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贈り物 1
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ヴァレンは壁に向かって走っていた。飛び上がって壁に張り付き、手足をじたばたさせながら崩れ落ちていく。やがて、ぽてっと床に転がると、起き上がって壁から離れ、また走り出す。
「……ヴァレン、何をやっているのですか」
先ほどから何度も同じことを繰り返しているヴァレンを呆れたように見つめ、エアイールは尋ねる。
「壁のぼり」
床から起き上がりながらヴァレンは答え、また距離をとるべく走っていく。
「壁すべりの間違いでしょう。楽しいですか?」
「うん、楽しい。エアイールもやる?」
「遠慮します」
ヴァレンはうんざりとした様子のエアイールに構うことなく、彼曰く壁のぼりを再開する。
「まったく……どうして、あなたなんかがミゼアス兄さん付きになったのでしょう。見ていると、本当に腹立たしいです」
ぶつぶつとエアイールが文句を言うと、ゴン、と鈍い音がした。ヴァレンが壁に額をぶつけたのだ。額を押さえてヴァレンはうずくまる。
「ヴァレン! 何をやっているのですか! ほら、見せて……ああ、怪我はないようですね。ちょっと赤くなっているだけです」
慌ててヴァレンに駆け寄り、額の様子を見たエアイールは、安堵の吐息を漏らす。
「ん……心配かけてごめん。ありがとー」
無邪気にヴァレンが礼を言うと、エアイールは顔を赤くして首を左右に激しく振った。
「か……勘違いしないでください! あなたの心配なんてしていませんから! あなたに何かあったら、ミゼアス兄さんが心配するでしょう。それだけです!」
そっぽを向きながら言い捨てるエアイールを見て、ヴァレンはくすくすと笑いを漏らした。
「……ヴァレン、何をやっているのですか」
先ほどから何度も同じことを繰り返しているヴァレンを呆れたように見つめ、エアイールは尋ねる。
「壁のぼり」
床から起き上がりながらヴァレンは答え、また距離をとるべく走っていく。
「壁すべりの間違いでしょう。楽しいですか?」
「うん、楽しい。エアイールもやる?」
「遠慮します」
ヴァレンはうんざりとした様子のエアイールに構うことなく、彼曰く壁のぼりを再開する。
「まったく……どうして、あなたなんかがミゼアス兄さん付きになったのでしょう。見ていると、本当に腹立たしいです」
ぶつぶつとエアイールが文句を言うと、ゴン、と鈍い音がした。ヴァレンが壁に額をぶつけたのだ。額を押さえてヴァレンはうずくまる。
「ヴァレン! 何をやっているのですか! ほら、見せて……ああ、怪我はないようですね。ちょっと赤くなっているだけです」
慌ててヴァレンに駆け寄り、額の様子を見たエアイールは、安堵の吐息を漏らす。
「ん……心配かけてごめん。ありがとー」
無邪気にヴァレンが礼を言うと、エアイールは顔を赤くして首を左右に激しく振った。
「か……勘違いしないでください! あなたの心配なんてしていませんから! あなたに何かあったら、ミゼアス兄さんが心配するでしょう。それだけです!」
そっぽを向きながら言い捨てるエアイールを見て、ヴァレンはくすくすと笑いを漏らした。
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