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本編1 『幼少期』

第13話 8歳。あれから3年、ベリーの受難

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ストロベリー昏睡事件から3年経ち、8歳になった。

あの時の冒険者の女、エドのストーカーさんは、第一級犯罪者となって『魔力供給器』となっているらしい。
「重すぎない?」って言ったけど、一応ストロベリーは貴族令嬢だから、妥当な判決らしい。

「そっか」と納得して、ついでに呪い返しを神様に祈っといた。「やられたら、やり返す!」ってね!ははは。

あ、因みに処遇を決めたのはパパンね。アルを通じて私宛の手紙を渡され、「申し訳なかった」と書いてあるのを読んだけど……

パパンが、アルの護衛に扮して屋敷に来て、剣の稽古を付けてくれてるのは知ってる。

だから、打ち合いしてる時に、

「手紙読んだよ。あれはパパのせいじゃないからね。心配してくれてありがとう。それと、一緒に暮らせなくてごめんなさい」

って言ったら、顔を覆っておんおん泣いちゃった。

それからは、護衛としてじゃなく、『父親』として屋敷に会いに来てくれる。

最近は、「ここで暮らしたい……ベリーに会えない日がツラいし……屋敷内の空気が悪い……」と、弱ってる。

原因は分かってる。侯爵夫人のピアーズだ。

ストロベリーの、一応母である『ピアーズ』は、キャロルの代わりになる女の子を未だに探してるらしい。
第一王子殿下の妃の座は諦めたけど、第二王子の王子妃になるべく存在を探しているのだとか。

「なぜ祖国に送り返さないのか?」と、ルイが聞いたら、

「まだ決定的な問題を起こしてないんだ……」と、言っていた。「ああ……なるほど」誘拐とか、監禁とかね。

いや、もうね、犯罪になるギリギリを攻めててウザイ。マジでギャフンと言わせてやりたい。
誘拐とかしたら、はっ倒す、絶対。アイツこそ『やられたら、やり返す』を実行したい。

アイアン・メイデンに入れて祖国に送り返してやろうか。……作っとくか?

キャロルは再び修道院へ連れて行かれ、あれから会っていない。今後も会いたくない。関わりたくない。

でも、こう、嫌な予感がヒシヒシと……
王子12歳の生誕祭、ゲームのオープニングシーンを再現しに現れそうな予感が……ガクブル……


そういえば、エドやアルか気になってた『ヒロイン』とか『悪役令嬢』の事は、まだ教えてあげれてない。
キャロルはいなくなったし、私も悪役令嬢じゃないから、「別に教えなくて良いんじゃないか?」と、ユージに言われたのでやめておいた。

それと、ヤミーちゃんは誰とも契約していない。オズワルドに断られ、私に泣きついてきたけど、

「契約してなくても、恋愛物語が見たいならその辺で見てくれば?漫画やアニメの話しだって普通に教えてあげるし、いつでも聞いて」

と、言ったら、{契約しなくても教えてくれるの!?ありがと嬉しい!ストロベリー良い子ね!}と、今は街のアチコチを飛び回って、色んな物語を見に行っている。

たまにウルと一緒に偵察にも行き、テンション高めに教えてくれる。阿呆が増えてちょっと五月蝿い。

メイドガールとメイドボーイも一緒になって騒ぐからマジで五月蝿い!
動物園の『小動物ふれあいコーナー』みたいにワラワラしてて可愛いけど、みんな一斉に喋るから何言ってるのか分からん!!

対処してるハクが『イケおじ』から、草臥れたオッサンになっちゃうから辞めたげて。



そんな色々あった濃い5年が過ぎ、更に3年経ち8歳に。

サイラスは20歳、ユージーンは15歳(成人)、アルヴィン11歳(来年学園入学)、
エドワード23歳(ギルドの新人指導員)、ルカリス150歳(エルフなので)
オズワルド28歳(結婚したよ!)、デイビッド8歳になりました。

サイラス、エド、ルカ、オズ、はあまり変わらないが、ユージーンとアルヴィン、ビットが成長した。
中でもユージーンの背がグングン伸びて、180cm以上ある。

アルとビッドと私で、2年前に冒険者登録をした。そして、護衛でユージかサイラスが後ろに控え、依頼を受けたりしているが……
まぁ、イケメン達が兎に角モテる。ギルドへ行く度に「キャーキャー♡」と黄色い声が飛び交う。

たまにサイラスを見て顔を赤らめる筋肉マンがいるが…
男にモテる男……サイラス……ドンマイ。

そして、「何あの子」「生意気!」「良い男侍らせて何様」と、私は批判の嵐、嵐……

でも私は陰口如きなんのその。シラーっとしてる。

『生意気』とは?はて?であるし、『何あの子』とな?ストロベリーてすが、何か?であるし、
『男侍らせて何様』と。ふむ。確かにイケメン侍らせてるわ。だって、女友達いないんだもん。
『何様』……一応貴族のお嬢様。そして意外にチート様です。

そんな態度でいるから、若い受付嬢がめちゃくちゃ冷たい。でも、8歳の子供に罵詈雑言を浴びせる大人……最低だと思う。「仕事しろよ」と言いたい。


受付嬢A 「それわぁ、あなたみたいな子にぃ、出来ないと思いますよぉ?」

と、依頼書丸めてポイッとするし、

受付嬢B 「死にたいんじゃなぁい?きゃはは」

と、わざわざ傍に来て顔覗き込んで嘲笑ってくるし、

受付嬢C 「一人で依頼出来ないなら、冒険者なんて辞めればぁ?」

とか言われて依頼書を受理してくれない。これは私が一人の時に絡んでくる。
イケメン’sが傍にいる時は何もしてこないし言ってこない。そういう時は眼中に無いらしい。

まぁ、そんな事を言われても、されても、屁でもない。なんか言われたら、

「仕事しないならギルドやめれば?」 「あんたが死ねば?」 「彼らが私を一人にしたくないって言うんですぅ」

とか言い返してるし、見かねた他のギルド員が謝罪しながら受け付け代わってくれるから。

つい最近は、イヤミを言われてた時にユージがスっと傍に立ち、

「心が醜いと、顔まで醜い。仕事しないなら受付け変われ、邪魔だ」

って言われてた。ざまぁ。更にエドまで出てきて、

「やめろって…本当のこと言ったら立ち直れないから。お前らのファンなんだろ?くくくっ」

って更に便乗するもんだから、「キーキー」と喚き散らして、私に敵意を向けてきた。

アルヴィンなんて、「盛りのついたメスゴブリンみたいですね。節操無しの」
って言って煽ってた。更に「キーキー」と炎上。そして私をまた睨む。

もうね、最近はずっとそんな感じで、「私は本当に女難の相があるのね…」と、女の人とは仲良く出来ない運命なんだと悟った。

そして本日、ユージとビットと3人で依頼を受けにギルドまで赴いたのだが、私のギルドカードが無効になってた。

嫌がらせの域を超えてる。唖然としていたら、メスゴブリンの一人が、ガッサガサのダミ声で、上目遣いでユージを見詰め何か言っている。

が、怒りと呆れで目が点になり、目の前のメスゴブリンをマジマジと見ていた。


受付嬢A 「再登録は金貨3枚でぇす。ま、登録なんて受付けませんけどぉ。ユージ様ぁ、お待たせしましたぁ」


ユージ 「……おい。ブス。この間からなんだお前。いい加減にしとけよ。たかが一介の受付け如きが。殺されたいか?あ?……ギルド長を呼べ」


絶対零度の王子ユージがキレた。殺気がダダ漏れである。あちこちで失神する冒険者が続出。
奥にいた男の事務員が「ひぃぃ」と悲鳴をあげ、「しょ少々お待ち下さ~い!」と階段を登って行った。


直で殺気を浴びた受付嬢Aは、白目を向いて椅子ごとひっくり返った。
その横にいた受付嬢Bは、悲鳴をあげながらもストロベリーを睨みつけてから、ユージに引き攣った笑顔で、


受付嬢B 「こ、この子の為にお忙しいギルド長は、よ、呼べません!ユージ様、そ、その殺気を抑えて頂けませんか?
ほら、わ、私も怖いですし、ユージ様のファンの皆も、こ、怖くて近寄れ…ませんし…ね?お願い」と宣った。


ユージ 「あ"?誰が名前呼んで良いって言った?殺気を抑えろだと?俺達の大事な子を傷付けておいて、良くそんな事が言えるよな。
今ここで殺されたいか?スっ込んでろ醜女が」


『殺されたいか』『醜女』と言われた受付嬢は、信じらんない!というような顔をしてユージを見詰めていた。

心境は、(なんで私達のような美女より、ガキを選ぶの!?)だった。

自分で自分を『美女』という受付嬢。凄い自信があるのだろう。

まぁ、ギルドの受付嬢は「顔で選んでるの??」と言いたくなるくらい顔は整ってる。100人中80人は『美女』だと判断するだろう。

私が以前そう言ったら、「あれのどこが!?」と、ユージもアルもビットもエドもサイラスも否定していた。

うちのイケメン’sは好みじゃないらしい。


メスゴブリン達の仕打ちに呆れ返り、呆然と佇んでた私は、デイビッドに肩を揺さぶられ、
「苺ちゃん!いーちーごーちゃん!大丈夫?」と、声を掛けられて、漸く「はっ!」と気付いた。


「う、うん大丈夫。あまりにも酷い扱いに吃驚してトリップしてたわ。登録抹消って、犯罪者扱いだよね?
あれ?私って犯罪者?え、誰か殺したっけ?物奪った?依頼失敗が続いたとか?いや、失敗してないよね」


ビット 「いや、いやいや!犯罪者じゃないし、これは苺ちゃんに対しての悪意ある嫌がらせだからね?
まぁ、今回は悪質すぎるし、『神々の寵愛児』に対しての悪行の数々も記録魔導具に収めてあるし、色々な罰が起こるでしょ。だからほら、深呼吸してぇ、吸ってぇ、吐いてぇ」


『神々の寵愛児』という称号を聞き、失神から復活した冒険者達は、「嘘でしょ!!」と、恐慄きギルドから出て行った。主にストロベリーに絡んでた女達だが。


「すぅぅぅ、はぁぁぁ。ビットありがと、落ち着いたわ。
今までの記録撮ってあるの?用意周到だね。
『神々の寵愛児』かぁ。それを知らずに私に手を出して、最後は破滅する……なんか無様で可哀想ね」


ユージ 「いや、寵愛児だという事と、侯爵令嬢だという事は、前の事件の時に情報開示してあるから、ギルド関係者は知ってると思うぞ。それでも絡んでくるんだから自業自得だ」


更に衝撃事実。『侯爵令嬢』という身分。
受付嬢と一緒になって、ストロベリーをバカにしていた、慌てて出て行ったヤツら以外の、女性冒険者パーティは、今日は依頼に出てていない。


「アイツら難を逃れたか?」 

「いや、記録あるっつうし無理だろ」 

「真実知ったらどうなるんだろな」 

「知らね」

「ま、アイツら「一晩どう?」とか言ってきて気持ち悪かったよな」 

「誰にでも言ってんのかね」 

「穴ゆるゆるだな」

「「「違ぇねぇ。あははは」」」

酒場で飲んでた、殺気に怯まなかったベテラン冒険者達は口々にそう言い、成り行きを見守っていた。

そして、「しっかし、女って怖ぇなぁ」と呟き、エールを呷っていた。

ベテラン冒険者は貫禄があって格好良い。エール飲む時に喉仏が動くのと、腕を曲げた時の上腕二頭筋が良い。
ベリーは見掛ける度に思っていた。今もユージ達と話しながらチラチラ見ている。

……前世から逞しい男が好みなのです。頼りがいが有りそうでしょ?


「ああ!あの時ね。開示してあるんだ。それでも絡むのは、ユージに好きになって貰えると思ってるってことだよね?
モテモテじゃないかぁ。でも、『好かれる』って自信があるんだねぇ。凄いねぇ」


これには、ユージもビットも冒険者達も、(いや、違うから、ただの嫉妬!!別に凄くない!!)と、同じことを思っていた。


ヒソヒソと、アチコチでナイショ話が交わされてるギルドのホールに、「黙れ」と、ドスの効いた声が響いた。

ギルド長だ。2メートルを超える身長にガッチリ筋肉、低音ボイスに頭に2本のツノ……ツノ!?


「わぉ……ツノ生えてる。オーガ?めちゃくちゃ格好良くない?ね、ユージ、ビット」


ユージ 「オーガじゃなくて、鬼人族な。格好良いよな。あの低音ボイスも良いよな。ベリーってゴツイの好きだよな」


ビット 「僕はちょっと怖いなぁ。デカいんだもん。でも、目が優しそうだねぇ。ユージ、僕達もっと鍛えよう」


3人の会話が聞こえた面々は、(え?鬼人族が格好良い!?めちゃくちゃ怖ぇだろ!背も目も声も!)と、驚愕していた。


言われた張本人ギルド長は、片眉をピクっとさせ、3人に「付いてこい」と言って踵を返した。
平然としていたギルドマスターは、照れていた。言われた事がないから。その証拠に耳が赤く染まっていた。

3人は男性職員の案内で執務室へと向かった。受付けカウンターを横切る時、受付嬢はベリーを睨んでいた。
その視線は分かっていたけど、素知らぬ顔で通り過ぎた。

睨まれたって痛くも痒くもないからね。(あらあら、可愛い顔が台無しだよ)

「ぶっ。凄い顔」と呟いたら、ガタン!と立ち上がった。

(キャッ、怖~い。捕まる前に急げぇ)

そして部屋に入った3人に、ギルドマスターとサブギルドマスターはガバッと頭を下げて「「申し訳ございませんでした」」と謝罪してきた。


「え?あの、頭を上げて下さい!私は、カードが使えなくなってしまったのを、どうにかして頂けたら大丈夫です」


そう言ったら、「え、カードが使えない?ちょっと見せて頂けますか?」と、サブマスに言われたので渡した。

それをタブレットみたいなのに置いたら、数秒後、顔面蒼白になった副ギル。
ギルドマスターは画面を見て数秒後、青筋立てて般若みたいな顔になった。鬼人族の怒り顔はガチで鬼さパない。

サブマスは、「大変申し訳ございません!少し席を外します!」と言い、カードを持って部屋から去って行った。


ギルドマスター「本当に申し訳ない。このような不祥事、前代未聞であり、ギルド職員として恥ずべき行為である。
今、副ギルド長がカードの再発行と、登録抹消のデータ削除をしているので少し時間を頂きたい」


あ、再発行って金貨1枚必要って最初の説明で言われた気がする。と、思い出して金貨を出そうとしたら、ユージに手で制された。


ユージ 「ギルドマスター、この場合、再発行の手数料は払う義務は発生するか?」


ギルドマスター「いえ!滅相もない!悪質行為に及んだ職員に払わせます」


あ、いいの?良かったぁ。金貨1枚で10万だから実は払いたくなかったのだ。
だって、不本意に抹消されたわけだし、私たぶん悪い事してないもん。

それにしても格好良いな…喋ると尖った八重歯が見えて、それもまた良い。あのツノも触ってみたい。
そんな事を思いながらマジマジと見詰めていたら、バチッと目が合った。


「はう!ヤバい何この破壊力。なんか脳天から突き抜けた。ユージ、ビット、ギルド長ヤバいね」


コソコソと小声で2人に話し掛けたのに、ギルドマスターは聞こえてたみたいで、(え、は?本当に俺が怖くないのか?)と、ブツブツ言っていた。


ユージ 「ベリー落ち着け。確かに男の俺でも惚れ惚れするが、ギルドの偉い人だから今は抑えて。どうどう」


ビット 「そうそう。顔怖いけど、男の中の男!って感じして格好良いけど、偉い人だから落ち着いて」


更に、良い男代表みたいな2人の会話が聞こえ、いたたまれなくなったギルド長は、顔を覆って上を向いた。耳と首が真っ赤である。

その後も、「分かってるけど、このご尊顔に心臓ドキドキする」とか、「あの厳つい目とツノ良いよな」とか、「僕はあの腕の筋肉に憧れる」とか、コソコソと3人は話し続けていた。

(もうやめてくれ…)と耐えられなくなったギルドマスターは、

「あーその、悪いがそろそろ止めてもらえるかな?全部聞こえてて、言われ慣れてないからムズムズするんだわ」

と、会話を止めさせ、一度咳払いをしてから緩んだ顔をキュッと引き締め、話しを戻した。


ギルドマスター「シュタイザー令嬢に無礼を働いた女性職員は以前から苦情があり、再三注意をしていたのだが治らなかった。
遂には何の咎もない子の登録抹消という暴挙に出た。この悪質な行いは許されるものじゃない。
よって、職員の資格取消し、及びシュタイザー令嬢へ謝罪と賠償金の支払いを命じる事とする」


ユージ 「それは、悪行を行った実行犯だけですか?
ストロベリー様は、3人の受付嬢からほぼ毎回暴言を吐かれたり、依頼を受理してくれなかったりと、様々な嫌がらせを受けています。あ、あと女性冒険者ですね」


ギルドマスター「ああ。聞いている」


ユージ 「左様ですか。侯爵様には既に報告済です。記録魔導具の証拠も提出してあります。
侯爵様は、「国の裁きを」と、仰っていましたが、それは止めておきました。ギルド内の不祥事として処理して下さい。受付嬢達からは身体的暴力等の攻撃は無かったので。
もし暴力行為があり、傷を負った場合は一級犯罪者になっていたでしょうがね」


ギルドマスター「ああ。我々に処遇の決定権をくれたのですね。ええ、実行犯の『ナスティ』は職員資格剥奪、財産没収、シュガーズ王国の身分証抹消、国外追放とします。
他2名、『アグリー』『コンシート』は職員資格剥奪、賠償金支払い命令、農村第二地区へ10年の労役とします」


身分抹消に国外追放とは『悪役令嬢の末路みたい』…と思ったけど、罰の内容より、3人の名前に吹き出しそうになった。
ユージも笑いそうになって頬がピクピクしてる。

だって『ナスティ』は和訳で『意地悪』だし、『アグリー』は『醜い』だし、『コンシート』は『自惚れ』だし。
『名は体をあらわす』とはこういう事か……と三人娘を思い出しては吹き出しそうになった。


ユージ 「ん゙ん゙。妥当な処罰ですね。
では、女性冒険者の方は?ストロベリー様のパーティメンバーである、アルヴィン、デイビッドへの過剰な接触と強引な勧誘、依頼の横取り、依頼中の魔法攻撃、男性冒険者に暴行の依頼。正直、受付嬢よりタチが悪いです」


そうそう。依頼を受けた『ピンクシープの捕獲』を横取りされたんだよね。罠張って捕らえたところを。
しかも、『捕獲』なのに『討伐』しちゃうし…

『ミルキーウルフ』という魔物の群れに囲まれてる時に、植物魔法の蔦で身動き取れなくされたりもあった。
あの時は、サイラスとユージが瞬殺してくれて助かったんだよねぇ。

暴行依頼は、未遂だった。「7歳の子供を暴行するとか正気じゃない」と、誰も受けなかったんだって。

まぁ、他にも色々とされたけど、酷かったのがこの3つなの。参っちゃうよねぇ。そんな事する暇あるなら依頼行けよって思ったよ。街中にたくさん困った人がいるのにさぁ。


ギルドマスター「それは…申し訳ない。強引な勧誘と暴行依頼未遂の件は報告を受けてましたが、横取りと魔法攻撃については今知りました。
女性冒険者パーティ『堕天使の微笑み』は、冒険者資格剥奪のうえ、ギルド本会議にて処遇の話し合いを致します。S級犯罪案件として厳罰に処します。
本日、依頼に出ているとの事なので、Aランク冒険者に捕縛命令を出し、刑の決行日まで投獄しておきます」


ユージ 「ではそのようにお願いします。今後こういう事がないように職員や冒険者の指導をお願いしますね。
『神々の寵愛児』は寛容ですが、『神々』は違います。『神罰』は、ストロベリー様が神に祈れば実行されます」


そうなのよね。神様達、すぐ罰を与えるから説教しに行ったのよ。「私が祈る時だけにして」って。
暴言吐いただけでスキル奪取するんだもん。それはやり過ぎだからさ、『3日声を奪う』っていう罰にしたの。
酷い時は、『視覚か聴覚を奪う』という罰も上乗せしてるよ。

あ、因みに、受付嬢3人と女性冒険者パーティ達は経験済。街中で阿波踊りみたいに動き回ってた。
その時近くにウルとヤミーちゃんがいて、爆笑しながら一緒に踊ってた。

露店の店主とか市井の民達や子供達も一緒に踊りだした時は腹抱えて笑ったわ。

常連になった串焼き屋のおっちゃんは胡乱な目でその様子を見て「ありゃなんかの儀式か?」って聞いてきたから、
ビットが「さぁ。雨乞いの儀式かな?」って真面目に答えるもんだから更に爆笑した。

「ああ?雨乞い…雨乞いねぇ。あれ踊ったら降るんかね」って!手を掲げないでおっちゃん!やめて!腹よじれる!

という事がつい最近あったのを執務室で思い出してた。目を瞑ってニヨニヨしてたら、肩をツンツンされ我に返った。


ビット 「苺ちゃん。『神罰』の話しで、あの「雨乞いの儀式」を思い出してたでしょ。僕もだよ」


「ビットも?あれ面白かったよねぇ。串焼きのおっちゃん最高すぎた。今日も行く?」


ビット 「行く行く。あとミートパイのお店も行きたい。それと『3時のオヤツ』は、ミルクプリンが良いな!」


「OK!私はねピタパンみたいな野菜入ったアレが良いな。『3時のオヤツ』は、チョコプリンで!」


ギルドマスターとユージが真剣に話してる横で食べ物の話しをする2人。
そんな我が道を行く2人に呆れるユージと、苦笑いのギルドマスター。だってお腹空いたんだもん。

話しが纏まったところでサブマスがカードを持って戻って来た。「本当に申し訳ございませんでした」と、また謝られてしまった。

最後に「色々と決まったらお知らせします」と言われ、ペコっと頭を下げて部屋を出た。ユージとデイビッドだけ。

私だけドアの前で立ち止まり、180°回転してギルド長を見上げた。

ストロベリーのナゾ行動に???状態の鬼さんとサブさん。

ドアの向こうではユージとビットが「「あぁぁ……」」と顔を覆って声を漏らしてた。

ストロベリー・ディ・シュタイザー。何をする気だ。
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