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第7章 パーティー、そして

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 宗太さんが用意してくれたホテルの一室でドレスに着替え、時間になるのを待った。

 ドアチャイムが鳴って、宗太さんが部屋に入ってきた。
「いよいよだな」
「はい」

 黒のショールカラーのタキシードを着ている宗太さん。

 思わず見とれてしまう。
 正装の彼は、もう神々しいほど麗しい。

 彼はベッドのふちに腰をかけた。

「支度はできた?」
「はい」
 わたしは彼の前までいった。

「エリカは本当に赤が似合う。普段の何倍も綺麗だ」
 宗太さんは立ち上がると、わたしの肩をそっと撫でた。

 そして、わたしの首元を飾っているガーネットと真珠のチョーカーに触れた。

「実はガーネットにはもうひとつ意味があってね」

「どんな意味ですか?」

「〝恋愛成就〟」
 宗太さんは目を細めてわたしを見つめた。

「いいかげんなセールストークかと思ってたけど、正しかったんだな、上海の骨董屋の女主人の話」

 そんな話をしながら、彼はタキシードのポケットから小箱を取りだした。
 臙脂色の皮張りで手のひらに乗るぐらいの大きさ。
 中に入っているものはだいたい想像できたけれど。

「開けてみて」
 でも、その指輪は想像をはるかに超えるほど見事で、一瞬声を失った。

「すごい……」
 1カラット以上ありそうな、大粒のダイヤ。そして、そのダイヤを囲む、小粒ながら存在感のある無数のメレダイヤ。

 文字通り、目がくらみそうなパヴェリングだった。

「初めて会った日に〝成功報酬〟の話をしたの、覚えてる?」
「ええ」

「実はあのとき、婚約指輪のことを考えてたんだよ。そうなればいいなと思って……。ほら、手を貸してごらん」

 彼はそっとわたしの左手を取ると、指輪を薬指にはめた。

 手を斜め上に掲げてみる。
 陽光を受けて、指輪はあでやかにきらめいている。
 その輝きがさらにわたしに力を与えてくれる気がした。

「宗太さん」
「うん?」

「今日、会場にいらした方たちに、わたしがあなたのパートナーとしてふさわしいと納得させてみせます。見ていてくださいね」

 宗太さんは目を丸くして、それから朗らかに笑った。
「それでこそ、ぼくのエリカだ。そういうところがほんと、たまらないよ」

 彼はわたしの腰に手を回し、自分のほうに引き寄せた。
「どんどんエリカが好きになる。もうどうしようもないほどに」
 そう呟くと、彼はわたしの首の後ろに手を回し、チョーカーを外して、ベッドの上に置いた。

 そして、顔を傾けて、わたしの首筋にキスした。
 噛みつくように。
 跡が残るほど強く。
 もちろん、チョーカーで隠れる場所だったけれど。

「エリカはぼくのものだよ。もう絶対に離さない」

「宗太さん……」
 あまりにも幸せで、怖くなるほどだった。
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