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■僕惚れ③『家族が増えました』

*許せない5

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 理人りひとの提案に、葵咲きさきが恥ずかしそうにうつむく。

 でも、「嫌だ」とは言わないので、OKと思っていいよね?と勝手に判断させてもらった。
 こういうとき、理人は基本自分に都合のよいように解釈することにしている。そうでないと、葵咲はあまり積極的にあれこれ言ってくれるほうではないからだ。

 理人は向かい合わせになるように自分の前に座る葵咲の髪の毛を耳の横に掻き上げるようにして避けると、指先で愛らしい耳たぶに軽く触れる。
 そうしておいて、もう一方の手で唇をなぞるように触れば、葵咲が「んっ」と小さくあえいでピクリと身体を震わせたのが分かった。

「葵咲、ホント可愛い……。大好きだよ」

 言いながら、唇を割るように親指を差し込んで顔を近付けると、葵咲がまるで理人からの口付けを期待するみたいに瞳を伏せた。

 実際には恥ずかしくても、理人の手があごに添えられていて顔を背けられないから、目蓋まぶたを伏せて視線をそらしただけかもしれない。けれど、理人はそうは思わない。


 遠慮なく葵咲の唇をふさぐと、そのタイミングに合わせて耳に添わせたままの指先を、耳朶じだのラインに沿ってそっと撫で下ろした。

「ぁ、んっ……」

 その刺激に反応して葵咲が吐息を漏らしたのを見計らって、即座に舌を滑り込ませると、彼女の歯列をなぞるように舌先を這わせてから、さらに奥を目指す。

「んっ、はぁ……っ」

 理人の舌を噛まないように、と気を遣ってくれているんだろう。
 葵咲の唇から、明かに力が抜けて、理人の舌を奥へ奥へと受け入れてくれた。

 理人は葵咲の舌を自らの舌で絡めとりながら、時折タイミングを見ては、口中で葵咲が一番敏感な上顎うわあごの裏をこする。

 途端、葵咲が理人に回した腕にほんの少し力が入って、背中に微かな痛みが走った。それすら、葵咲が快感に耐えている証拠なので、理人は嬉しくて堪らない。
 口付けの合間、吐息混じりに「もっと強く僕を引っ掻いて?」と、思わずうてしまうほどに、葵咲から与えらえる全てが理人にはご褒美だから。

 言いながら葵咲の胸に手を伸ばせば、先ほど中途半端にズラしたはずのナイトブラが、勝手に胸を隠してしまっていた。ちゃんと脱がせていなかったのだから仕方ないのだけれど、何となく残念に感じてしまう。でもすぐに、もう一度ズラせるなんてラッキーじゃないか、とも思ってしまえるのだから自分も大概だ。
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