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■僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
女子会6
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『僕、葵咲ちゃんが恋しくて堪らないんだ。――今すぐキミを抱きたい……』
切なくなるような甘えた声。
理人のその声に、下腹部がキュンと疼いて、私は慌ててスマホを強く握りしめる。
「ばっ、バカっ。何言ってるのよ。――お、お友達っ、そばにいるんじゃないのっ?」
ふとそこに思い至って、余計にドキドキしてしまった。
人前で抱きたいとか……恥ずかしすぎるでしょっ。
私だってそばにひおちゃんがいたかもしれないのよ?
でもそんなことを考えられなくなるぐらい、理人が私を欲してくれているのかな?って思ったら、実際はすごく嬉しくもあって。
彼を怒りながらも、声に刺々しさが滲まなかったのは、つまりはそういうことで。
『照れた葵咲ちゃん、可愛い。本当、今すぐそっちに行けたらいいのに』
ポツンと落とされた声は、きっと理人の本音だと思う。
「私もね……一緒にこなかったこと、実はすごく後悔してる。――私も理人が大好きだから……アナタがすごくすごく恋しいよ」
理人の本音に応えたくて、私も本心をさらけ出したら、電話口で彼が息を飲んだのがわかった。
私は慌ててその空気を断ち切るように話題を変える。
「あまり飲み過ぎたらダメよ? 私がいないからって、ちゃんぽんしてない?」
聞いたら、『ごめん、ビールのあと、日本酒』って正直に言ってくれるの。
理人、本当、可愛すぎるっ。
「それ以上は混ぜたらダメよ?」
そう言ったら、
『えっとね、日本酒。葵咲ちゃんが今いるところの地酒なんだ』
切なそうに理人が言ってきて。
『産地を見たら、頼まずにはいられなかった――。ねぇ葵咲、僕も……そっちに行って、いい?』
理人……。
諦めてなかったのね。
理人が、出発の直前まで空港でごねていたのは今朝のことなのに、なんだか数日前みたいに感じてしまう。
私、こっちにきてからひおちゃんと塚田さんのやりとりを見て、あてられちゃったのかな。
すごく理人のことが恋しくて堪らなくなってしまってる。
いつもなら、一緒に家でソファに座ってまったりしている時間だからかな。
そばに彼の温もりがないことが、こんなにも不安に感じてしまうなんて。
「……理人、お仕事は?」
それでも意地っ張りな私は、何となく「いいよ」って即答ができなくて、回りくどい言い方をしてしまった。
『有給使うから平気だよ。僕がいないと回らない時期でもないし。……ただ、バイトの子に色々指示を出してからになるから、こっちを出られるのは早くても昼過ぎになるかな。多分……そっちに着けるのは夕方とか夜になると思うんだけど』
私が仕事のことを聞いたことで、もう一押しって思ったんだろうな。
理人の声が、少し弾んだのが分かって、私は照れてしまう。
ハッキリと意思表示されたわけじゃなくても、彼の発するほんの少しの声の変化で、理人の感情の機微が手に取るように分かってしまう。いつの間に私、こんなに理人マニアになってしまったんだろう。何か恥ずかしいっ。
私でさえこうなのだから、理人のほうは言うまでもないんだろうな。
そう思い至ったら、「いいよ」って言わなくても「来て欲しい」と思っている気持ちを見透かされている気がして、途端に恥ずかしくなった。
『葵咲、照れてる?』
ちょっと前まで葵咲ちゃんとデレデレだった理人なのに、こっちに来たいと切り出した時から、キリッとした声音でいつも通り葵咲って呼ぶようになっていた。
何て言うか、理人のこういうところ、ズルイと思うの。
私は結局カレが本気になったら逆らえないの、分かってる気がするんだもん。
切なくなるような甘えた声。
理人のその声に、下腹部がキュンと疼いて、私は慌ててスマホを強く握りしめる。
「ばっ、バカっ。何言ってるのよ。――お、お友達っ、そばにいるんじゃないのっ?」
ふとそこに思い至って、余計にドキドキしてしまった。
人前で抱きたいとか……恥ずかしすぎるでしょっ。
私だってそばにひおちゃんがいたかもしれないのよ?
でもそんなことを考えられなくなるぐらい、理人が私を欲してくれているのかな?って思ったら、実際はすごく嬉しくもあって。
彼を怒りながらも、声に刺々しさが滲まなかったのは、つまりはそういうことで。
『照れた葵咲ちゃん、可愛い。本当、今すぐそっちに行けたらいいのに』
ポツンと落とされた声は、きっと理人の本音だと思う。
「私もね……一緒にこなかったこと、実はすごく後悔してる。――私も理人が大好きだから……アナタがすごくすごく恋しいよ」
理人の本音に応えたくて、私も本心をさらけ出したら、電話口で彼が息を飲んだのがわかった。
私は慌ててその空気を断ち切るように話題を変える。
「あまり飲み過ぎたらダメよ? 私がいないからって、ちゃんぽんしてない?」
聞いたら、『ごめん、ビールのあと、日本酒』って正直に言ってくれるの。
理人、本当、可愛すぎるっ。
「それ以上は混ぜたらダメよ?」
そう言ったら、
『えっとね、日本酒。葵咲ちゃんが今いるところの地酒なんだ』
切なそうに理人が言ってきて。
『産地を見たら、頼まずにはいられなかった――。ねぇ葵咲、僕も……そっちに行って、いい?』
理人……。
諦めてなかったのね。
理人が、出発の直前まで空港でごねていたのは今朝のことなのに、なんだか数日前みたいに感じてしまう。
私、こっちにきてからひおちゃんと塚田さんのやりとりを見て、あてられちゃったのかな。
すごく理人のことが恋しくて堪らなくなってしまってる。
いつもなら、一緒に家でソファに座ってまったりしている時間だからかな。
そばに彼の温もりがないことが、こんなにも不安に感じてしまうなんて。
「……理人、お仕事は?」
それでも意地っ張りな私は、何となく「いいよ」って即答ができなくて、回りくどい言い方をしてしまった。
『有給使うから平気だよ。僕がいないと回らない時期でもないし。……ただ、バイトの子に色々指示を出してからになるから、こっちを出られるのは早くても昼過ぎになるかな。多分……そっちに着けるのは夕方とか夜になると思うんだけど』
私が仕事のことを聞いたことで、もう一押しって思ったんだろうな。
理人の声が、少し弾んだのが分かって、私は照れてしまう。
ハッキリと意思表示されたわけじゃなくても、彼の発するほんの少しの声の変化で、理人の感情の機微が手に取るように分かってしまう。いつの間に私、こんなに理人マニアになってしまったんだろう。何か恥ずかしいっ。
私でさえこうなのだから、理人のほうは言うまでもないんだろうな。
そう思い至ったら、「いいよ」って言わなくても「来て欲しい」と思っている気持ちを見透かされている気がして、途端に恥ずかしくなった。
『葵咲、照れてる?』
ちょっと前まで葵咲ちゃんとデレデレだった理人なのに、こっちに来たいと切り出した時から、キリッとした声音でいつも通り葵咲って呼ぶようになっていた。
何て言うか、理人のこういうところ、ズルイと思うの。
私は結局カレが本気になったら逆らえないの、分かってる気がするんだもん。
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