体育教師の躾と訓練

文字の大きさ
63 / 86
仕組まれた厳罰と秘められた厳罰(回想編)〜和彦

小道での逡巡

しおりを挟む
広い学園の敷地の隅。

体育館の裏。

ここまでは手入れが行き届いていないのか、それとも、急に暑さを増した気候に手入れが間に合っていないのか、裏手の山から続く小道の周囲には雑草が繁っている。

その雑草に挟まれた小道を2人の逞しい男が並んで歩いている。

あまりにも対照的な格好。

1人は爽やかなラグビーのユニフォームを見に纏った長身の男、荒木。

この学園にパートで教えにくる体育の講師。

広い肩幅、ラグビーシャツの上からそれと矢分かる熱い胸板、恵まれた長い四肢のために太くは見えないが、しっかりと鍛えられた筋肉が付いていることが分かる。

もう1人は、この学園の新人体育教師、若さに溢れる杉山和彦。

小柄だ。

そして、体操競技の名選手だけあって、全身が締まり、瘤のような硬い筋肉に覆われていることが一目で分かる。

何故なら、彼は、靴下とスポーツシューズのみ身に付けたほぼ全裸の状態だったからだ。

歩みと共に和彦の足の、腰の、腹の伸縮し、筋肉の塊がゆったりと動く。

美しく逞しい裸体。

だが、対照的に顔は曇っている。

横に歩く荒木にネチネチと言われているのだ。

“よく生徒の前で平気に裸になれたな、、、”

“鍛えられた筋肉を見せびらかしたいのか?オレには分からない感覚だよな、、、、”

“自慢のデカマラで生徒にマウント取れて嬉しいだろう、、、”

先程のグラウンドの疾走で感じていた爽快感は消えている。

そして、体育館が近付くにつれ、自身が体操の試技を行う約束をしたことを思い出している。

試技、生徒を前にして様々な体操の技を見せる。

鉄棒や鞍馬の器具が用意されるかどうか分からないが、床運動は必須だろう。

これまで授業などで行なった試技で一番生徒達が歓声をあげたのは、腕の力と体幹を使った倒立の連続技だった。

倒立から、開脚、片手、そして、片脚を曲げもう一方は伸ばす鹿倒立、その後、身体を支える両腕の間に胴体をくぐらせた後に両腕で身体を支え脚を前方にまっすぐ伸ばす脚前挙支持、そこから最後は両脚を持ち上げ上半身と太腿がくっつくように180度回転させ静止するマンナに繋がる連続技。

アクロバットよりも緊張感が続き、生徒達が固唾をのんで見守っているのが分かった。

訓練、才能が物を言うアクロバットよりも、体幹を鍛え、バランス感覚が必要となる倒立のほうが、それを覚えようとする生徒達の体作りにも役立つと、和彦は、その連続技を見せ、生徒達に倒立から始め、生徒のレベルに応じて教える技を変えるという指導をよく行った。

開脚倒立、鹿倒立、マンナ、、、

今の和彦は、靴のみの素っ裸、、、

まさか、俺はそれを素っ裸でやることになるんだろうか、、、、

もし裸でやるのであればポーズの静止中、俺はケツの穴を生徒に晒し続けることとなる。

まさかな、、、、

まさか、そんなことになりはしないさ、、、

体育館に入ったら、さっと体操着を身につければ良いんだ、、、

が、、、、

ここしばらく自身を襲った理不尽な出来事の数々でネガティブになった心が楽観を許さない。

生徒達の中には脱いだ者も多い。

彼らが、裸のままでい続けたとしたら、一人だけ体操着を身に着ける和彦の事をどう思うだろう。

荒木の言葉、“教師は生徒とは違うんだから、生徒が脱いだからといって自分まで脱ぐ必要はないんだ”というのは正論かもしれない。

が、生徒と等しい立場を保つという和彦の信条には背く。

そして、一人だけ体操着を着れば、折角、胸を開いてくれた3年生達を裏切ることになるのではないか、、、

和彦は、考える。

気が重くなり、胃が痛くなる。

あっそうだ、、、、

試技をすると汚いケツの穴を見せてしまうから、サポーターだけ付けさせてくれよ、、、と言えば良いのか。

お前達も俺の汚いケツの穴なんか見たくないだろうと、、、

体操の試技用のサポーターは体操着とともにスポーツバッグに放り込んだ。

せめて、アレだけを履けば良い。

裸の生徒達にも、サポーターだけを着けるように言えば不公平もない。

そうだ、、、そうしよう、、、

和彦の顔が少し明るくなる。

「おぅ、杉山、中に入ったら俺達は指導やら、試技やらで休む時間はあまり取れない。少し喉を湿らせておこうぜ」

荒木が言い、スポーツドリンクを美味そうに飲む。

確かにそうだ。

和彦は、風間が差し入れてくれたスポーツドリンクを飲む。

酸味が効いて体に染みるようだ。

グイッとボトルあげ、ゴクゴクと飲む。

そして2人は体育館の裏口に着いた。

扉を開ければ、狭い廊下。

脇には用具室の扉。

そして正面が一階の広い体操場への扉だ。

荒木の歩みが少し遅れる。

だから、和彦が先に行く。

扉を開けた和彦の目が開く。

3年生の有志達が自分達の到着を待っていると思っていたのに、そこに居たのは3人の主将とほんの数人の生徒と直江。

裸なのは直江だけで、3年生は皆ユニフォームを着ている。

さらに体操用具が準備されていると思っていたのに、床にはブルーシートが広く引かれ、ポリタンクが数個置かれている。

え?

なんだ?

何を用意したんだ?

それに他の生徒達はどうしたんだ?

これから来るのか?

校舎側に設置された広い扉を見る。

閂が掛かっている。

っ?

呆気にとられた和彦の裸の背がドンと押された。

和彦の身体が廊下から完全に室内に入る。

背後で扉の締まる音。

そして、鍵が掛かる音がした。

和彦は、ハッと後ろを振り返る。

荒木がニヤリと嫌な笑いを浮かべ和彦を見ている。

え?

そして、和彦は、再び生徒の方を見る。

生徒達も嫌な笑みを浮かべ、広がり和彦の方に近付いてくる。

か、囲まれる、、、っ?!

和彦の身体に怯えの慄えが走る。

何が起こっているか分からない。

が、自身がこの体育館でもまた、理不尽な仕打にさらされるのではないかという嫌な予感が生まれ、それが、確信に変わっていく。

なんで、、、、

なんで、、、、

なんでオレばっかりぃぃぃぃぃぃ、、、、

和彦は、頭を掻きむしり叫びたくなった。








しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

処理中です...