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本編1 『幼少期』

第10話 まだ5歳。祈りの間 ※エドワードの挿絵有り

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『祈りの間』神界に一番近い場所と呼ばれている部屋で、眩い光に包まれたストロベリーは思わず悲鳴をあげた。

光が収まり、瞼の向こうがチカチカするが、ゆっくりと目を開けた。


「ヒッ!!」


かなり吃驚した。近距離に目、目、目!カラフルな色々な目が自分を見詰めている。

何となくはわかる。『神』だ。普通なら有難がるだろうが、苺花は全く有難いとは思っていない。寧ろ迷惑だと思ってる。

だって、産まれた家も最悪だし、天敵である『美亜』を転生させるし、儀式に大聖堂を指定するし、いきなりこんな場所に連れてくるし。散々である。苺花は怒です。


主神 「こらこら、みんな見過ぎだ。苺花が困っておるだろう。先ず、遊戯神と恋愛神は謝りなさい。あの様な魂を転生させ苺花を振り回したのだからな」


遊戯&恋愛神 「「苺花ちゃん。すみませんでした!」」


神様も土下座するんだ……


「え、あ、はい。謝罪は受け取ります。今後一切あの子を私に近付かないようにしてくれればそれで良いです。
で?それだけの為にいきなり連れて来たんですか?」


主神 「いや、それもあるが……一つ頼みたい事があったのだ。魔力を解放して瘴気を払ってもらいたいのだよ。
ウルティアルスに伝えたのだが、あやつ忘れてるようでな。それが済んだら好きなように生きてくれて構わぬ。
この先、何か使命もない故な。寿命も800年くらい有るからなぁ…ちょっと長いかもしれんが、それだけ色々と出来る。その為に能力も授けたからな」


「え?え?瘴気とな?あー!あれですか?森のほうの空に浮かんでる真っ黒い雲みたいなの。」


生命神 「そうよぉ。踏破されてないダンジョンから瘴気が漏れちゃってねぇ。森の生き物が呑まれて凶暴化してるのよぉ」


そりゃ大変だ。神様のお願いを聞く=罪のない人達を救える。うん。異世界で暮らす人々のためにやるよ。


「分かりました。魔力解放……浄化って事ですね。ウルティアルスとはウルのことですか?それと、寿命800年……長いですね……歴代の転生者もそのくらいで?」


刀剣神 「悪いな苺花。面倒を頼んで。低級冒険者が次々と殺られちまってな…申し訳ないが頼むわ」


それは、低級冒険者の自業自得では?あ、薬草採取してて襲われてるとかかな?それなら可哀想ね。


魔法神 「歴代勇者で一番長いのが、前々辺境伯ですね。今200歳くらいかと?まだまだ現役で各地で暴れ回ってますね。現在、魔国にいて、魔王討伐大会に出るため修行しています。」


「んえ?魔王討伐大会って何です??魔王って魔族の王の魔王??」


あのゲームスチルにチラッと出て来る、黒髪ロングヘアーの美貌魔王?妖しい美しさで何気に人気だった魔王様?


商業神 「ははっ。『魔王討伐大会』ってのは、その名の通り『魔王討伐』をする大会です。魔国の王が勇者の為に考えた催し物です。何度も魔国まで討伐に来ては返り討ちにあってるから、イベントにしてるんですよ」


なんつーイベントだよ。なにか?討伐されるまで開かれる大会ですか?


癒しの神 「魔族に王はいないわぁ。魔族は『エルフ』『ドワーフ』『龍族』『獣人』『鬼人』のことを言うのよ。
『リッチ』や『サキュバス』『バンパイア』は、悪魔の部類ね。下界に住む存在だから会うことは無いわ」


ほう。エルフやドワーフは『妖精』だと思ってたが、魔族なのか。リッチって、死霊のリッチ?あれ悪魔なんだ。


「はぁ。なんか色々ツッコミどころ満載ですね。転移とか召喚とかしなきゃ『魔王討伐大会』なんてのをしなくても良くなるのでは?あと、無駄に『勇者』とか『聖女』とか称号与えないとか……
それがあるから魔国に討伐旅行に行くのでは?平穏に暮らせないんですか?無駄じゃないです?
魔王様だって生きてる人ですよね?それに、挑戦者だって、殺られたらその人の人生それで終わってしまうんですよ?
人は遊技場の駒ですか?私達は生きてるんですよ?神様達の遊び道具なんですか?」


神達 「「「………………」」」


「あと、魔族がぁとか、悪魔がぁとか、色々教えてくれてありがとうございます。
危ない存在ではないなら、血の通ってる同じ生きてる人ですからね。私は「あっそうなの?」としか思わないです。
あーあと、恋愛神様と遊戯神様の企画?でしたっけ?『加護が有る、無い、で幸せなのはどっちだ?』でしたっけ?
あと、『恋愛にスパイスは必要』でしたか?あれもね「巫山戯んな!」ですよ。
キャロルだって、生きてる人なんですよ?幸せになる権利って平等にあるんじゃ?
あの子、あんな性格だけど、嫌いだけど、幸せって、自分が「あー幸せだな」って思えば幸せなんじゃ?」


神様達 「「「………………」」」


「あの子、「主人公になった!ヒロインよ!聖女なの!」って言って幸せそうにしてるからそれで良いと思うよ。
まぁ、関わりたくは無いけど。
「恋愛にスパイス♡」って恋愛神様は言ってたみたいだけど、修羅場なんて起こるところでは自然に起こるし、
当て馬とか、浮気とか、不倫とか、色んなスパイスがあると思うけど、神様が身近じゃなかった地球でだって、そんな状況ゴロゴロしてましたよ?
だから、神様がお膳立てしなくても起こるところでは起こります。
なので、余計な事しないで頂きたいんですよねぇ。」


世界を統べる神にガチ説教する『苺花』に、その場に集まった神達は親に叱られた子供のように萎縮していた。
5歳の幼女に説教される神……うん。凄い絵面。


主神 「……ママってこんな感じなのだろうか」

生命神 「……主神様。怒られてるのに嬉しいのはなんででしょう」

刀剣神 「剣じゃない攻撃なのにグサグサ刺さって痛いな」

魔法神 「…………うっ……怒られた……」

遊戯神 「お母さん。僕は娯楽が欲しいの。今回はやり過ぎたの。ごめんなさい」

恋愛神 「ふ、ふん。あ、あれよ。苺花の為に企画したのよ……あ、ごめんなさい……調子にのりました」

癒しの神 「なんだか空気がクサクサしてるわぁ。《リフレッシュ》ふぅ。この子達がごめんなさいね」

商業神 「………………母か」


あらら。ちょっと言い過ぎたかな?神がショボンヌしてるよ。
てか、お母さんとかママとか何言ってんのよ!
と、いうか時間大丈夫なのかな?結構経ってるけど……


「あのぉ。言い過ぎてすみません。
それで、瘴気の件は分かりました。戻ったら直ぐに実行しますので、とりあえず元の場所に戻してくれません?時間掛かり過ぎてみんな心配してると思うし……」


主神 「あ、ああ。申し訳ない。色々とすまなかった。瘴気の件、了承してくれて助かる。
現世では時間の進みが緩いから、まだ5分ほどしか経ってないので大丈夫だ。
『鑑定の儀式』はお主の加護が強くて周りが騒がしくなるだろうが、最後に行うよう枢機卿には伝えてある。では、戻すぞ」


「「「」」」


「だぁぁああ!一々眩しいんだって!目がシパシパするぅ。ふぅ。何だか色々言っちゃったし、落ち込ませちゃった。申し訳ないからお供えしとこ。祭壇あるし」


空間からクッキーとマカロン、ポテチと芋けんぴを出し、祭壇に置いて祈っといた。


(言い過ぎてごめんなさい。加護とウルと家とスキル。とても助かってます。私は私なりに幸せです。色々とありがとうございます。
お供え……食べれるのか分かんないけど、良かったらどうぞ。では)


手を組み、膝を立て祈り目を開けたら、シュンとお供えが消えて無くなった。その時また一瞬光ったのが眩しかった。「クッソ眩しい!一々光るなって!」


そして部屋を出たら、シスター達が部屋の前に集まってて、遅かったから心配したみたいでオロオロしていた。
あと、光が漏れてたので「神降臨。有難や」と拝まれた。

マジ勘弁して。

そして、ブラザーの案内の元『鑑定の間』まで移動してたらウルがまた爆笑しながら飛んで来た。楽しそうで、ようござんした。


《ベリーちゃん!あれは狂人だね。聖騎士の人達もタジタジだったぁ。
「貴方達は聖騎士かしら?なら聖女である私の護衛よね?この縄外しなさい。あら、そこの一番キラキラしてる貴方、とっても素敵ね。護衛騎士にしてあげるわ」ってさぁ。なんかもう1周まわって面白いよねぇ》


(いや、本当にね。てかウル、キャロルの真似上手いね。ふふ。
狂人…ただの男好きじゃない?と、いうか、いつまでもヒロインだと思ってるのが凄いわ。
原作と全く違うってのに、現実世界だってわからないのかしらね)


《わからないから「ヒロイン」「聖女」って言ってるんでしょ?お花畑脳っていうの?ははは。
それで?『祈りの間』で神様に会ってきたみたいだね。なぁんか加護も増えてるし》


(あ、それね。会ったけど、思いっきり説教してきたわ。それで、最後は捨てられた子犬みたいになっちゃって、「ママ」とか「お母さん」とか言われたわよ。
神様って、親がいないのかしらねぇ。どうやって産まれるんだろ。不思議な存在よね『神』ってのは)


《あっははは!神様に説教!しかもママ!5歳でお母さん!あははは!》


念話で話しながら歩いてたら、いつの間にか広間に着いてて、気付けば横と前後にイケメンが……
いや、アルヴィン兄とユージーンとサイラスなんだけどさ。はははっ。

そして、アルヴィン兄の隣には見た事あるような?ないような?男の子が、お付きの人と一緒に立っていて、私をチラチラ見ながらコソコソ話しをしている。


(小声でも会話はダメよ少年!あ、お付きの人に怒られてる。うんうん。すぐ辞めたのはいい判断だ。規則は守らないとね)


そんな事を思いながら順番待ちをしていたんだけど、少年がもの凄いチラチラ見てくるんですけど。

何でしょう?ご飯粒でも付いてるのか?頬をペタペタ。セーフね。

んん……気になる……しかし見た事あるなぁ。
ブルーグレーの髪にシルバーアイ。ちょっと神秘的な美しさを持つ男の子……


(あ!第2王子のセルビス様!ウル、また攻略対象だよ!近い近い!てか、なんで平民の儀式にいるの!?)


《へぇ、ほぉ、王子様かぁ。しっかし凄い美少年だねぇ。シルバーアイって、先祖に妖精族が居たのかな?
気になるなら探って来てあげようか?ボク得意だよ!ワクワク、ウズウズ》


(妖精ねぇ。先祖返りってヤツ?別に私は気にならないけど……ウル。あなたが気になってるんでしょ?
「ワクワク、ウズウズ」って、声に出して言ってるからね)ジトー


《あっはは!バレたかぁ。どうもぉ、好奇心旺盛なウルちゃんです!本日の偵察対象は『第2王子セルビス』です。
決行は儀式が終わってから……んん?……オーマイガー》


(なになに?急にハイからローにテンション下がったけど。フラフラ落ちていかないでよ、蹴っ飛ばすよ)


《ガッテム!蹴らないでよ!ねぇ、あの子ボクのこと見えてるぅ。目で追ってくるもん。
エドといいセルビスくんといい…見える人いすぎじゃない?もう。偵察出来ないじゃぁん……》


(ふふふ。それは残念ね。エドの時みたいに話し掛けてみれば?優しそうな感じだし、案外色々教えてくれるかもよ?)


《あ、やっぱりベリーちゃんも気になっちゃう?だよね、だよねぇ!
インタビュー内容は『王子なのに、なぜ平民の儀式にいるのか!』です!早速突撃開始!》


(気にならんから、やめい!!)


名前を呼ばれるまでウルと念話で話していたら、広間には私達と、王子御一行しか残っていなかった。


枢機卿 「それでは次の方。セルビス様こちらへ。
さぁ、この水晶に手を当てて。……はい。終わりました。
このステータスカードは自分の情報が載っている世界で一枚しかない貴方だけのカードです。他人に見せる時は十分注意して下さい。
ステータスは、あくまで見える強さです。本当の強さとは貴方の中に有ります。カードの数字に囚われませんよう日々を過ごして下さいね」


お。凄く嬉しそうに戻ってきたぞ。ニッコニコだ。
あ、アル兄とバイバイしてる……てことは2人は知り合いなのね。うん……ん?私にも手を振れと……はい、サヨナラ。

私を見て頬を赤く染め手を振ってきたから、ちゃんと振り返したよ。なんだろあの可愛い生き物は。


枢機卿 「最後にストロベリー様。どうぞこちらへ。水晶には指先だけ、ちょこっと触れて下さい。
キュリオス神様から神託を受けまして、加護が強いとの事。水晶が割れたり光が外まで溢れたら大変ですからね。
…………くくっ。指先チョンでもヒビ割れましたね。コチラが貴方のステータスカードです。他人に見せる事のないようお願いしますね。貴方のは特に。
小兎神族のウルティアルス様、愛し子様のことよろしくお願い致します。」


《承知した。愛し子ストロベリーは、このウルティアルスと、勇者ユージーン、英雄サイラスと共に護っていくので安心してくれ。


こうして、私の洗礼式は終わった。疲れた。色々有りすぎて疲れた。大聖堂から出て馬車に乗るまで気が抜けない。もう何も起こってくれるなよ。

それをフラグという。

それにしても、最後ウルが別人みたいになってたな。なんか威厳があって、言葉がピリピリしてた。
なんか偉そうで、私はいつものお巫山戯ウルのほうが好きだな。


(ねぇ、『勇者ユージーン』はわかるけど、『英雄サイラス』って何?なんの英雄??)


《あは!それねぇ。まだ、(仮)なんだよねぇ。英雄になる予定☆まぁ、未来は不確定だから、どうなるか分かんないケドねぇ。
ベリーちゃんも聖属性を鍛えて、来るかも?しれない未来に備えてねん!》


(仮)の英雄…勇者…そして、聖属性の特訓…

あああ!すっごく嫌な予感しかしない!これで、『大魔導師』の称号持ちと、『賢者』の称号持ちが現れたら、乙女ゲームのユージーンルート、『魔王討伐メンバー』じゃないのよ!セルビス殿下がサイラスに変わっただけで!

あ!いる。5日後に『大魔導師デイビッド』が来るし、『賢者アルヴィン』が既にいる!
え?でも『聖女』は?キャロルじゃないだろうし……


(ねぇ、ちょっと嫌な事を思いついたのですがぁ。まさか……聖属性を鍛えるって、私が『聖女』になるってこと?で、来るかも?な未来とは、魔王討伐?)


《……ピューピュー。ソレハワカリカネマス。ホンジツノエイギョウハシュウリョウデス☆ヘイテンガラガラ》


(あ!逃げた変態兎!もう肯定したようなもんじゃん!)


私が『聖女』とか……「私がヒロインよ、聖女なの。貴方方、頭が高いわ!敬いなさい!」とか言っちゃう感じ?

……うん。想像してみたけど、自分にはアレは出来ないわ。
『魔王討伐』って、魔国の大会に出場するってこと?
別に出場するのは良いけど、その為に称号なんて必要?要らないわよね。

ドラゴン襲来とか?……ドラゴンは私的には仲良くなりたいんだよねぇ。格好いいし…出来れば討伐はしたくないのよ。

えええ?『勇者パーティ』で何をすれと?各地を回ってダンジョン踏破とか?……未だ見ぬお宝探して冒険だぜ!って?

ユージーンに麦わら帽子被せる?アルヴィンにタバコ咥えさす?……あ、それは色々ダメね。各所からバンされるわ。

あ、色々と考えてたらいつの間にか馬車に乗ってたわ。そして私はユージーンの膝の上……何故に……


「ユージ、なんで膝に乗せるの……座席に座るよ?」


「あ、ベリーやっと戻ってきたね。ずーーーっと難しい顔して考え込んでたから、一人で座らせたら危ないと思ってね。
馬車って跳ねるし。ね?わかった?ベリーは膝の上で良いの。ん?」


「え、あ、はい。分かりました…(くっ、有無を言わさぬ感じね!)」


「うんうん。分かれば宜しい。それで?何をそんな考えてた?
『祈りの間』で神様にでも会ったか?それとも、『英雄サイラス』の件か?」


「むー。その両方だよぉ。言わなくても見当つくってところが流石ユージよねぇ」


それから神に言われた事と、ウルに言われた事をユージに話して聞かせた。『魔王討伐』の真実には目をかっ開いて驚いてた。初めて表情筋が動いた瞬間だった。

すぐにデフォに戻ったけど。うん。絶対零度の目…威圧感凄い。


「はぁ…なんか色々ツッコミどころ満載だな。『魔王討伐』が大会って何!?天下一武道会みたいな感じなん?
俺、オレンジの道着着る?サイラスのおデコに目書く?アルヴィンの額に6個の点書きます?
あ、ダメダメ。色々ダメ。デイビッドに亀の甲羅……あ、ダメ、考えちゃダメ、消去消去、クリーンクリーン」


「あっははは!ユージはそっち考えたかぁ。私は「ユージに麦わら帽子?」って考えたよ!2人とも迷走してるね!」


「ぷッ。くくく。ベリーはそっちだったかぁ。じゃあベリーはへそ出し短パンサンダルか?
くくく…この世界でそんな格好したら「痴女」って言われるな」


「ええ?へそ出し短パンで「痴女」なら、冒険者のビキニアーマーのほうが「痴女」じゃない?
ほら、あの護衛の人見てよ、ビスチェにハイレグ、太腿までのブーツだよ!ムッチムチで、AV女優の女王様みたいじゃん。あれの方が痴女だよ!
てか、あの人めっちゃ巨乳だよね。乳が零れそうだよ」


「う~ん。あれは視界の暴力だね。ちょっと頑張り過ぎて痛い子になってる感じ。
セクシー路線でエドにアピールしてるんでしょ。めちゃくちゃ外してるケドね。
周りの他の冒険者メンバーも引いてるし。男はセクシーより清楚のほうが好きなのにねぇ。
アレが好きなのは、それ目的のヤツだけだよ」


な、なるほど。転生の時に「ビキニアーマーで大剣が格好いい」って言ってた自分……恥ずい……

そっか、ユージーンは清楚系の女の子が好きと…ふむ。
清楚……ワンピースとか?シャツにロンスカとか?
……私、絶対そんな服着ないな。前世はB系だったし。

ダボパーカーにキャップとショーパンが好きなのだ。異世界でも着るつもり。浮くだろうけどね。

ライダー系のファッションも好きだから、黒の皮パンにライダースジャケットも良いなぁと思っておりますの。

異世界の服で着たいのは、騎士服ね。大聖堂で会った白の騎士服の人達、格好良かったんだよねぇ。服がね。

ドレスは…着たくないな…この世界のドレスってプリンセスラインが主なのか、スカートがモリっとしてるんだよね。それが嫌。

もしも着なきゃいけない場面とか出てきたら、絶対にマーメイドだね。それかミニタイトドレスね。
ふわっとしたお姫様系は御遠慮致したい。


「ベリー!おーい。チュッ。ベリー?チュッ。こら~戻ってこないともっとキスするぞ~」ツンツン。


「は!あ、近い近い!ダメダメ、まだ早いって。私まだ5歳!幼女!ロリコンって言われるよ!」


「ふぅん。ね。じゃあ、良くなるまでキスは我慢しとく。それと、ロリコンじゃなくて、ベリコンね。幼女でも少女でもベリーだから好きなわけ。わかった?」


「もう!もう!……あ"あ"あ"恥ずかしい……」


この後、シュタイザー領に着くまで恥ずかしすぎて顔を覆って俯く事しか出来なかった。
真っ赤になってる顔をユージーン以外に見られたくなくて、胸に頭を預け、羞恥に悶えていた。

その様子にユージーンは終始「あー可愛い」「好きだよ」ってそればっかり言っていた。

もうやめてぇ。私のライフゲージは0ですぅ……


そんな私達を乗せた馬車がシュタイザー領の門前に到着した。貸馬車だったのでここで乗り捨てる。
なので、ユージーンにエスコートされ馬車を降りた。

手を繋いでるのも恥ずかしくて、降りた瞬間サイラスに抱き着いた。
何があったか察したのか、苦笑しながら「ユージ程々にな」と言いながら馬に乗せてくれた。

馬上で大人しく検問の順番待ちをしていたら、手綱を引くサイラスの反対側にあの冒険者の女が来て、
「ガキのくせに!エド様に近付かないで」と、思いっきり引っ張られ落馬した。


「え!?きゃぁあああ!!」ドンッ


いきなりの事に受け身を取れず、地面に身体を強打し、一瞬息が止まり、そのあと意識を手放した。

ただ、意識を飛ばす直前に見た、般若のような化け物のような女の顔から、黒いモヤが立ち昇ってたのが印象に残った。





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