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夢は森の香り 1
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のどかな陽気に誘われて、ミゼアスは木立の並ぶ通りをぶらぶらと散歩していた。
時間は昼過ぎ、見習いたちが学校から帰ってくるまでにはまだ間がある。帰りにお土産でも買っていこうかと思いながら、ミゼアスは一人で散策を楽しむ。
しかし、途中のベンチに見覚えのある姿が座っているのが見えた。
「ごきげんよう、ミゼアス。良い天気ですね」
「やあ……何、しているんだい?」
にこやかな笑顔を浮かべ挨拶してくるエアイールに、ミゼアスは訝しげな視線を送る。
「今日は天気も良いので、あなたがここに来るかと思いまして」
エアイールは穏やかな笑顔を崩さない。
「……待ち伏せしていたのかい。何か用?」
「待ち伏せとは人聞きの悪い。あなたに贈り物があるのですよ」
そう言ってエアイールは一本の小瓶を取り出した。手のひらに収まる大きさの、薄紅色をした硝子の瓶だ。中には液体が入っている。
「何だい、これ?」
「わたくしが調合した香油です」
「性交用?」
「はい」
ふーんと呟き、ミゼアスは小瓶を受け取って目の前で揺らす。香油とはいうが、あまり粘りはないようだ。瓶の中で液体がさらさらと動いた。
「きみがこの手のものを作るのが得意なのは知っている。媚薬入り?」
「はい。それなりに自信作です」
「へえ……ありがたくもらっておくよ。客かヴァレンあたりで試してみる」
「……どうしてヴァレンが出てくるのですか」
軽く眉をひそめるエアイール。
「ん? この間、お行儀の悪いことをしたお仕置きがまだだから。媚薬責めっていうのも面白そうかと思って。やっぱり基本は媚薬投与後に放置かと思うんだけれど、どう?」
「ああ……そういうことですか。そうですね。放置がよいかとわたくしも思います」
「だろう?」
「よろしければ、わたくしもお手伝いを」
「うーん……きみ、きっついだろうしなぁ……。今回でそれはさすがにかわいそうかな。ヴァレンがもっととんでもないことをやらかしたら、そのときは頼むよ」
「そうですか……では、ヴァレンが早くとんでもないことをやらかすよう、祈っております」
「祈らなくていいよ、そんなこと」
時間は昼過ぎ、見習いたちが学校から帰ってくるまでにはまだ間がある。帰りにお土産でも買っていこうかと思いながら、ミゼアスは一人で散策を楽しむ。
しかし、途中のベンチに見覚えのある姿が座っているのが見えた。
「ごきげんよう、ミゼアス。良い天気ですね」
「やあ……何、しているんだい?」
にこやかな笑顔を浮かべ挨拶してくるエアイールに、ミゼアスは訝しげな視線を送る。
「今日は天気も良いので、あなたがここに来るかと思いまして」
エアイールは穏やかな笑顔を崩さない。
「……待ち伏せしていたのかい。何か用?」
「待ち伏せとは人聞きの悪い。あなたに贈り物があるのですよ」
そう言ってエアイールは一本の小瓶を取り出した。手のひらに収まる大きさの、薄紅色をした硝子の瓶だ。中には液体が入っている。
「何だい、これ?」
「わたくしが調合した香油です」
「性交用?」
「はい」
ふーんと呟き、ミゼアスは小瓶を受け取って目の前で揺らす。香油とはいうが、あまり粘りはないようだ。瓶の中で液体がさらさらと動いた。
「きみがこの手のものを作るのが得意なのは知っている。媚薬入り?」
「はい。それなりに自信作です」
「へえ……ありがたくもらっておくよ。客かヴァレンあたりで試してみる」
「……どうしてヴァレンが出てくるのですか」
軽く眉をひそめるエアイール。
「ん? この間、お行儀の悪いことをしたお仕置きがまだだから。媚薬責めっていうのも面白そうかと思って。やっぱり基本は媚薬投与後に放置かと思うんだけれど、どう?」
「ああ……そういうことですか。そうですね。放置がよいかとわたくしも思います」
「だろう?」
「よろしければ、わたくしもお手伝いを」
「うーん……きみ、きっついだろうしなぁ……。今回でそれはさすがにかわいそうかな。ヴァレンがもっととんでもないことをやらかしたら、そのときは頼むよ」
「そうですか……では、ヴァレンが早くとんでもないことをやらかすよう、祈っております」
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