体育教師の躾と訓練

仕組まれた厳罰と秘められた厳罰（回想編）〜和彦

伝統の勝負

「おい、杉山、否定しないのか?お前は本当にホームルームでエロい下着一枚になったのか？」

白々しい大声で荒木がいたぶるように言う。

和彦の混乱、震えは増していく。

「荒木先生、エロなんてもんじゃなく、どエロいスケスケ変態パンツだったらしいですよ。紫色で、チンポコを仕舞うどころか目立ちさせるようなヒドイヤツだったらしいっす。しかもそれだけで驚いちゃいけませんよ。なんとこの男、最後にはその下着を脱いで、チンチン丸出しの素っ裸でホームルームをやったらしいんすよ。マジ、こっ恥ずかしい変態エロ教師っす！」

保田が荒木に言う。

年長の教師を“この男”、“変態エロ教師”呼ばわりする無礼さだ。

だが、荒木は咎めない。

そして、気圧されている和彦も、もはや口を開くどころではない。

もちろん、荒木はそのホームルームで起こった一連の事実を把握している。

が、とぼけているのだ。

「な、何だって？杉山、教師としての業務中に素っ裸になったのか?俺達の聖域である教壇の上で、教え導くべき生徒達の前で素っ裸になったのか？信じられない。そんなことはないよな？杉山。お前がそんなことをやるとは信じられない。やっていないよな？杉山」

荒木が、すでに精神的に追い詰められている和彦に、さらなる責めを加える。

和彦は唇を震わせ、答えられない。

「どうした？杉山、やっていないならやっていないと言え。お前がそんなことをやるわけはないだろ。俺は、お前を信じている。お前はホームルームで裸になどなってないよなっ？」

荒木は和彦の精神に攻撃を叩き込む。

和彦は答えられない。

顔が引き攣っていく。

確かに、俺は、ホームルームで裸になった、、、

それは事実だ、、、

だが、それは仕組まれたんだ、、、

お、俺は、どうすればいいんだっ？

「杉山、黙っていては分からないだろう。まさか、本当に裸になったのか?杉山。答えてみろよっ！」

和彦に詰め寄り荒木は言う。

「どうなんだっ？答えろっ！杉山っ！お前は、ホームルームで裸になったのか?」

和彦の震えが激しくなる。

「どうなんだ？杉山っ！」

気押された和彦は思わず頷く。

「おいっ、杉山っ！本当なのか？」

「違うんです、荒木さん、、、なりたくてなった訳では、ない、、、」

言い訳をする和彦の言葉を風間が遮る。

「それだけじゃないだろっ！消灯時間が過ぎたグラウンドを素っ裸で走っていただろうっ！」

ウグッ、、、そ、その出来事まで出すか、、、

ズガンッと脳裏を打たれたような衝撃を和彦は受ける。

思い出したくもない屈辱的な出来事。

風間の言葉にトラウマが甦る。

あれこそ巧妙に仕掛けられた罠にまんまとハマってしまった結果だ。

寝静まっているはずの寮。

暗かった窓に次々と灯が付き、生徒の影が浮かび、窓が開き、一斉に罵声、嘲りの笑い声が和彦を襲う。

その中を股間を両手で隠し、すっぱだかで走らなければならなくなった自分。

“見るな、見ないでくれぇ～っ”と嘆願する教師である自分に向けられたスマホ、響くシャッター音。

和彦の顔が惨めに歪む。

「はあ？夜中に素っ裸でグラウンドを走っただと？信じられない。本当か?」

荒木が言う。

「そうなんですよ、荒木先生。ついさっき風間達から、この変態男の不適切な行いを聞いて、私もOBとして驚きました。なぁ、さっきの学園新聞を荒木先生に見てもらえ。そこに証拠が載っている。本当に、自分の目を疑いましたよ」

男らしく落ち着いた声で話したのは直江だ。

和彦を、軽蔑するように見る。

「あっ、、、だ、ダメだ、あんなもの、、、あっ、、、や、やめてっ、、、渡すなっ、、、そんなもの、荒木さ～ん、お願いだから見ないで下さいぃぃぃ、、、」

悲鳴に似た声で縋り付くように和彦は叫ぶ。

「おいっ！杉山和彦っ！往生際が悪いぞっ！生徒の悪ふざけが行き過ぎただと？他人のせいにするんじゃないっ！男らしくないぞっ！」

さすが元応援団長だけあって、腹から出した鋭く厳しい声が、呼び付けにされた和彦の胸を直撃し、切り裂く。

「ああ、、、ダメだぁ、、、見せないでぇ、、、」

ニヤリと笑いながら水田が折り畳まれた学園新聞を荒木に渡す。

「なになにぃ？何じゃこの写真は、、、こりゃ、ヒドイ、、、本当に素っ裸でグラウンドを走ったのか？お前は何を考えてるんだ、、、まぁ、鍛えた肉体を見せびらかしたいのは分かるが、、、これは行き過ぎだ、、、そりゃ、露出教師と書かれるぞ、、、あと、、、、“亀頭隠して尻隠さず”だと？、、、ハハハッ、、、こりゃ、傑作だっ！」

和彦の痴態を印刷した学園新聞。

荒木の言葉。

和彦は自身の気が狂ってしまうような混乱に陥る。

アアアアァァｱｱ～

苦悶に満ちた声を上げ、和彦は頭を抱え、しゃがみ込んだ。

頭に手を当てることで露わになった腋下で、ふっさりと生えた漆黒の生命力溢れる腋毛が存在を誇る。

その腋毛を、3人の主将が舐めるように見ている。

見事な身体、、、

この美しい肉の塊ををこれからボロボロになるまでいたぶり、自分達の嬲りモノになるまでに堕とすのだ。

ゴクリとツバを飲み込む音がする。

「荒木先生、笑い事じゃありませんっ！可愛い後輩達が、こんな変態男を教師として仰いでいるなど許しがたいっ！杉山和彦っ！お前は見果てたヤツだ！お前の性根を叩き直すため、勝負を申し込むっ！」

頭を抱え蹲った和彦に向かい、裸で仁王立ちとなっている漢おとこ・直江が厳しい口調で言う。

「杉山っ！なぜ蹲るんだ。さっさと立てっ！」

荒木が和彦の太く鍛えられた腕を掴み、立つように引き上げる。

混乱状態に陥っている和彦は抵抗する気力も起きないのか、ヨロヨロと立ち上がる。

「杉山、前応援団長の直江の言葉だ。この学校の教師として、男として、受けなければならんぞ」

混乱する和彦に吹き込むように言う。

和彦は震え、怯えた目を直江に向ける。

が、鋭く見据える直江の視線に弾かれるように、すぐに目を逸らす。

完全に気押されている。

「杉山和彦、返事は?俺との勝負を受けて立つか?それとも、尻尾を巻いて逃げるのか？負け犬のように、、、」

漢おとこ・直江の挑発。

和彦は反射的にコクリと頷き小声で呟くように言う。

「、、、、う、うける、、、、」

お～っ！

よしっ！

主将が口々に言う。

「杉山っ、よく受けた。それでは準備を始めるか」

「応援団伝統の裸レスリング無制限一本勝負が見られるんすね」

「直江さんと杉山先生なら、迫力ある戦いになりそうだ」

「どっちも鍛えた身体だもんな」

「今日はローションもオイルもたっぷり用意されてますからね～、特別豪華版だ、、、」

荒木、3主将が次々に言う思ってもない言葉。

が、思考停止に陥ってしまっている和彦は、その言葉が耳から入ってはいるが、脳みその周りを滑っているだけのように思え、意味を把握することができない。

応援団伝統？

裸のレスリング？

無制限一本勝負？

鍛えた体?

ローション？

オイル?

何だ？

この人達は何を言ってるんだ？

そして、何を動き始めたんだ？

混乱の極み。

すでに自分が体操競技の試技を見せるために来たということなど忘れている。