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それはそうだよね
しおりを挟む「.........と、いう訳で陛下、アンタの嫁さん大分アカン」
「...............どうしてこうなった......」
頭を抱え蹲る国王と、執事服の男の会話である。
王族直属の影の者を束ねる長である彼は、国王とは長い付き合いであるがゆえに、口調が軽い。
なお王妃の悪行は全て、逐一報告されていたので、実は国王には筒抜けである。
「いや、どうしても何も、今までのツケが回って来ただけじゃないの」
「...もうやだ離婚したい...」
確かに、今までずっと放置して来たのは国王である。
だがしかし、処罰するにも王妃は隣国の王族。
そう簡単には行かなかった。
「すれば良くない?」
「簡単に言ってくれるな、隣国との友好の為の結婚だぞ」
国際問題になってしまう事は、避けたかったのである。
何より、嫁いで来た当初は本当に清らかで何も知らない可憐な姫だったのだ。
全ては、幼少期の教育課程が原因だろう事は国王も理解していたが、まさかそれが一切修復不可能であり、更にここまで自尊心が肥大し、どんどん歪んでしまうなど誰が思うだろうか。
「でも、ここまで来たら無理くない?」
「そうだけどさ...、一応王妃だし...」
それなりに長く連れ添った夫婦故に、それなりの情がある。
故に国王は、どうにも踏み切れずに居た。
諭していればいつかは、と考えてしまったのは、国王である前に一人の男としての、優しさだったのだろう。
全て拒絶し、己だけの世界を生きる王妃には何も届かなかったらしいが。
「このままだと公爵令嬢ちゃん死んじゃうけど」
「それだけはダメだ......!」
今まで、王妃の手で様々な女性達が陥れられて来た。
ある者は二度と光を見る事が出来なくなり、ある者は二度と歩く事が出来なくなった。
国王の幼馴染の女性でさえも、一度生死の境をさ迷った。
だからこそ王は、国民を、大事な友人を守る為に己が犠牲になったつもりだったのだ。
己が王妃だけを大事に、大切にしていれば、犠牲者は最小限に済む。
故に側室を持たず、愛人すら作らず、ただ王妃を愛し、執務に励んだ。
これは、岐路だ。
ここで道を誤れば、また新たな犠牲者が生まれてしまう。
「どうすんの?」
執事服の男の問いに、王は少しの逡巡の後、重い口を開いた。
「薬をすり替えるか、この情報をリクドウインの倅、ギンセンカの坊に」
それは決意に満ちた、覚悟を決めた者の表情だった。
「......んー、薬のすり替えは難しいから、解毒剤と一緒に情報渡してくるわ」
王の決意を軽く流し、影の長は頭の中で段取りを組む。
そんな彼に、王は疲れたような表情で声を掛けた。
「世話をかける......」
「まあ、これで離婚出来そうだし良いんじゃない?」
「......そうだな、王妃がやったという事が分かるようにさえしておいてくれれば、こちらでも手を打とう」
きちんとした証拠さえあれば、国際問題として逆に隣国に訴える事も出来るだろう。
それを見越しての、言葉であった。
「ほいほい、んじゃ行ってきまーす」
なんとも軽い声の返答の後、影の長の気配は消えていった。
残された王は、ただただ深い溜息を吐きながら頭を抱えた。
「...............はぁー、もうマジなんなの......?」
自業自得とはいえ、しんどいものはしんどかった。
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