悪役令嬢は双子の淫魔と攻略対象者に溺愛される

はる乃

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旧ver(※書籍化本編の続きではありません)

突然の暗闇④★

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『ほら、挿れたくて挿れたくて堪らないでしょ?この女を手に入れたいんでしょ?なら、さっさと私と契約しちゃいましょう?』

――――この声は誰のものだ?

ヒソヒソと耳元で囁かれる甘い誘惑。
だが、頭に直接響いてくるような、この甘ったるい声は、僕以外の者達には聞こえていないようだ。

「くっ……」

得体のしれない何かが、僕のソレに絡み付いて扱いている。
嫌悪感を感じ、触れられたくもないのに、どうして僕は感じてしまっているんだ?

ヌルヌルヌルヌル♡♡
シコシコシコシコ♡♡

「……っ……」

この囁き声が言う通り、僕は今すぐにでも、この情欲の塊である熱杭を愛しいヴィクトリアの中へ打ち込みたい。
彼女の中を好き放題蹂躪して、彼女を焦らしてイジメ抜いて、イキたいと懇願する彼女をめちゃくちゃに犯したい。いつもの夢のように。

彼女の唇を塞ぎ、時折隙間から漏れる甘い吐息や、鼻にかかったくぐもった声が堪らなく愛おしくて、彼女の身体から聞こえてくる淫靡な水音に煽られる。

(ヴィクトリアも、欲しくて欲しくて堪らない程、感じている……)

この激しい水音は、ヴィクトリアが感じまくって悦がっている証。
恥ずかしいと羞恥に苛まれながらも、蜜を滴らせ、熱い肉棒を欲している。

(……ヴィクトリア………)

欲しい。
彼女が欲しい。

頭の芯がグラグラする。
キスをする度、肉棒に絡み付いてる何かがヌルヌルと扱く度に、思考が奪われていく。快楽しか考えられなくなる。

『こんなに我慢汁を垂れ流して。……全部あの女に注いでやりましょう?きっと泣いて悦ぶから。ひとつになって、沢山沢山注いで、最期には魂さえも・・・・・・・・貴方のものになる。……素敵でしょ?』

泣いて悦ぶ……
確かに、そうかもしれない。
夢の中に出てくるヴィクトリアは、たっぷりと僕特製の媚薬を注いだ後、玩具で数時間焦らせば、狂ったように泣いて僕を欲しがる。そうして思いっきり奥まで突いてやると、何度も何度も続け様に絶頂して悦んでくれるんだ。

愛しい愛しいヴィクトリア。
君の快楽に堕ちた紅い瞳を永遠に見ていたい。
そう、あの深紅の瞳を………

「………?!」

そこまで考えて、ジルベールはハッとした。
快楽に思考の殆どを支配されながらも、ジルベールはある事を思い出したのだ。

夢で見たヴィクトリアの紅い瞳。
この間、昼休憩の時に目撃してしまったエリックとヴィクトリアの情事でも、彼女の瞳が紅かったような気がする。

それが何を意味するのか。
ジルベールはここ最近、あらゆる書物を読み漁っていた。そして見つけたのだ。
人間が魔物へと変わり果て、討伐されたという記述を。

人間が魔物へ墜ちる――――転化してしまう事例はいくつかあったのだ。

一番有名なのがヴァンパイア。
ヴァンパイアは吸血行為により、自らの眷属を増やす事が出来る。伴侶にと願った相手には、同等の力を与えて不老不死にしてしまう事も可能らしい。

それと同じく、他にも気に入った人間を眷属にしてしまう魔物が複数存在する。

その内のひとつが“淫魔”だ。
夢の世界に渡れる彼等は、人間の精神体、魂にさえ干渉出来る。
肉体と魂の純血――――それを奪えば、奪われた人間はその淫魔の眷属となるのだ。
しかし、ヴァンパイアと違って淫魔の眷属化は定着が難しく、大量の精気を必要とするらしい。そのせいで極度の飢餓状態に陥ってしまい、殆どが発狂して無差別に人を襲う為、討伐されてしまう。

夢に出てくるヴィクトリア。
深紅の瞳。

ジルベールはまさかと思った。
だが、自分の考えが正しかったなら、突然エリックが王太子の座を返上し、アルディエンヌ公爵家へ婿入りすると言い出した事にも合点がいく。

エリックは全て知っているのだ。
彼女が、ヴィクトリアが既に人間ではないのだと。そうして、その事実を知って尚、ヴィクトリアを欲し、手に入れる為に王太子の座を降りようとしている。

『……ねぇ、いつまで悩んでいるの?』

思考を遮ろうとする、この声が邪魔だ。
つまり、今の状況はどうとでも覆せるという事だ。

ヴィクトリアが人間では無いのなら、その事実を陛下に話してしまえば、エリックとヴィクトリアの婚約は無かった事になるだろう。その上で、既に王族であるエリックと身体を重ねてしまっているヴィクトリアは討伐対象となる。
ならば、誰にも気付かれないように僕が保護して、一生僕が彼女に精気を与え続けるという道もあるわけだ。
まぁ、その方法だと間違いなく彼女の心は手に入らないから、それはあくまで最終手段。

今の彼女は察するに、記述にあった通り、大量の精気を必要としている状態なのだろう。

(エリック殿下一人の精気では賄えていない。だから、僕の夢に――――)

ジルベールがそう結論付けて、いよいよ核心に辿り着いた時。
それまでヒソヒソと囁くように聞こえていた声が、大きな声で響き渡った。


『さっさと契約しなさいよ!!いつまで黙っているつもり?!それに、キスが長過ぎるでしょ?!』


その瞬間。
ジルベールにだけ聞こえていた声は、ヴィクトリアやエリック、レオンハルトの脳内にもハッキリと届いた。

「……っ?」
「今の声は……」
「なんだ?突然頭の中で声が聞こえたが」

真っ暗な闇の空間で脳内に響いたその声の主は、仕方がないと言わんばかりに自らの姿を現した。
暗闇の中、その女が現れたと同時に、ヴィクトリアやジルベール達は互いの姿が認識出来る様になり、現状を知った。

「リア?!」

エリックやレオンハルトの目に、真っ先に飛び込んできたのはヴィクトリアに絡み付く得体のしれない植物だ。
制服で見えないが、明らかにヴィクトリアの下半身から聞こえてくるズチャズチュという淫靡な水音のせいで、何をされているかは一目瞭然だった。
ジルベールの両手はヴィクトリアに触れてはいるものの、抱き締めるように肩と腰に添えられていて、悪戯していたのはジルベールでは無かったのだと分かる。

しかし。

「……っ。ジルベール、リアから離れろ!」

こんな状況であっても、ジルベールはヴィクトリアとのキスを続けていた。
角度を変え、何度も何度も深く濃厚なキスを繰り返すジルベールに、エリックが怒りを露にする。

「ジルベールっ!!」

エリックの方へチラリと視線を向けたジルベールは、仕方がなく諦めた顔をして漸く唇を離した。
途端、ヴィクトリアの甘い声が漏れてしまい、ジルベールが何を隠していたのかが分かる。

「ひぅっ♡♡あっ♡んんっ♡♡」

ズチュズチュズチュズチュ♡♡
ヌルヌルヌル♡♡
クチクチクチクチ♡♡

「……僕は必死に声を我慢しようとする彼女の手助けをしていただけです。まぁ、これだけ恥ずかしい蜜の音が聞こえているのだから、あまり意味は無かったかもしれませんが」

ジルベールが片眉を上げつつ、僅かに口端を上げてそう言った。

花芽も触手に扱かれ始めて、ヴィクトリアは必死に声を我慢するも、快楽の高みへと追い詰められていく。
そんなヴィクトリアを助けようと、エリックやレオンハルトが傍へ駆け寄る。けれど、何か見えない壁の様なものに弾かれて触れる事が出来ない。

そこで漸く、この空間に現れた女の方へ視線を向けた。


「この空間やこの植物はお前のせいだな?一体何者だ。いや、何者でも構わない。今すぐ止めろ」


怒気を含むエリックの声に、現れた女――――ディペは不満そうな顔で答える。

『嫌よ。貴方達、皆この女が好きなのね。ただ快楽に弱く流されやすいだけのこの女の何がそんなにいいの?顔?身体?……ああ、それとも……』


ディペは口角を上げて、ニヤリと歪で真っ黒な笑みを浮かべた。


『この女の、サキュバスの力・・・・・・・で魅了されてしまっているの?可哀想に。貴方達なんて、この女からすればただの餌・・・・なのに。ねぇ?』


エリックやジルベール、レオンハルトは大きく目を見開いて固まった。
男達の反応に、ディペは笑いが止まらない。

この女を人間だと思っていたなら、さぞショックだったに違いない。
しかも、この女はサキュバスだ。
サキュバスが持つ幻惑の魔法のひとつ、【魅了】は、相手を魅了し、虜にしてしまう。そして、その力の事は誰もが知っている。

好いていた女が実は人外で、しかもサキュバスだった。自分は騙されていたのだと知れば、絶望と同時にあの女を憎む筈。こんなに面白い事はない。

散々陵辱させた後に、この三人の手で殺させるのも一興かもしれない。
あの女――――薄汚い泥棒猫には、似合いの死に様だ。

そう思ってディペが醜く笑い続けている中。

エリックの心はディペへの怒りで満ち満ちていた。


(余計な事を……この場にはジルベールもいるのに)


チラリと横目でジルベールを見れば、その口元は綻んでいた。
エリックはギリッと歯噛みする。
ジルベールに、ヴィクトリアを手に入れる簡単な方法を知られてしまった。ずっとずっと隠していたのに。

このままでは、奪われてしま――――



「……彼女がサキュバスだったとか、どうでもいい。今はとにかく、早くその植物の魔物を何とかしないと」



その言葉で、ディペの笑いが止まった。
エリックとジルベールは驚いて彼を見つめる。ヴィクトリアさえも、快楽に身体を支配されながらも、一瞬言葉を失った。

“サキュバスだったとか、どうでもいい”。

この言葉に、ヴィクトリアは酷く胸を打たれた。
そうして、自分を見つめる宵闇色の真摯な眼差しに射貫かれる。



「レオンハルト……殿下……?」


* * *
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