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・・『開幕』・・

・・総合共同記者会見・・3・・

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「・・はい・!・A07の方、どうぞ・・」

「・・『セントラル・ニュース・ネットワーク』のルディ・ヴィーナーです・・このゲーム大会を開催する目的として挙げられている条項が6項目ありましたので読みましたが、これらの目的を達成する為としても、構築されている予算体制はあまりにも巨額です・・弊社の独自取材による観測では、この地球を周回する軌道空間の中で実際に運用できる、機動宇宙空間戦力編制配備の為の初期データ収集が目的であると言う予測考察が、得られているのですがこれについての見解をお願いします・・」

・・訊かれた主席報道官は数秒怪訝な表情だったが、次いで笑顔を観せた・・。

「・・なかなかにユニークで、個人的にも興味深く面白い質疑ですね・・ですがそのような事は全くございませんと、お答え致します・・このゲーム大会の目的とされておりますのは、新しい基本科学理論の構築・・新しい基本科学技術の開発・・新しい応用科学理論の構築・・新しい応用科学技術の開発・・新しい基本物理学理論の構築・・新しい応用物理学理論の構築・・と言う6種類のカテゴリーに於いて具体的な目的が提示されておりますが、これらそれぞれの具体的な目的は最終のものではなく、達成されれば即時に次の具体的な目的が提示されます・・そのようにして常に新しい理論の構築と新しい技術の開発に、立ち止まる事無く・・停滞させる事も迷う事も無く、邁進して参りたいとの基本姿勢であります・・新しく開発された応用科学技術を用い、各種別艦の基本スペック向上にも取り入れて参りたい所存であります・・遠い将来に於いては、本物の宇宙艦船が建造出来て実用化出来る程の技術レベルの蓄積が叶うのであろうと個人的には思いますが、それはこのようなゲーム大会が運営されて行く中で蓄積されていくような技術的情報では叶えられないのではないだろうかと、個人的には思います・・このような説明で宜しいでしょうか・・?・・それでは、次の方・どうぞ・・はい・!・B12の方、どうぞ・・」

「・・『グローバル・ニュース・ネットワーク』のスキート・オーティスです・・最後に残る1隻が確定するまで、例え50年が経過しても、このゲーム大会は終了しないと言う事でしょうか・・?・・」

「・・はい、全くその通りであります・・宜しいでしょうか・・?・・それでは、次の方・どうぞ・・はい・!・C26の方、どうぞ・・」

「・・『ホット・ニュース・ステーション』のモリー・ヴァッシーです・・このゲーム大会は、今回限りの開催なのでしょうか・・?・・2回目の開催は構想されているのでしょうか・・?・・」

「・・現状で申し上げれば、2回目の開催は構想されておりません・・間も無く開幕となりますこのゲーム大会ですが、最後の1隻が特定されて終了となるまでどの位の期間が必要となるのか、全く予想できませんので2回目は無いものと考えて頂いても宜しいかと思います・・宜しいでしょうか・・?・・それでは、次の方・・どうぞ・・」

・・その後も質疑応答は続いたが運営推進本部の不備や意表を突くような鋭い質疑は出ずに、決定事項を確認するような質問が続いた・・聴こえてはいたが頭ではあまり認識していなかった・・認識していたのはこのゲーム・・軽巡宙艦にとっては厳しい展開になるだろう言う事で、考えていたのは開幕後4日間での単艦訓練プログラムを練り直す必要があると言う事だった・・。

「・・それでは、そろそろ質疑も出尽くしたように観じられますので・・質疑に対しての応答は終わらせて頂きます・・続きまして、本日は配信会社から推薦されましてこちらに登壇されておられます、軽巡宙艦20隻の艦長と副長の方々がおられますので・・お一人ずつからご挨拶と抱負を頂きます・・申し訳ありませんがお一人に附き5分間程度で発言を頂き、全員の発言が終りました時点を以ちまして本日の総合共同記者会見を終了とさせて頂きます・・皆さん、本日は当運営推進本部にご参集を頂き、本部メインサイトに接続して頂きまして、誠にありがとうございました・・お帰りの際にはどうぞお気を付け下さい・・それでは、どうぞ・・」

・・そう言い終えて主席報道官は退場した・・彼の姿が舞台から消えるのと同時ぐらいに私は右手を挙げて立ち上がり、歩み寄ってマイクを前にして立つ・・。

「・・皆さん、こんばんは・・『ディファイアント』のアドル・エルクです・・この場をお借りして総ての軽巡宙艦の艦長とスタッフの皆さんに申し上げます・・軽巡宙艦63500隻弱に対して、重巡宙艦と戦艦を合わせると48900隻弱となりました・・これが何を意味するかと言いますと、私達が協力し合わなければ殆ど生き残れなくなるだろうと言う事です・・せっかくこのゲームに、参加できる事になったのですから・・出来得る限りこのゲームを長く楽しむ為にも協力し合いましょう・・【『ディファイアント』共闘同盟】への参画を呼び掛けます・・開幕して出航したら、『ディファイアント』に向けて通信を送って下さい・・宜しくお願いします・・私は出来るだけ長期間、皆さんと一緒にこのゲームを楽しみたいです・・」

・・それだけ言い終えると私は右手を挙げて笑顔を作り、マイクから離れて席に戻った・・入れ替わりにシエナが立ち上がって演台に向かうのが観えたが、私はもう周囲の現象を何も認識しなくなっていた・・誰が立ち上がって何を喋ったかについても認識しなかった・・腕を組んで眼は開いていたが、顔は正面を向いていた・・気が付くと場内アナウンスが終了を告げていて、既にカーテンが閉められているのを認識した・・。

「・・アドルさん、終わりましたよ・・?・・」

・・ザンダー・パスクァールがその左手を私の左肩に置く・・。

「・・ああ、ありがとう・・皆さん、ちょっと集まって下さい・・話があります・・」

・・そう言いながら立ち上がると、ソファー席の後ろに回って皆を呼び集める・・。

「・・皆さん・・大会が開幕して2週間・・最初の4日間のフィールドは同じものになります・・つまり途方も無く広いフィールドの中で、単艦での訓練を行えます・・2日間から4日間と言う長丁場になりましたので、単艦での訓練プログラムプランを抜本的に観直します・・ハイラムさん、ヤンセンさん、ザンダーさん・・お願いしている訓練プログラムプランの構築を急いで下さい・・ハイラム・プラン、ヤンセン・プラン、ザンダー・プランを可及的速やかに仕上げて頂いて、27日・金曜日の午前0時までに会議室にアップして下さい・・申し訳ありませんが、これはお願いします・・私は3つのプランのアップを確認した上で、27日一杯を使って4日間での単艦プログラムプランを、3つのプランを取り入れた最終決定プログラムプランとして書き上げてアップします・・シエナ副長、ヒューズ副長、クラーク副長、ランドール副長・・私が最終決定プランをアップしたら、それを確認した上でその記事全文をプリントアウトして下さい・・そしてそのプリントを気取られないように艦内に持ち込んで下さい・・メディアに記録して持ち込もうとすると、艦内センサーがそれを探知して通報する可能性がありますので、ここはプリントで持ち込んで下さい・・無事に持ち込んで出航出来たら、会議室『DSC24GF』の設定を最速で行ってプリントの記事を書き込んでアップしますから、その後はプログラムプランに従って単艦での訓練に入って下さい・・それに先立つプレフライトチェックの間に、暗号秘密通信回線のセットアップを行って頂いて、出航したら会議室『トゥールーダイスGF』の設定も最速で行ってセットアップ完了の報告をアップして下さい・・シエナ副長・・私が今話した事を明日の朝、グレイス・カーライル艦長に通達して下さい・・好い機会ですのでここで発表しますが、ザック・オークマン艦長の『カオス・カスタリア』を同盟に迎え入れます・・反対の方はいらっしゃいますか・・?・・」

・・誰も口を開かない・・。

「・・分かりました・・それではこの場を以て彼と彼の艦の同盟への参画を正式に決定します・・どなたか明日中に彼と連絡を執って頂き、私の名代として彼と明後日中に面会して頂いて、暗号秘密通信回線のセットアップデータを渡して頂きたいのですが、引き受けて下さる方はいらっしゃいませんか・・?・・」

「・・私が参ります・・」

・・そう言って、エイミー・カールソン女史が手を挙げる・・。

「・・大丈夫ですか・・?・・」

「・・大丈夫です・・問題ありません・・」

「・・アドルさん・・アドル主宰の名代としてはカールソン艦長にお任せしますが、自分は警護役としてカールソン艦長に随行します・・ので、どうかご心配なさらずに・・」

・・そう言って、アリミ・バールマン艦長が一歩進み出る・・。

「・・分かりました、それでは、お二方にお任せします・・外で待っているリサ・ミルズ女史から、彼の連絡先とセットアップデータを受取って下さい・・ここ迄で質問はありますか・・?・・」

・・また誰も口を開かない・・。

「・・思い付いたら何時でも好いですから、何でも会議室に書き込んで下さい・・最後にあと2つだけ・・今から話す2つの事は、ここだけの話です・・誰にも言わないで下さい・・運営推進本部の真の目的が判りました・・ひとつは、本物の宇宙艦隊編成の為の基礎情報の収集です・・もうひとつは・・私のような人材を集めて、その能力を覚醒させる事です・・つまり、私達が選ばれたのは偶然ではなかったと言う事です・・だから私は感じていたのです・・私よりも凄い艦長が沢山いると言う事をね・・そしてそれに付随して判った事がもうひとつ・・サイン・バード氏が組み上げたAIと同等かそれ以上のAIが、運営推進本部の中にあります・・」

・・その場を1分弱、沈黙が支配した・・。

「・・まあ最初の4日間は誰にも出遭いませんので、思う存分訓練に集中できます・・今日はお疲れ様でした・・解散しましょう・・シエナ副長・・ここでの話しをリサさんだけには伝えて下さい・・リサさんには知って置いて貰いたい情報です・・」

「・・分かりました・・伝えます・・」

「・・それでは、解散します・・スターティング・セレモニーで、お会いしましょう・・」

・・そこで話を切り、舞台袖に向って歩き始める・・皆も続いて歩き出す・・舞台袖から外のエントランス・ラウンジに出て、待ってくれていた仲間達と合流した・・報道関係者たちは皆もう帰ったようだ・・。

「・・先輩、お疲れ様でした・・」

・・スコットが歩み寄って来て、お互いの右手を握り合う・・同僚達もスタッフ・クルー達も集まって来る・・。

「・・皆、今日は来てくれてありがとう・・総ての情報が出揃って、私達がやるべき事も定まった・・あと2日で開幕だ・・全員体調には充分に留意してくれ・・艦長と副長の皆さん・・彼等が『ディファイアント』のスタッフ・クルーと、私の職場の同僚達です・・医療部と厨房を除く全員が来てくれています・・ラウンジ・スタッフを代表して、チーフ・バーテンダーが来てくれています・・すみませんが何せ大人数ですので、1人1人の紹介は割愛します・・皆も艦長と副長の皆さんの顔と名前は一致しているだろうから、紹介は省略するよ・・お互いの自己紹介は個別にやってくれ・・開幕しても長い付き合いになるだろうから、これから顔を合わせる機会は幾らでもあるだろう・・エスターさん、メリッサさん・・明日の終業後にはお店に寄らせて頂きますので、宜しくお願いします・・明日、我が家での壮行会に来てくれるメンバーは宜しくお願いします・・気楽に、気軽に、気兼ね無く来て下さい・・そして最後に本社の最重要金庫室に3種アイテムを保管しているスタッフ・クルーは全員、27日・金曜日の午前11時に本社に集合・・解錠して全員に返還します・・何か洩れとか、質問はあるかな・・?・・」

「・・予想以上に、大変ですね・・?・・」

・・と、ハル・ハートリー参謀・・。

「・・うん・・私もこれ程に厳しくなるとは思わなかった・・だが、むざむざとは沈まない・・最善を選択して全力を尽くす・・それだけだ・・皆もいちいち私に報告したり許可を求める必要は無いから、やった方が好いと思える事を思い付いたら即時に実行して下さい・・宜しく頼みます・・シエナ副長、リサさんとハル参謀にも頼みます・・ハイラムさん、ヤンセンさん、ザンダーさん、ありがとうございました・・宜しくお願いします・・」

・・そう言って、3人と笑顔で握手を交わす・・。

「・・開幕して落ち着いたら、どこかの平日で呑みに行きましょう・・」

「・・楽しみにしてます・・」

・・と、ヤンセン・パネッティーヤ・・。

「・・アドルさん、モリー・イーノスさんが来ていました・・」

・・と、エマ・ラトナーが傍に来て告げる・・。

「・・そうか・・最初に出た質疑を、彼女も質したかったんだろうな・・エマ、今日は私の社宅にタンクベッドが搬入されて設置されている・・私は戻ってそれを確認するから、悪いけど後は頼む・・?・・」

「・・分かりました・・気を付けて・・」

・・スコットはエドナと話している・・私は帰ろうとしているハンナを手招く・・。

「・・金曜日は車以外で本社に来てくれ・・帰りは送って行くから・・」

「・・分かりました・・」   「・・それじゃな・・」

・・マーリーが私を観ているので、傍に寄る・・。

「・・明日のお弁当、楽しみにしてるからね・・?・・」

「・・分かりました、任せて下さい・・気を付けて・・」

「・・おう・・」

・・シエナがリサとハルに私の話を伝えている・・そこにエイミー・カールソン艦長とアリミ・バールマン艦長が入り、5人での話し合いに移行した・・立っているのも何なので手近なテーブルに着いたが灰皿も無い・・まあ、この建物から出るまでは禁煙するつもりだったから別に好いが・・まんじりともせずに座っているとアシュリー・アードランド艦長とコンラート・アキン副長、アジェイ・ナイデュ艦長とトリッシュ・ヴァンサンティン副長が同じテーブルに着いてくれ、アシュリー女史から紙コップのホットコーヒーを手渡しで頂く・・。

「・・ああ、どうもありがとう、アシュリーさん・・頂きます・・」

「・・アドルさん・・あまり無理しないで下さいね・・」

「・・無理なんてしませんよ・(笑)・そんな事したって楽しくないでしょ・?・先ずは楽しむのが基本ですからね・(笑)・」

・・私の言葉で、アシュリー女史も笑顔を見せる・・。

「・・しかし・・軽巡宙艦に執っては、やはり厳しいゲームですね・・?・・」

「・・ええ・・でもその方が、逆に私は燃えますね・・皆で協力し合えば乗り切れますよ、アジェイさん・・?・・」

「・・分かりました、アドルさん・・」

「・・アジェイ・ナイデュ艦長のお許しが頂ければ、私もアドルさんの会社の接待をお手伝いさせて頂きたいのですが・・?・・」

・・と、トリッシュ・ヴァンサンティン副長が申し出る・・。

「・・僕は構わないですよ、トリッシュ副長・・遠慮せずに手伝ってあげて下さい・・」

「・・分かりました、アドル主宰・・お許しを頂けましたので、私もお手伝いさせて頂きます・・宜しくお願いします・・」

「・・ありがとうございます、トリッシュ副長・・こちらこそ宜しくお願いします・・」(これで8人)

「・・私達として、何が出来るでしょう・・?・・」

・・と、アジェイ・ナイデュ艦長が訊く・・。

「・・後2日ですから、マニュアルの特に緊急事態条項の処をスタッフの皆さんと読み合わせして、出来る限り暗記して下さい・・これは緊急事態の際には、必ず役に立ちますから・・」

「・・分かりました、そうします・・」

「・・終わりました、アドル艦長・・」

・・シエナの声が聴こえて、話し合っていた5人が歩み寄って来る・・。

「・・ご苦労様でした、皆さん・・後2日間ですが、宜しくお願いします・・帰りましょう・・落ち着いて、体調を整えていて下さい・・以上です・・シエナ副長、リサさんは私が送って行きます・・打ち合わせがあるので・・」

「・・分かりました、お気を付けて・・」

「・・うん・・じゃ、行こう・・」

・・そう言って、リフトに向けて歩き出した・・。

「・・リサ・・悪いけど、休憩室で一服させて貰う・・車に乗ったら喫えないから・・」

・・地下3階に着くとそう言って休憩室に入り、水を出させて座る・・。

「・・分かりました・・」

・・彼女も入って対面に座る・・水を飲みながら喫って蒸して燻らせ、笑みを浮かべて彼女を観る・・リサは少し心配そうだ・・。

「・・いよいよですね・・?・・」

「・・ああ・・しんどいと感じる時もあるだろうけど、面白くはなりそうだ・・考えや力も精一杯に出し尽くして楽しむよ・・最終的には、最後の最後だろうけど・・50人で1人20隻を率いて貰うかな・?・それで1000隻の同盟だ・・それ以上は増やせない・・制御できなくなるからね・・この1000隻をいつまで維持できるかが、勝負って事になる・・どの道・・全艦は守り切れない・・その時が来たら、土下座して詫びるさ・・」

「・・アドルさん・・土日に貴方に会えないのが苦しいです・・」

「・・平日は一緒に居られるんだから、大丈夫だよ・・それじゃ、行こうか・・」

・・そう言って、揉み消してから立ち上がる・・帰りもガード・ステーションでチェックを受けて、正門から乗り出す・・社宅へと帰着する30分程前の時点で、リサの携帯端末に通話が繋がる・・彼女の母親からだった・・驚愕の表情・・蒼白の顔色で通話を切らないまま私の顔を観る・・。

「・・父が・・救急搬送されました・・」

「・!・病院は・!?・」

「・まだです・母が救急車で一緒に・・」

「・搬送先が決まったら連絡するように伝えて・!?・取り敢えず、君のマンションに向かう・・」

「・はい・・」

・・その返事を聞きながら直ぐの交差点を右折する・・方向はこっちで良い筈だ・・ナビゲーションシステムでリサのマンションを呼び出し、時間的に最短のコースをセットする・・。

「・症状は・?!・」

「・詳しくはまだ・でも多分心臓です・・以前から不整脈があって・・」

「・落ち着いて・意識は・?・」

「・あります・・低いようですが・・」

「・なら大丈夫だ・・社長の身体は頑健だ・・意識があるなら大丈夫だよ・・」

「・・はい・・」

「・・落ち着いて・?・搬送先が判ったら、そこに向かう・・取り敢えず着いてから、やるべき事を考えよう・・他にご家族は・・?・・」

「・・母の妹のパメラ・ミルズと、私の妹のアマーリエがいます・・」

「・・そう・・副社長達も追っ付け来るだろう・・君が社長令嬢であると知らない役員も来るかも知れないから、僕の秘書であるとの立場を意識して、振る舞った方が良い・・お母さんから搬送先の病院についての連絡が来たら、その事をお母さんに伝えて、他の家族の人にも伝えて貰えるように頼んで・・?・・」

「・・分かりました・・」

「・・とにかく君は落ち着いて・?・感情を出さないように私の後ろに居て下さい・・」

「・・分かりました・・ありがとうございます・・」

「・・礼はいいよ・・」

・・言いながら自分の携帯端末をナビゲーション・システムにセットしてリンクさせ、アンヴローズ・ターリントン女史の通話アドレスを検索して通話要請を送信する・・5秒で繋がった・・。

「・・ああ、アンバーさん・?・アドルです・・今社宅に居るんだよね・?・ご苦労様です・・実は社長が救急搬送されたとの一報が入りました・・搬送先についての情報はまだなんですが、取り敢えず向かいます・・ので・・今日の帰着は遅くなりますから、帰って良いですよ・・何時になるか判りませんから・・状況とタンクベッドの説明については、明日の始業40分前からラウンジで聴きますのでその時にお願いします・・それで好いですか・・?・・」

「・・分かりました・・お気を付けて・・明朝ラウンジでお待ちしています・・それでは・・」

「・・了解・・それじゃ・・」

・・通話の切れた端末を外して、ポケットに仕舞う・・リサの母親からまた通話が繋がり、搬送先が判ったのはそれから7分後だった・・。

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