付いていなくても大丈夫だと思うよ、洗い上がりの頃に来て、乾燥機にインしたらまた乾燥が終わる頃までうろうろしていよう?って言ったんだけど……。
理人は「下着が盗まれたらどうするの!」と譲らなかった。
変なところで頑なな彼が愛しくもあり、正直面倒臭くもあり。
時計を見ると旅館にチェックイン出来る15時までだって、まだ2時間あって。
「お腹空かない?」
時刻はとっくに13時近くて。
色々あって気持ちが張っていて気付いてなかったけれど、昼食の時間をとうに過ぎていた。
ここまでの道すがら、近くにコンビニがあったっけ。
「何か買いに行こうよ」
洗濯も乾燥も稼働中はロックがかかっているから中身が取り出される心配はないよ?
そう言ったら、理人はやっと承知してくれた。
それでも「せっかく遠出をしたのにコンビニでいいの?」と乗り気ではなかったので、「夜はご馳走でしょう?」と告げてみた。
実際、予約した旅館の料理は美味しいと評判なんだ、と旅行前に理人が言っていた。
「だったらお昼は軽めのほうがいいし、ね?」
ニコッと笑って理人の手に軽く触れたら、その手をギュッと握り返された。
その力が結構強くて。
「……理人?」
どうしたの?と見つめ返したら「葵咲、お願い。余り煽らないで。またしたくなる」って……。どれだけなの。
***
コンビニでおにぎりとお茶を買って、コインランドリーの駐車場に戻ってくる。
コンビニの駐車場は車や人の出入りが多かったけれど、コインランドリーのほうは私たちの車しか停まっていなかった。
エアコンを利かせた車内で理人と一緒に軽めのランチをとる。
自分でも笑ってしまうくらい、理人と一緒だと何をしていても幸せだなって思えてしまう。
学生時代、自分の気持ちが分からなくて……理人の直向すぎる愛情表現が怖くて逃げ回っていたことがあったけど、今思うと何だかもったいなかったな、と思えてしまったほどに。
おにぎりを食べながら思わずクスッと笑ったら、理人が不思議そうに見つめてきた。
「なんかね、理人とこうしていられるの、幸せだなぁって思って」
私の言葉の真意が理解できたのかどうか。
理人がおにぎりを手にしたまま私のほうへ顔を傾けてきた。
そのまま私のほっぺに軽くキスを落とすと、「続きは旅館で」と、耳元で囁いた。
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