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第8章 英雄の育成
第380話 出発
「ユーリ、わらわのところに来てくれ! 一緒に景色を見たいのじゃ!」
「はいはい、ちょっと待っててね」
僕は膝に乗っているアピを下ろし、反対側の長椅子に座っているサクヤの隣に移動する。
アピは僕の顔をちらりと見たが、すぐに手に持つ食べ物に視線を戻して、また一心不乱に口に入れ始めた。
いま僕たち一行は、6人乗り馬車2台に分かれてファーブラ国へと向かっている。
馬車の中は、3人ほど座れる長椅子が向かい合わせに並んでいて、片側には僕とサクヤと久魅那が、もう片方にはアピとネネとゼルマが座っていた。
サクヤはその馬車の窓から外の景色を眺めている状態だ。
ちなみにもう1台の馬車には、メジェール、リノ、フィーリア、ソロル、フラウが乗っている。
「なんだあの小娘は。ずっとわがまま言い放題ではないか」
「まあまあゼルマさん、一応一番年下ですから、大目に見てあげましょうよ」
「ふん、まあ別にどうでもいいがな」
少しふてくされているようなゼルマを、久魅那がやさしくなだめる。
その横にいるネネも態度こそ大人しいが、サクヤのわがままには少し辟易しているような印象だ。
ちょっとフォローしておいたほうがいいかな。
「ま、まあ、ほら、サクヤは病弱でなかなか外に出ることはなかったから、こういう旅が楽しいんだよ。だから大目に見てあげて……」
「分かってる。ネネも子供にヤキモチ焼くほど……」
「ユーリ、話なんていいからちゃんと外を見るのじゃ!」
サクヤが僕の首に抱きついて、無理矢理窓のほうに向かせる。
それを見たネネが、ピリピリと静かな殺気を放った。あ、ゼルマもだ。
みんな、落ち着いて、冷静にね……。
ファーブラへは、最初魔導車で移動しようと思ってたんだけど、道中かなり目立つのでやめることにした。
アレはテンプルムだけが持つ魔道具だからね。乗っているのが僕らだとすぐにバレてしまうかもしれない。
『魔王ユーリ』がテンプルムから出たというのは、帝国には知られたくないところ。
という理由からお忍びで行きたいと思ってたので、フリーデンまで『空間転移』したあと、馬車に乗っていくことにした。
移動には御者を雇ったけど、もちろん僕たちの正体は内緒にしてある。
通常の馬車なので到着までだいぶ時間はかかるけど、のんびり旅を楽しむのもたまにはいいだろう。
これにはみんなも大賛成してくれた。
アニスさんとディオーネさんはファーブラが故郷だけど、テンプルムの内政があるので今回はお留守番してもらうことに。
僕がファーブラまで行けば、次からは『転移水晶』で簡単に行けるようになるから、無理して同行する必要もないし。
移動中は休憩ごとに、僕は2台の馬車を代わる代わる乗り換えているのだが、そろそろその時間がきた。
「お昼を過ぎたし、休憩がてらここらでご飯にしようか」
「うむ、わらわもお腹が空いたところじゃ!」
「ユーリ様、この辺りは自然も綺麗ですし、馬車を降りてみんなで食べませんか?」
「それはいい案だね。メジェールたちにも知らせよう」
前方にちょうどいい場所を見つけたので、御者のベルモントさんにお願いして馬車を道の端に寄せて止めてもらう。
それに合わせて、メジェールたちが乗っている馬車も同じように止め、中からみんなが降りてきた。
「やっと交代の時間が来たわね。次はアタシたちの馬車だからね、ユーリ!」
「ユーリ様、そちらでイチャイチャされるようなことはありませんでしたよね?」
「も……もちろんだよ」
歯切れの悪いコメントをした僕の顔を、ゼルマとネネが横からジトッと流し見る。
それを見た久魅那も苦笑い状態だ。
「……ウソね。どうせサクヤがひっついてたんだろうけど」
「は~、仕方ありませんわねえ……」
うぐっ、すぐにバレた。
メジェールとフィーリアにはウソがつけないって分かってるのに、ついごまかそうとしちゃうんだよなあ……。
でも、イチャイチャしてましたなんて、怖くてとても僕の口からは言えないし。
今の質問をされた時点で、僕は詰んでたな。
「ささっ、早く食べようぜ! メシ食ったら、オレがユーリ殿の隣に座るんだからな!」
「私もユーリの隣だ! 馬車が楽しみ~♪」
「えっ、リノさん待ってクダサイ、ワタシのはずデスよ!?」
「うそ、私だったよ!? ちゃんと思い出してよね!」
誰が両隣でもいいけど、争いはやめてください。
街道から少し離れ、丈の短い原っぱにシートを敷いてその上にみんなで座り、持ってきたお弁当を広げる。
コレは出かける前に、眷女のみんなが作ってくれた物だ。
宮廷料理人のエイミーさんから、色々料理を教わったらしい。
ネネとサクヤは料理をほとんどしたことないらしいけど、頑張って手伝ったようだ。
ゼルマだけは特に何もしなかったとのこと。
うん、そういう子だからね。いつか素直になってくれる日は来るんだろうか……。
「あっ、ベルモントさんとカムランさんもご一緒にどうぞ」
カムランさんはメジェールたちが乗っていた馬車の御者だ。
料理はたくさんあるので、せっかくだから誘ってみた。
「いや、私どもは自分の携帯食がありますので……」
「遠慮しないでください。みんなで食べたほうがご飯も美味しいですし」
「ではお言葉に甘えて……」
ベルモントさんとカムランさんも加わり、大勢で料理をつまんでいく。
天気もいいし自然も綺麗だし、最高のピクニックだ。
「ユーリ、コレ食べてみて! 私の自信作なんだから!」
リノは『超五感上昇』の影響で独特な味覚になったけど、おかしな部分を修正して、最近では万人向けの味付けもできるようになった。
そのオススメを食べてみる。
「どう?」
「うん、すごく美味しいよ」
「やったー!」
リノが満面の笑顔で喜ぶ。
でも実は、リノが一生懸命こだわったであろう繊細な部分が、僕にはよく分からないんだけどね。
もちろん美味しいことは美味しいけど。
正直、漠然と風味を感じてるような状態だ。
僕も『超五感上昇』を持ってるんだけどなあ……味オンチでごめんねリノ。
食後みんなでまったりとしていると、遠くから何かの気配が近づいてきた。
変な鳴き声のようなのも聞こえてくる。
『遠見』スキルで確認してみると、それは体長7~8mくらいある鳥みたいなモンスターだった。
羽があるくせに、空を飛ばずに走って近づいてくるなんて変なヤツ。
なんだアレ?
「む、コカトリスだな。こんなところにいるとは珍しい……」
ネネがモンスターの正体に気付いた。
ああ、あいつがコカトリスか。飛ぶのがあまり上手ではなく、石化や猛毒の攻撃をしてくるという話だが。
出会ったのは初めてだな。
「ひ、ひいいいっ、コ、コカトリスですってえええっ!?」
「た、大変だ、皆さんすぐに馬車に乗ってください、全力で逃げませんと!」
御者のベルモントさんとカムランさんが、真っ青な顔になって退避しようとする。
「ああ、慌てなくても大丈夫ですよ」
「だ、だ、大丈夫なわけないですよ、Sランク冒険者でもない限り、コカトリスなんて……」
「ユーリ、あのデカい鳥を近くで見てみたいぞ! テイムしてみてくれ」
サクヤがテイムをリクエストしてきた。
うーん、どうしようか……まあそれくらいならいいか。
「服従せよ!」
間近まで接近してきたコカトリスにテイムをかける。
その瞬間、暴走してきたコカトリスはピタリと止まって大人しくなった。
「おお、さすがユーリじゃ! このモンスターはあのパークにはおらんかったからな。ふむ、なかなか可愛いヤツじゃのう」
「サクヤ、コイツは可愛いヤツなんかじゃなくて、本来はそこそこ凶暴だからね。勘違いしないようにね」
「そうなのか? 愛嬌のある顔しておるのにのう。ちょっとだけこの鳥に乗って走り回りたいのじゃが、ダメか?」
「う~ん……じゃあちょっとだけだよ」
僕はコカトリスに命令して、サクヤを乗せたまま辺りを走らせる。
「うわーっ、気持ちいいのう!」
「あら、結構楽しそう! アタシも乗ってみたくなったわね」
「コカトリスなんぞに乗って走るとは、なんとも悪趣味な……まあこんなのもダーリンならではだな」
「ちょ……お客さん、これはいったいどうなってるんですか? アレってコカトリスですよね!? なぜ人間に懐いてるんです!?」
「いや、その……たまたまテイムできちゃいました」
「テイム!? コカトリスを!? そ、そんな、とても信じられない……」
僕の力を見せちゃったのはまずかったか?
でも、テイムくらいならそれほど珍しいことじゃないし……待てよ、コカトリスのテイムって凄いのかな?
そこまで強いモンスターじゃないはずだけど……ん? スフィンクスとどっちが強いんだっけ?
凶悪モンスターと戦いすぎて、その辺がすっかり分からなくなっちゃったな。
「お客さん、上位冒険者の方だったんですね。馬車に護衛を付けないので腕に自信があるとは思っていましたが、まさかこれほどお強い方だったとは……」
「はい、僕だけじゃなく彼女たちも全員強いので、道中は安心して馬車を走らせてください」
「それは心強いですね。報酬もたくさん頂いてますし、張り切ってお送りいたしますよ」
しばしの休憩ののち、僕らはまた出発した。
コカトリスには人を襲わないように命令したあと、そのまま野性に帰すことに。
パークに連れて帰りたいところだけど、担当しているメジェールたちが全員こっちに来ちゃってるので、迎える準備ができないからね。
ゆっくりと離れていく僕たちの馬車を、コカトリスは何度も鳴きながら寂しそうに見送った。
ああ、なんかスゴイ罪悪感が……ゴメンな。
人間の前に出ないで長生きするんだぞ。
「はいはい、ちょっと待っててね」
僕は膝に乗っているアピを下ろし、反対側の長椅子に座っているサクヤの隣に移動する。
アピは僕の顔をちらりと見たが、すぐに手に持つ食べ物に視線を戻して、また一心不乱に口に入れ始めた。
いま僕たち一行は、6人乗り馬車2台に分かれてファーブラ国へと向かっている。
馬車の中は、3人ほど座れる長椅子が向かい合わせに並んでいて、片側には僕とサクヤと久魅那が、もう片方にはアピとネネとゼルマが座っていた。
サクヤはその馬車の窓から外の景色を眺めている状態だ。
ちなみにもう1台の馬車には、メジェール、リノ、フィーリア、ソロル、フラウが乗っている。
「なんだあの小娘は。ずっとわがまま言い放題ではないか」
「まあまあゼルマさん、一応一番年下ですから、大目に見てあげましょうよ」
「ふん、まあ別にどうでもいいがな」
少しふてくされているようなゼルマを、久魅那がやさしくなだめる。
その横にいるネネも態度こそ大人しいが、サクヤのわがままには少し辟易しているような印象だ。
ちょっとフォローしておいたほうがいいかな。
「ま、まあ、ほら、サクヤは病弱でなかなか外に出ることはなかったから、こういう旅が楽しいんだよ。だから大目に見てあげて……」
「分かってる。ネネも子供にヤキモチ焼くほど……」
「ユーリ、話なんていいからちゃんと外を見るのじゃ!」
サクヤが僕の首に抱きついて、無理矢理窓のほうに向かせる。
それを見たネネが、ピリピリと静かな殺気を放った。あ、ゼルマもだ。
みんな、落ち着いて、冷静にね……。
ファーブラへは、最初魔導車で移動しようと思ってたんだけど、道中かなり目立つのでやめることにした。
アレはテンプルムだけが持つ魔道具だからね。乗っているのが僕らだとすぐにバレてしまうかもしれない。
『魔王ユーリ』がテンプルムから出たというのは、帝国には知られたくないところ。
という理由からお忍びで行きたいと思ってたので、フリーデンまで『空間転移』したあと、馬車に乗っていくことにした。
移動には御者を雇ったけど、もちろん僕たちの正体は内緒にしてある。
通常の馬車なので到着までだいぶ時間はかかるけど、のんびり旅を楽しむのもたまにはいいだろう。
これにはみんなも大賛成してくれた。
アニスさんとディオーネさんはファーブラが故郷だけど、テンプルムの内政があるので今回はお留守番してもらうことに。
僕がファーブラまで行けば、次からは『転移水晶』で簡単に行けるようになるから、無理して同行する必要もないし。
移動中は休憩ごとに、僕は2台の馬車を代わる代わる乗り換えているのだが、そろそろその時間がきた。
「お昼を過ぎたし、休憩がてらここらでご飯にしようか」
「うむ、わらわもお腹が空いたところじゃ!」
「ユーリ様、この辺りは自然も綺麗ですし、馬車を降りてみんなで食べませんか?」
「それはいい案だね。メジェールたちにも知らせよう」
前方にちょうどいい場所を見つけたので、御者のベルモントさんにお願いして馬車を道の端に寄せて止めてもらう。
それに合わせて、メジェールたちが乗っている馬車も同じように止め、中からみんなが降りてきた。
「やっと交代の時間が来たわね。次はアタシたちの馬車だからね、ユーリ!」
「ユーリ様、そちらでイチャイチャされるようなことはありませんでしたよね?」
「も……もちろんだよ」
歯切れの悪いコメントをした僕の顔を、ゼルマとネネが横からジトッと流し見る。
それを見た久魅那も苦笑い状態だ。
「……ウソね。どうせサクヤがひっついてたんだろうけど」
「は~、仕方ありませんわねえ……」
うぐっ、すぐにバレた。
メジェールとフィーリアにはウソがつけないって分かってるのに、ついごまかそうとしちゃうんだよなあ……。
でも、イチャイチャしてましたなんて、怖くてとても僕の口からは言えないし。
今の質問をされた時点で、僕は詰んでたな。
「ささっ、早く食べようぜ! メシ食ったら、オレがユーリ殿の隣に座るんだからな!」
「私もユーリの隣だ! 馬車が楽しみ~♪」
「えっ、リノさん待ってクダサイ、ワタシのはずデスよ!?」
「うそ、私だったよ!? ちゃんと思い出してよね!」
誰が両隣でもいいけど、争いはやめてください。
街道から少し離れ、丈の短い原っぱにシートを敷いてその上にみんなで座り、持ってきたお弁当を広げる。
コレは出かける前に、眷女のみんなが作ってくれた物だ。
宮廷料理人のエイミーさんから、色々料理を教わったらしい。
ネネとサクヤは料理をほとんどしたことないらしいけど、頑張って手伝ったようだ。
ゼルマだけは特に何もしなかったとのこと。
うん、そういう子だからね。いつか素直になってくれる日は来るんだろうか……。
「あっ、ベルモントさんとカムランさんもご一緒にどうぞ」
カムランさんはメジェールたちが乗っていた馬車の御者だ。
料理はたくさんあるので、せっかくだから誘ってみた。
「いや、私どもは自分の携帯食がありますので……」
「遠慮しないでください。みんなで食べたほうがご飯も美味しいですし」
「ではお言葉に甘えて……」
ベルモントさんとカムランさんも加わり、大勢で料理をつまんでいく。
天気もいいし自然も綺麗だし、最高のピクニックだ。
「ユーリ、コレ食べてみて! 私の自信作なんだから!」
リノは『超五感上昇』の影響で独特な味覚になったけど、おかしな部分を修正して、最近では万人向けの味付けもできるようになった。
そのオススメを食べてみる。
「どう?」
「うん、すごく美味しいよ」
「やったー!」
リノが満面の笑顔で喜ぶ。
でも実は、リノが一生懸命こだわったであろう繊細な部分が、僕にはよく分からないんだけどね。
もちろん美味しいことは美味しいけど。
正直、漠然と風味を感じてるような状態だ。
僕も『超五感上昇』を持ってるんだけどなあ……味オンチでごめんねリノ。
食後みんなでまったりとしていると、遠くから何かの気配が近づいてきた。
変な鳴き声のようなのも聞こえてくる。
『遠見』スキルで確認してみると、それは体長7~8mくらいある鳥みたいなモンスターだった。
羽があるくせに、空を飛ばずに走って近づいてくるなんて変なヤツ。
なんだアレ?
「む、コカトリスだな。こんなところにいるとは珍しい……」
ネネがモンスターの正体に気付いた。
ああ、あいつがコカトリスか。飛ぶのがあまり上手ではなく、石化や猛毒の攻撃をしてくるという話だが。
出会ったのは初めてだな。
「ひ、ひいいいっ、コ、コカトリスですってえええっ!?」
「た、大変だ、皆さんすぐに馬車に乗ってください、全力で逃げませんと!」
御者のベルモントさんとカムランさんが、真っ青な顔になって退避しようとする。
「ああ、慌てなくても大丈夫ですよ」
「だ、だ、大丈夫なわけないですよ、Sランク冒険者でもない限り、コカトリスなんて……」
「ユーリ、あのデカい鳥を近くで見てみたいぞ! テイムしてみてくれ」
サクヤがテイムをリクエストしてきた。
うーん、どうしようか……まあそれくらいならいいか。
「服従せよ!」
間近まで接近してきたコカトリスにテイムをかける。
その瞬間、暴走してきたコカトリスはピタリと止まって大人しくなった。
「おお、さすがユーリじゃ! このモンスターはあのパークにはおらんかったからな。ふむ、なかなか可愛いヤツじゃのう」
「サクヤ、コイツは可愛いヤツなんかじゃなくて、本来はそこそこ凶暴だからね。勘違いしないようにね」
「そうなのか? 愛嬌のある顔しておるのにのう。ちょっとだけこの鳥に乗って走り回りたいのじゃが、ダメか?」
「う~ん……じゃあちょっとだけだよ」
僕はコカトリスに命令して、サクヤを乗せたまま辺りを走らせる。
「うわーっ、気持ちいいのう!」
「あら、結構楽しそう! アタシも乗ってみたくなったわね」
「コカトリスなんぞに乗って走るとは、なんとも悪趣味な……まあこんなのもダーリンならではだな」
「ちょ……お客さん、これはいったいどうなってるんですか? アレってコカトリスですよね!? なぜ人間に懐いてるんです!?」
「いや、その……たまたまテイムできちゃいました」
「テイム!? コカトリスを!? そ、そんな、とても信じられない……」
僕の力を見せちゃったのはまずかったか?
でも、テイムくらいならそれほど珍しいことじゃないし……待てよ、コカトリスのテイムって凄いのかな?
そこまで強いモンスターじゃないはずだけど……ん? スフィンクスとどっちが強いんだっけ?
凶悪モンスターと戦いすぎて、その辺がすっかり分からなくなっちゃったな。
「お客さん、上位冒険者の方だったんですね。馬車に護衛を付けないので腕に自信があるとは思っていましたが、まさかこれほどお強い方だったとは……」
「はい、僕だけじゃなく彼女たちも全員強いので、道中は安心して馬車を走らせてください」
「それは心強いですね。報酬もたくさん頂いてますし、張り切ってお送りいたしますよ」
しばしの休憩ののち、僕らはまた出発した。
コカトリスには人を襲わないように命令したあと、そのまま野性に帰すことに。
パークに連れて帰りたいところだけど、担当しているメジェールたちが全員こっちに来ちゃってるので、迎える準備ができないからね。
ゆっくりと離れていく僕たちの馬車を、コカトリスは何度も鳴きながら寂しそうに見送った。
ああ、なんかスゴイ罪悪感が……ゴメンな。
人間の前に出ないで長生きするんだぞ。
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