体育教師の躾と訓練

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仕組まれた厳罰と秘められた厳罰(回想編)〜和彦

漢の詰問

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ジリジリと和彦を囲む者達が近付いてくる。

和彦はの顔の怯えが強くなる。

自身を囲む空気の圧が強くなり、自分が押し潰されるような恐怖を和彦は、感じ始める。

「な、なんだい、、、怖い顔をして、、、ど、、うしたんだ?」

和彦が不穏な空気を払うように言う。

しかし、声は軽く震えており、効果はない。

和彦の怯えは増す。

この空気、、、

この数週間で何度も経験した悪意に満ちた空気、、、

和彦は自身がまた、その理不尽な悪意に包まれ始めていることを感じ取る。

なんでだよ、、、

なんで、オレばかり、目の敵にされるんだ、、、

俺が何をしたっていうんだよぉぉぉ、、、

和彦は混乱する。

理由が分からない。

自覚はないがその原因は和彦自身にある。

立ち竦む和彦の逞しく美しい非の打ち所の無い肉体。

その上にのる少年のようなキリリとした若武者のような爽やかな顔。

まずそれが周囲の者達の心を掻き乱す。

そして、その強靭そうな肉体とはアンバランスな温和で一本気な性格、ピュアな心、、、

純粋なものを汚したくなる衝動を持つ者達には格好の獲物。

自身が極上の肉の獲物であるという自覚が和彦にはない。

「み、みんなは、他の参加者はまだ来ないのかい?」

和彦は、必死に言葉を紡ぐ。

他の高校3年生、裸になり、先程まで和彦と共に走り、パスをし、水を浴びた生徒達が一人もいない。

彼らが来れば、この雰囲気も和らぐはず、、、

それなのに、なんで、、、

なんで誰も居ないんだ?

和彦を囲む空気の重みがさらに深まる。

「皆は、来ません」

風間が冷たく言い放つ。

「プールへ行ったよ」

水田が尊大に言う。

「な、なんで、、、なんで?、、、プールは中止だって、、、皆で体操するって、、、先に体育館に行ってるって、、、、ねぇ、荒木さん、、、そう言ってましたよね、、、ね、、ねぇ、、荒木さぁぁん、、、」

和彦の怯えは増し、慄える声で嘆願するような口調で言う。

信じたくない。

だが、何らかの奸計を仕組まれ、自分がその罠にハマりつつあるという実感が強くなる。

和彦は、周りを見回す。

また、生徒会長か?

生徒会長の藤崎竜之介が子分の結城たちを従えて現れ、3年の主将達と俺をいたぶろうというのか?

藤崎の姿を探す。

が、居ない。

「杉山先生、、、いや、あんたには先生と呼ばれる資格はないなっ!おいっ!杉山和彦っ!この暴力教師っ!ホームルームで生徒に暴力を振るった上に、その生徒を脅して騒ぎを葬った上に、その生徒達の周りをうろつきチクらないよう監視しているそうだなっ!見下げた男だぜっ!さっきまで尊敬していたが、その話を聞いて愕然としたぜ。お前は、最低の野郎だっ!教師の資格はないっ!俺はそう言うヤツを許せねぇっ!」

一歩前に出た直江が、姿勢を正し、いきなり和彦に向かい怒鳴りつけた。

余りの言葉に和彦は、呆然と棒立ちになる。

厳しい表情ですっくと立つおとこと呼ばれる直江。

己が裸であることを恥じていない立ち姿。

背筋を伸ばし、おとこらしい無骨な筋肉が際立つ。

威圧感が半端ない。

対する和彦は完全に押されている。

筋骨隆々とした身体を震わせ、怯えを隠せない表情でおとこに対峙している。

その逞しい肉体が無防備に立ち竦む姿が周囲の嗜虐者の劣情を掻き立てていることに気付かない。

事実とは異なる言い掛かりに和彦はフルフルと力無く首を振りようやく口を開く。

「な、、、いや、、、そ、そんなことはない、、、か、監視なんてしていない、、、葬りもしていない、、、」

「嘘つけよっ!先公っ!てめぇ、最近、鍋田や梶山の周りをチョロチョロつきまとっているじゃねえか。鍋田、梶山、二人ともお前の暴力の被害者だろ?口封じに決まっているじゃないかっ!」

保田が直江に続いて和彦をなじる。

「違うぅぅ~っ!」

和彦は絞り出すように言う。

違うのだ。

確かに、休み時間の校内、放課後の寮で、鍋田、梶山達と一緒に居ることは多い。

だが、それは俺が監視するためなんかじゃない。

逆だ。

監視されているのは俺なんだ。

一緒に居るだけじゃない。

俺が一人の時も、どこに仕掛けられたのか分からない監視カメラで見張られ続けているんだよっ!

それに、暴力を受けているのは俺だ。

呼び出され、身体を弄くり回され、屈辱的な行為を強要され、時に、平手で、ベルトで、ラケットで、身体を打たれているのは俺の方なんだ~っ。

被害者は俺なんだ。

口封じをしてきているのは生徒達の方なんだっ!

が、それを言うことは出来ない。

「本当だぁ、信じてくれ、、、信じてくれよ、鍋田とも、梶山とも誤解は解けているんだぁ、、、だから、一緒にいる、、、本当だ、、、」

そして、反目していたはずの鍋田、梶山、そして、結城が、生徒会長と共に、和彦と仲が良さそうに過ごしていることが3人の主将の嫉妬、逆恨みを買っており、和彦の誤解は解けたという言葉が事実と分かっているだけに3人の和彦に対する妬みが強まっていくことに気付かない。

フッ

鼻で笑ったのは風間だ。

「ホームルームの後、真っ青になっていた梶山の姿、あれが誤解の結果とは思えませんよ、、、暴力は確かにあった、、、そして、それがいつの間にかうやむやにされたのは事実でしょう、、、もし誤解だと言うなら、きちんと説明してください、、、どうです?」

和彦の血の気が引いていく。

頭がクラクラしてくる。

誤解なのだ、、、

すべては誤解なのだ、、、

が、ホームルームでの出来事は、クラスの生徒達の謝罪を受け、すべて水に流したうえで、今後は、それについてはお互いに口外しないと約束している。

和彦と生徒達の固い約束だ。

もちろんその内の何人かは、そのホームルームでの騒ぎを仕組んだ一味なので口外しないもなにもないのだが、その他の生徒達は、その場のノリに流され和彦に対して行った仕打ちを本気で反省している。

その生徒達のために、ホームルームでは和彦が加害者ではなく被害者であり、生徒によってあたえられた屈辱に耐えた結果、我慢の限界を越え、手足をバタバタさせたのを暴力と呼ばれた真相を明らかにすることは出来なかった。

教師に対する度を越えた暴挙は親との面談、停学、退学にも繋がる。

だから、和彦は口を閉ざしたのだ。

もし、ここでホームルームのときに和彦が受けた仕打ちを話せば、下手をすると反省している生徒達を酷いと退学の懲罰に追い込む。

それは避けなければならないと和彦は思う。

約束をした以上、守らなければ、、、

だが、何も言わなければ、この場で俺は暴力教師であると自ら受け入れなければならなくなってしまう。

真相を話したい、が、話すことは出来ない、、、和彦の心は矛盾で掻き乱され、考えを纏められず、混乱が増す。

「おいおい、杉山、お前、生徒に暴力をふるったのか?」

芝居がかった口調で荒木が割って入る。

もちろん彼は、三主将からホームルームでの出来事、そして、グラウンドで素っ裸で疾走したことを知っている。

それを押し隠し、今、初めて事実を知ったように、白々しく言う。

和彦はさらに追い込まれる。

「いえ、、、あ、あれは、生徒達の行き過ぎた悪ふざけで、、、だから、もう問題は解決して、、、」

しどろもどろで答える。

「え?生徒の悪ふざけ?で、もう解決しているのか?」

荒木が言うと、風間がキツい声を発する。

「おい、それは梶山達生徒が悪いっていうのか?あんた、ドスケベな下着一枚でホームルームをやったんだろ?それがまともな教師がすることかよっ!」

「何だって?ホームルームでドスケベな下着一枚になっただと?教師として、信じられないな。確かに、お前がその真っ赤なハレンチパンツを履いているのには驚いたが、それを、生徒の前で見せたのか?ホームルーム中だと?ってことは、教室でパンツ一丁になったのか?なぜ、そんな必要がある。そんな教師がいるとは信じられない。杉山、お前、こんなことを生徒に言わせておいて良いのか?下着一枚でホームルームをするなんて破廉恥なことをお前がする訳がないよな?」

荒木が和彦の目を鋭く見ながら言う。

和彦の混乱は増す。

さらに自分は片手に深紅のご丁寧にレース飾り付きのケツ割れマイクロビキニを持っている。

直江、三主将がその布切れを見ている。

風間の言い掛かりに信憑性を持たせてしまっている。

確かに自分はホームルームでエロ下着になった。

が、それは、学級委員の結城、そして、その背後にいる生徒会長の藤崎竜之介が仕組んだ罠に嵌められただけだ。

エロ下着だって、学年主任の白川にネチネチイビられた結果、洗濯の時間がなく、吐き捨てたパンツをもう一度履くよりましと引っ張り出してきたビンゴの景品を履いただけだ。

が、その事実を言えるか、、、

経験上、口下手な和彦が説明すれば説明するほど、泥沼にハマるように奸計に落ちていってしまうのは、これまでの経験で分かっている。

そして、事実を話した時に、藤崎一味にどんな報復を受けるか、、、

ど、、、どうすれば、、、

俺はどうすればいいんだぁ、、、っ!

和彦の脳裏が冷たくなり、身体が震え始める。

失神して現実逃避が出来ればどれだけいいだろう、、、、

和彦の精神は追い詰められる。
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