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第一部
25 スカーレットオーク
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食後に緋紗はペンションの掃除をしたりショップの品物を整えたりした。
直樹は和夫と厨房で夜の支度をしており、小夜子は菜園をいじっている。
緋紗は掃除をしながら丸太小屋を堪能した。
客が来ると慌ただしくなるし、一日中、何かしらすることがあるが、気分はゆったりとする。
陰イオンの効果でもあるのだろうか。
こんなに気分よく過ごせる休日もめったにない。
なにより直樹のそばにいられることが嬉しかった。
さっきのロクロを回していた時のことを映画の中で流れていた曲と共に思い出す。――陶芸をしている女の子の過半数は憧れるシーンだよね。
あんなシーンが現実に起こる日が来るなんて想像すらしていなかった。
短期間で色々経験が増え自分の気持ちも増えていくのを感じる。――続きは夜……。
囁かれた言葉を思い出して緋紗は慌てて消す黒板のように床を拭いた。
厨房で一通り準備が整った頃、小夜子が客の案内から戻ってきて直樹に耳打ちする。
「ゴーストごっこいいじゃない。私も和夫さんと今度やろうーっと」
「設定が男女逆じゃないですか?」
しれっと言う直樹にふんっと笑いながら、「今夜は気分がいいから私が弾くわ」と、小夜子は支度をしに部屋に行った。
緋紗が掃除を終えて厨房にやってくる。
「お掃除終わりました」
「こっちも今はいいよ。和夫さん、ちょっと散歩してきていいですか?」
「おう。いいぞー」
和夫も少し座って休憩をするらしい。
「ひさ行こう」
直樹が緋紗を外に連れ出す。
ペンションの周りにはよく見るといろんな木が生えていた。
その中で変わった葉っぱが紅葉している。
細長い炎の様なギザギザした不思議な形だ。
「面白い形の葉っぱですね」
「綺麗でしょ。スカーレットオークって言う木だよ。」
――スカーレット……緋色の木。
「普通にモミジも綺麗だけど僕はこの木の紅葉のほうが好きだな」
自分のことを好きだと言われるような気がして緋紗は嬉しくなり、スカーレットオークが好きになった。
「どんぐりも丸っこくてなんか変わってるだろう」
緋紗のてのひらに直樹はどんぐりを三個乗せた。
「ほんとだ。なんか変わってて可愛い」
「さて仕上げするかな。今日は小夜子さんがピアノを弾くそうだから楽しみにするといいよ」
「そうなんですか。なんかすごそうですね」
「すごいよ、実際。ただディナータイムの演奏は有名で静かめな曲を選ぶからね。小夜子さんには合ってないな」
「えー。昨日の選曲よかったんですか?」
緋紗が目を丸くする。
「小夜子さんの演奏がお目当てでくる人もいるけど僕のは何でもいいんだよ」
笑いながら歩く直樹の色々な側面に驚かされるばかりの緋紗だった。
直樹は和夫と厨房で夜の支度をしており、小夜子は菜園をいじっている。
緋紗は掃除をしながら丸太小屋を堪能した。
客が来ると慌ただしくなるし、一日中、何かしらすることがあるが、気分はゆったりとする。
陰イオンの効果でもあるのだろうか。
こんなに気分よく過ごせる休日もめったにない。
なにより直樹のそばにいられることが嬉しかった。
さっきのロクロを回していた時のことを映画の中で流れていた曲と共に思い出す。――陶芸をしている女の子の過半数は憧れるシーンだよね。
あんなシーンが現実に起こる日が来るなんて想像すらしていなかった。
短期間で色々経験が増え自分の気持ちも増えていくのを感じる。――続きは夜……。
囁かれた言葉を思い出して緋紗は慌てて消す黒板のように床を拭いた。
厨房で一通り準備が整った頃、小夜子が客の案内から戻ってきて直樹に耳打ちする。
「ゴーストごっこいいじゃない。私も和夫さんと今度やろうーっと」
「設定が男女逆じゃないですか?」
しれっと言う直樹にふんっと笑いながら、「今夜は気分がいいから私が弾くわ」と、小夜子は支度をしに部屋に行った。
緋紗が掃除を終えて厨房にやってくる。
「お掃除終わりました」
「こっちも今はいいよ。和夫さん、ちょっと散歩してきていいですか?」
「おう。いいぞー」
和夫も少し座って休憩をするらしい。
「ひさ行こう」
直樹が緋紗を外に連れ出す。
ペンションの周りにはよく見るといろんな木が生えていた。
その中で変わった葉っぱが紅葉している。
細長い炎の様なギザギザした不思議な形だ。
「面白い形の葉っぱですね」
「綺麗でしょ。スカーレットオークって言う木だよ。」
――スカーレット……緋色の木。
「普通にモミジも綺麗だけど僕はこの木の紅葉のほうが好きだな」
自分のことを好きだと言われるような気がして緋紗は嬉しくなり、スカーレットオークが好きになった。
「どんぐりも丸っこくてなんか変わってるだろう」
緋紗のてのひらに直樹はどんぐりを三個乗せた。
「ほんとだ。なんか変わってて可愛い」
「さて仕上げするかな。今日は小夜子さんがピアノを弾くそうだから楽しみにするといいよ」
「そうなんですか。なんかすごそうですね」
「すごいよ、実際。ただディナータイムの演奏は有名で静かめな曲を選ぶからね。小夜子さんには合ってないな」
「えー。昨日の選曲よかったんですか?」
緋紗が目を丸くする。
「小夜子さんの演奏がお目当てでくる人もいるけど僕のは何でもいいんだよ」
笑いながら歩く直樹の色々な側面に驚かされるばかりの緋紗だった。
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