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第4章 悪魔の勢力

02 緑と平田の日常

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30畳ほどの広さのフローリングの部屋。
天井が少し高いその部屋に2つあるドアの1つから小さく3度ノックの音が聞こえた。
少ししてドアが開き男が入ってくる。
男は室内中央部に置かれた天涯付きのベッドに小さな靴音をさせながら近づきベッドから2mほどの場所で跪く。

「おはようございます、緑お嬢様。そろそろ目覚めの頃になりますが、いかがいたしますか?」
「んっ…起きます。おはよう平田」

緑は半分以上寝ぼけていて気を抜いたら目が閉じてしまいそうな頭で、淡いブルーの少し煽情的なナイトウェアのままベッドから立ち上がり平田の前で両腕を少し開いた。

「お召替えをさせて頂きます」
平田が緑のナイトウェアの肩紐をスルリと落とし足元に落ちたそれを自分の足元に置いた籠に入れる。
緑は少し肌寒い感覚を覚え自分の乳首が少し硬くなったのを感じつつそのまま足を少し開いて待ち、平田がパンティーに手をかけてスルスルと脱がせていくのをポヤンとした顔で見ていた。

…こんな事を男にさせても恥ずかしくないのってどうなんだろ?

平田の目の前で自分が全裸になったのに特に恥ずかしくない緑はいまだ覚醒しきってない頭でいつもしている行為を行う為にそのまま一歩前に体を進めた。

「今日の体調を確認させていただきます」

平田がそう言って近づいてくる緑の股間に視線を向け、口の位置を緑の性器の辺りに合わせながら片手でおまるの位置を探る。
緑が片足を平田の肩に掛けて頭を持ち、そのまま少し体を震わせた。

「んっ♡…ふぅ…♡どう?今日も健康かしら?」

少しの間緑の体から放出される少しばかり温度の高めの体液を口に含んでいた平田が目を閉じて口をモゴモゴ動かしていた。
「特に問題はなさそうです。ただ、昨日は部屋が少しばかり乾燥していた様ですので加湿器を新しい物に交換しましょう」
「そう?じゃぁおねがいね」

ちなみに緑が寝起きに大きな方をもよおしていたら両足を平田の肩に掛けて平田の手に持ったおまると口で用を足すのだが、今日はその役目は普通のトイレに奪われたらしい。
平田は小さな落胆と共に用意していた最高級ティッシュを使い緑の股間をきれいに拭い、それを胸元に収めた。

「では今日のおススメの下着を用意してますので隣の部屋へどうぞ」
平田はそう言って手に持っていた使われなかった小型のおまるを所定の位置に戻しナイトウェアと下着の入ったカゴを部屋の外に出し緑の移動する方向のドアに向かって素早く移動してドアを開けた。

部屋の中には5体のマネキンがあり、それぞれに、可愛らしい下着、清楚な下着、アダルトな下着、プレイウェア、オモチャが装着されていた。

「これは初めて見たけど…」
緑がプレイウェアとオモチャが装備されているマネキンを見てちょっと興味がありそうな顔で近づいた。
「そちらのレザー風お姫様チック女王様装備は先日とあるサイトで見つけたので私の独断と偏見で購入しておきました。それとそちらのアナルストッパーは少し前にお嬢様が見ておられた動画で使われていた物のレプリカ製品です。とりあえず販売元の確認が出来なかったためにその手の企業に試作させました。一部材料などの面での違いがあるかもしれませんが品質に関しては間違いなくこちらのレプリカ品が上と考えられます」
「そうなんだ…」
緑が見ていた動画は、見た感じ南米系の小柄な女性がアナルにダブルフィストを入れられたりグレープフルーツの様なサイズのアナルストッパーを入れられて街中を超ミニ&Tバックで見られながら歩くと言った感じの内容だった。
自分が見た訳では無いが、そんな動画を見ながら自分で指を4本アナルに入れながらオナった記憶がある為なんとなく自分のそんな姿を見られた気がして恥ずかしかった。

「さすがにあの動画みたいな事は寒くてできないから今日は…これを着ます」
緑は博之の中に居た頃に彼がソフィーに好んで着させていた飾りが少なめの清楚なイメージの物を選んだ。
「これからはこの様な少しおしとやかな感じの下着を多めに用意してくださいね」
「かしこまりましたお嬢様。ではこちらのアダルティーな物や可憐なイメージの物は処分しても…一応これらのお嬢様に似合いそうな物も裏で用意しておきますのでご入用の時やその様な気分の時にお申し付けください」
緑の『えっ?それ捨てちゃうの?』みたいな顔を見て心情をくみ取った平田は以降も色々なバリエーションの下着を用意してお嬢様に自分を使っていただける時に着るよう提案してみようと心をひそかに踊らせていた♪

「朝食の準備が出来てますのでどうぞ」
ウォークインクローゼットに掛けられていたその時の気分で選んだ服を着て外に出ると平田が待っていてくれた。
エスコートされてダイニングへ向かうと組の若い連中が下品な笑い声をあげながら大盛りどんぶりご飯を掻っ込んでいるのが見えてきた。
「「「「「「おはようございますお嬢様!」」」」」」
「おはよう。今日も皆さん元気ですね」
「「「「「「へいっ!今日も頑張ってきやす!!」」」」」」
「警察に捕まらない様に気を付けてくださいね」
緑の笑顔に何人かの男達がとても嬉しそうな顔で立ち尽くしていた。

「お嬢様はいつもの席へどうぞ」
そのまま平田にエスコートされて少し奥の仕切りで区切られた一角へ向かうと両親と組の幹部が数人、他にも組長とその愛人らが個別のテーブルで優雅に食事を取っていた。

席に着くとすぐにエッチな店から派遣されてきたような姿のウェイトレス姿の女性がパンとスープを運んできた。
スープを皿に取り分けてもらい、2個小さ目のパンを選び、テーブルに置かれていた陶器に入れられたバターを塗って食べていると声がかけられた。

「そう言えばあの男が入院したらしいな」
父親が見たことの無い胸の大きな女の肩に腕を回し、湯気を上げているカップを持ち自分を見ている。
「どうもその様です。平田から桐生が入院したって話は聞きましたが…?」
「聞きましたが?では無かろう。あの男にはここの店で使う女を用意させていただろうが、代わりはもう用意できているのだろうな?」
「桐生の代わりですか?それは…」

緑が平田に視線を向けるとすぐに近くに来てくれた。
「失礼します。今現在桐生を病院送りにした者たちを確認している最中です」
「…どこかの組がかかわっていたのか?」
父親が女の肩に回していた腕を下ろし女を押しよけ体をこちらに向けた。

「今現在調査中ではありますが、どうも海外からの相当上の方の息のかかった連中が動いている様です簡単に手を出すと少しばかりまずい事になるかもしれません」
「ほう?そんな連中がこの辺りに目を向けてきたのか…なるほど…」
父親は何か情報を手に入れているのか腕を組んで何か考え始めた。

「まぁそれならよかろう。その連中の正体が分かったらこっちにも情報を上げろ」
「了解しました」
「はい」
その後父親は手に持っていたカップを飲み干し女の腰に腕を回し部屋から出て行った。

「緑も大変じゃのぉ…」
男の声が室内に響いた時、周囲の空気が少し緊迫した気がする。
「その様に見えますか?篠田しのだおじ様」
「まぁのぉ…赤ちゃんの頃から緑んことは見てきたけんのぉ、少しは分かるぞ」
組長の篠田が好々爺然とした顔で自分を見ていた。

この男は危険。

体が警告を発する様に緑の全身に緊張感が走る。これまでの緑が経験してきた記憶が警鐘を鳴らしていた。
あの虫も殺さない様な顔のままこの男は、喘ぎ声が気に入らなかったと言う理由で自分が犯している最中の女の腹をナイフで裂いた事があるらしい。
他にも自分に対して土下座している男の頭を蹴り割ったりする様な人と聞いた。
緑はそれらの話を平田や両親に聞いて育ったため、小学校に通っていた頃から篠田がその時の気分で自分を抱き寄せて下半身に手を伸ばし撫でまわしたり胸を揉みしだいたりするのを笑顔で我慢してきた。

篠田が自分に手を伸ばして近くに来る様に手招きしている。
また今日もむりやり体中を触られまくるのかぁ…
朝から最低な気分になりつつも笑顔で篠田に近付く緑。

「緑はそろそろ男を知ってもいい頃かのぉ?何歳になった?」
篠田はそう言いながら短い脚をテーブルから出してそこに緑に座る様に手で指示している。
「一応今年17歳になりました。来年度は高校卒業です」
「なるほどのぉ~そうかぁ~少しばかり小さ目じゃがなかなかイイ感じに育ってるみたいじゃのぉ~♡」
腰に回されていた尻の辺りを撫でまわしていた手が脇の辺りまで上がってきて胸を少し強めに掴んだ。
「んっ!篠田おじ様ちょっと痛いです…」
「そうか?まぁでもお前もそろそろこういった刺激に慣れてもらわねばならん頃になってきたからのぉ」
自分を見る篠田の視線が女を見定める目に変わった気がした。
「さすがにこれ以上はお父様に怒られてしまいますので申し訳ありませんが…」
「気にする必要はない。あいつにはもう話が付いとる。今日からお前はワシの部屋に寝泊まりする事になるから…準備をしておけ。いいな?」
篠田が平田に向いて命令する。

「了解しました」
平田は礼をして仕切りの辺りまで下がった。

どうも自分の父親は自分を組長の篠田に差し出したらしい。


最高の男の為に磨いてる…ね。緑が言っていた言葉がとてもむなしく思い出された。


緑は少しの間篠田の膝の上で服の上から胸とクリトリスの辺りを執拗に撫でられ続け、この体に入る前の自分の体の頃を思い出していた。



あの時…自分は何度も嫌だって言ったのに…でも誰も自分の言う事に耳を貸してくれなかった。

何回も助けを求めたけど…親にも泣きながら助けてって言ったけど…見捨てられた。
やっぱり自分が助けて欲しい時には誰も助けてくれないのかなぁ…



博之様の中にずっと居られたらよかったなぁ…



緑の体に入った凜の魂が自分の心を守る為に体と自分の間に壁を作って閉じこもろうとしていた時に平田と目が合った。
そして平田が走って近づいてきて緑の胸元のボタンを外して中に入ろうとしていた篠田の右手を掴んだ。

「緑お嬢様を汚い手で触るな」

篠田に緑が呼ばれた辺りで幹部の者達が席を立ち始め次々と部屋を出て行った為、室内には緑の小さな喘ぎ声だけが響いていた中、その声は少し大きく聞こえた。

「お前は今、何と言った?ワシの聞き違いかのぉ」
篠田の眉間に深い皺が刻まれて平田に握られていた手を払い除け、緑の股間に伸ばされていた手が恥丘を強く掴んだ。
「いっ…篠田おじ様、痛いです…」
緑の消え入りそうな声が部屋に居る者達の耳に届く。

「篠田さん、少しばかり気が早すぎではございませんか?あの人との話では緑がそちらにうかがうのは今日の夜からとなっていたはずですが」
篠田のテーブルから一番遠い席に座っていた緑の母親が3人を見ながら席を立った。

「あぁ?あおいもなんぞ文句があるんか?」
「そうではありません。緑の不始末の補填に緑が篠田さんに抱かれるのはしょうがないですが、準備が必要です。最初の男に抱かれる事は女にとってとても大きな事ですよ。その辺りは少しばかり気遣っていただけませんか?」
母親が篠田に近付いてきて、胸元の谷間を見せつける様に屈み込みながら自分の肩を少し押して篠田の脚の上から降ろした。
「ふむ…なるほどのぉ…お前が緑とこやつの尻拭いをするというのか?」
篠田が緑と葵を交互に見てとてもだらしないニヤケ面を晒した。
「あら?緑を抱く日に母親の私の体まで楽しむおつもりですか?この…ド・スケベ♡」
葵が篠田の耳元で囁くような声で言うと篠田はとても嬉しそうな顔になり左手を葵の尻に回した。

「まぁよかろう。平田は後で呼ぶまで地下で待ってろ。緑は誰かに体を磨かせて夜の準備をしてろ。いいな」
篠田が葵の尻をニギニギしながらたまに股の辺りに指を伸ばしたりしつつ立ち上がり部屋を出て行った。

「平田、ありがとう」
自分が平田と母親に見捨てられていなかった事を知り、涙が止まらない緑。
「少しばかり時間が足りずにお嬢様に不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。でもこれ以降お嬢様が先ほどの様な嫌な思いをする事はもうありません。ご安心ください」
平田はいつもの笑顔で緑を少しだけ抱きしめ手を取り部屋に向かって歩いて移動を始めた。

「平田は篠田おじ様の言われたとおりにしなくても良いのですか?」
先ほど篠田が言っていた、『地下で待て』と言う言葉はビルの地下階にあるいわゆる拷問部屋に行けと言う事であり、自分でその部屋に行き事情を説明して拷問をうけていろという意味だった。
篠田の言葉を履行しない者はその事がバレた瞬間に組員全員から命を狙われる事になるので、幹部であっても泣きながら自分で向かうのだが…

「問題ありません。組の幹部の元には今現在私の力で眷属になった女が常駐する様になっています。篠田だけ女を送り込めていなかったのですが、先ほどうまく事が運びましたのでこれで組の制圧はほぼ完了したと言えるでしょう」
笑顔で答えてくれる平田の言葉に少し違和感を感じた緑。

「さっき…ですか?」
「はい。つい先ほど」

ついさきほど女を送り込んだ…

「もしかして…篠田おじ様の所に送り込んだ女って…えっ?もしかしてお母さんの事ですか?」
平田の言葉を思い返してみれば母親の葵が平田の眷属…女になったという意味になる。

緑の中で篠田に母親と一緒に抱かれそうだったさっきまでと、これから先の平田との関係が少しばかりダブって感じられてしまい急に心配になってきた。
「もしかして私とお母さんはこれから二人とも平田に抱かれる事になるのですか?…って言うかもしかして昨日私の体を楽しんだ後で平田はお母さんの所に行ってお母さんを抱いたのですか?」



「…」



平田は笑顔で質問に答える事を拒否した。
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