【完結】【R18】組長さんと年下彼女~今日から同棲始めます~

鷹槻れん

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27.捨てられたんじゃ、ない?

奈央子の想い

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 奈央子なおこは、娘を失ってから二十年以上ずっと……。どこかで生き伸びていて欲しいとこいねがってやまなかった孫が、栄蔵えいぞうの不調をきっかけに娘たちみたく命を狙われるようになるのではないかと心配になったらしい。だからこそ禁忌を破ってでも栄蔵に連絡しなければ、と強い使命感にかられたのだと使いの者へ語ったそうだ。

『孫が殺されたとは思えないんです。殺すつもりがあったなら、赤子のこと。そのまま娘と一緒に川へ沈めればよかっただけ。でもそうじゃなかったから……。考えたくないですが、きっと犯人だけが沙奈が産んだ子の居場所を知っているはずなんです! いつか何かの時に利用出来ると考えてのことかも知れません!』

 そう告げた奈央子の瞳は涙に潤んでいたけれど、力強い光を宿していたと使者から報告を受けている栄蔵だ。


「奈央子さんは……沙奈さなさんと栄一郎さんのこと」

 芽生めいの問いに、栄蔵は吐息を落としながらも「他殺だと信じているようだよ」と即答した。

 正直なところ、息子に関しては栄蔵えいぞうもそう思わなかったわけじゃない。

 そもそも中村母娘おやこを追放した場所での死というのが、余りにも不可解だ。

 そこへいたということは、息子はきっと沙奈さなへ会いに行ったに違いない。会ったから自殺したのか? それとも会えたからのか?

 栄蔵は息子の死を知った当時、そんなことが頭の中をぐるぐるしたのを覚えている。

 いずれにせよ自分が二人を引き離さなければそんなことにはならなかったという負い目が、真実を突き止める気持ちにブレーキを掛けてきた。

 だが、もうそんなことを言っていられる状況ではない。

 奈央子なおこの話によると、栄一郎えいいちろうは亡くなる直前、沙奈との間に子が出来たのを喜び、栄蔵ちちおやを説得すると意気込んでいたという。
 だとしたら息子の死因は、自殺であろうはずがない。


 腹心の者が奈央子の元から帰ってきてすぐ、栄蔵は鳴矢なるやを呼んで、一か八か。『栄一郎が残した子供がどこかで生きているかも知れない』と。『わたしはその子を探し出すつもりだ。もし可能ならお前にも力を貸して欲しい』と。

 栄蔵の言葉を聞いた鳴矢は、真っ先に遺言書が書き換わるか否かを聞いてきた。

 それはそうだろう。

 鳴矢にとってはそれが一番気掛かりなのだろうから。

 栄蔵は鳴矢に『書き換えることにはなるが、分配金額はよう配慮する』と答えた。『だから』と。

 鳴矢は上に立つ人間としての器でこそなかったが、頭が悪いわけではない。きっと、それだけで可能性を考えたはずだ。

 栄蔵は、それに思い至った鳴矢がどう動くかを注意深く観察するつもりでいた。
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