【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます

よどら文鳥

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第一章

29 ルルガムからの手紙

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「リリー、顔色がよくないが大丈夫か?」
「ごめんなさい……」

 体調が悪くなったわけではありません。
 わかってしまったんですよ。不幸中の幸いと言いますか……ザグロームに当てはめると何を企んでいるのかが……。
 その上で失礼ながら、あまりにも幼稚な作戦をするのかなと考えたら頭が痛くなっただけですから私は平気です。

 不運にもこういう予想はよく当たってしまうものです。

「リーナ、言いたいことがあったら言っていいのよ」
「殿下もリリーの頭脳なら居場所を推理できるのではと思って来られたのですな」
「そうなのよ! でも、もしもリーナの言うとおりだとすれば、大至急リーナを守る対策が必要でしょう。ま、いざとなったらアタシが守ってあげる」
「いや、私の婚約者ですぞ。私自ら命を賭けてでもお守りする義務がありますので!」

 うーん……いつもならドキドキしてしまっているかもしれませんが、今回ばかりはそれどころではありませんね……。

 まぁ、おそらくなんとか対策はとれそうですが。
 というのも、この国の王都の地形と構造ならば案外容易に対策ができそうな気がしたからです。
 ただ、ここまでのことは私の予想というだけなので、何か確証が取れるような情報がなければ大規模に動くことができないでしょう……。

「お話の最中に申し訳ございませんが……」
 ずっと黙って会話を聞いていた執事のロロガルさんが、胸ポケットから何かが書かれている紙を取り出しました。

「これは陛下が戻られたら直接お伝えしようかと思った手紙です。速達用の伝書鳩で届いたものですし、今ここでお見せしたほうが良さそうですので」
「伝書鳩……ロロガルよ、誰からの手紙だ?」
「弟、ルルガムからの手紙です」

 名前を聞いて、誰よりも私が一番先にビクリと反応しました。
 ルルガムが伝書鳩を使うときは必ず緊急時の場合と決まっていましたので。
 私をオーブルジェ王国へ導いてくれたときも、伝書鳩を使っていたのだと聞きました。

「読んでくれたまえ」
「では……」

『拝啓兄上。アルガルデ王国の無礼貴族の動きが活発化した。新たに就任したサージェント=アルガルデ国王陛下は国の再建のために決死の努力で改善を図っている。しかし、それをよく思わない反サージェント派の貴族および元国王までもが、一斉にオーブルジェ王国に移動する準備を始めているようだ。サージェント陛下派である諜報部隊の情報によれば、そちらの国で内通している者を通し、手を組み両国を制圧しようと企んでいるらしい。デインヒール陛下にこのことを伝え、リリーナお嬢様の協力を求めたい。尚、私はすでにサージェント国王陛下に仕える身となっているので、何か知らせがあれば陛下宛に届けてほしい。
追伸、リリーナお嬢様お元気で幸せになられていれば何よりです。サフランお嬢様とザグローム殿の失態により今回の騒動にまで発展してしまいました。故に、リリーナお嬢様が今まで国を支えてきたと言っても過言ではないでしょう。伯爵家並びに公爵家は騒動のキッカケになった失態が全貴族に知られてしまい、現在大変な事態になっておられます。生憎、元国王が庇っている状況ではありますがそう長くは守りきれないでしょう。リリーナお嬢様のオーブルジェ王国での更なるご活躍、ご活躍お祈りしております』

 さすが名執事ルルガムです!
 おかげで今回の件は、疑惑から確信に変わりました。

「デインヒール陛下はいつ戻られますか!?」
 シンザーン殿下に対して、今は真剣モードです。
 仲良し会話をしている状況ではありません。
 殿下も口調が王族の真面目な状態に戻っています。

「明日戻られるはずだ。まさか……このような事態になるとは……」
「王国始まって以来、前代未聞の国の危機ですぞ! 我々には戦う術を知らないですから……」

 この平和な仲良し国家に、兵士や騎士はもちろんいます。
 ただ、実戦経験が全くないそうで……。

 アルガルデ王国からオーブルジェ王国までは馬を使って概ね二十日くらいでしょうか。
 伝書鳩が届いた頃にアルガルデ王国を出発したと仮定しても、あまり時間がありませんね。

「リーナ、何かいいアイディアはないか?」

 殿下が真顔で相談してくれるのは恐縮ですが、このような事件は経験がありません。
 まだ短い期間ですが、私だってこの国で大変お世話になって交友も増えました。
 何か力になれることがあれば何とかしたいのです。
 
「まずは明日、陛下に報告してからにしましょうか。襲撃の対策はいい方法があります」
「「なんと!!」」

 二つ同時に面倒ごとがやってくるとは思いませんでしたが、うまくいってくれれば一つの面倒ごとで済みそうなので案外容易かもしれませんね。
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