20 / 121
本編
10歳になりました。
しおりを挟む時が経つのは早いもので、私、アリス・リトフォードはあっという間に10歳となった。
早いわ~
前世では10代の頃って遅く感じたんだけどね。多少肉体年齢に引っ張られているとはいえ、中身が10代じゃないからかなぁ?切なっ。
あれからクロは一度も夢の中に現れず、今現在ではただの可愛らしい我が家の愛犬である。その為、魅了の魔法解除への道は全く進んでおらず、天使のようなアルフォンスは未だ盲目的に私を慕ってくれている。ぎゃふん。
ニールたんも相変わらず呪いについて調べてくれてはいるようだが、対象が精霊だからか大した成果はないようだ。
第一王子であるフィリップ殿下も、求婚をお断りした後からはアプローチしてこなくなった。毎年行われる誕生日パーティーには参加しているけど、挨拶の後はチラチラと此方を見てくるだけで話し掛けては来ない。
何なんだ一体。こっち見んな。
でも、フィリップ殿下も私とは付き合わない方がいいって分かってくれたのかもね。私の身の安全の為にも、その方がいいし。
さてさて、今日は王家主催のパーティーらしい。王子達の婚約者をそろそろ決めないといけないとか何とか。まぁ10歳前後の子供達が集められている訳です。女の子だけじゃなく、男の子も居るんだって。将来の側近候補とか?
ゲーム通りなら今日のパーティーの後に、悪役令嬢のマリアーノ様がフィリップ殿下の婚約者になる筈。
私は壁の華に徹しよう。
私は空気、私は空気。
どうかこんな元平民の事なんて気にしないで下さい!!宜しくお願いします!!
* * *
「アリス嬢、是非私とお話致しませんか!」
「いや、僕とあちらのバルコニーで」
「リトフォード侯爵令嬢!」
どうやら今日も呪い(魅了の魔法)は平常運転らしい。今日のクロさんのおやつは無しにしてやろうと思います。
普通、爵位の高い方から話さないといけないから、私が沈黙していれば問題なかった筈なのだ。
しかし、だがしかし!!
お父様は国王陛下や王妃様とも仲が良いらしい。王妃様が私やアルに気を遣って下さって、先程色々やらかしてくれやがりまして。大々的に紹介されてしまった私とアルは為す術もなく、群れの中へと放り込まれてしまったのだ。
「あ、アリス姉さまに近づ……」
「アルフォンス様!私はドートゥル伯爵家の……」
「ちょっと!アルフォンス様は私とお話するのよ?!」
「アルフォンス様!」
ちょ、うちの天使に何しとんじゃあああああ!!!待っててアル!今お姉ちゃんが助けに……
「リトフォード侯爵令嬢、俺は王国騎士団長の息子、レジナルド・ブルストロードだ。フィリップ殿下から貴女のお話はよく聞いている」
邪魔すんなあああ!!!
……って、今なんつった?
騎士団長の息子??それって確か……
「申し訳ないが、フィリップ殿下から貴女を呼んでくるように言われている。ご同行願いたい。リトフォード侯爵令嬢」
騎士団長の息子って、攻略対象じゃん!!!
* * *
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,874
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる