【完結】私の愛する人は、あなただけなのだから

よどら文鳥

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6 縁談の返事

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 あれからあっという間に七日が過ぎ、ギャレット殿下に報告する日が来てしまった。
 私の決意は固い。
 覚悟を決めて再びギャレット殿下の応接室へと入った。

「答えは決まったかい?」
「はい」
「よし、ひとまず座りたまえ」

 前回と同じように椅子へと腰掛ける。
 だが、何故か殿下は私の真横に座るのだ。
 そして私の肩へ腕をかけてくる。

「あの……これは一体?」
「答えは出ているのだろう? ならば問題ないだろ?」
「いえ。本日はお断りにきました」
「はぁああああああああああ!?」

 耳元で、でかい声だして騒がないでほしい。
 一瞬素がでてしまい、思いっきり迷惑な表情をしてしまった。
 逃げるように一度立ち上がる。

「申し訳ございません。大変名誉なことだとは存じております。しかしながら、私の気持ちは今も別の人のところにあります。愛する方が他にいる状態で殿下と結婚するのは失礼にあたるかと」
「そんなことは問題ない。折角なのでハッキリと言っておくが欲しいのはヒマリの身体なのだ」

 この王子、平気でとんでもないことを言い出した……。

「王族の子孫も産まれ、ファールド家の地位も上がるぞ。私が満足したらあとは他の男とくっつくなり好きにしても良い。これほど楽な結婚はないだろう? 私としても合意の上で関係を持てる。お互いウィンウィンの関係だろ」

 団長が言っていたとおり、ギャロット殿下はゲスなようだ。
 こんな男とは絶対に結婚してなるものか。

「それに、お前の愛する者はレン騎士爵だろう?」
「なぜそのことを知っているのですか?」
「私は調べればなんでもわかるのだよ。特に気になった女の情報ならばな。良いことを教えてやろうか。私にヒマリを譲るのならば騎士爵としての地位は存続させ、ジェイムス家の問題も全て解決してやろうと言ったら素直に従ったのだよ。まったく、そんな軽率な男を好きでいられるとはな……」
「そんなバカな!」

 レンがそんなことを言うなんて絶対にありえない。
 ジェイムス家は借金が多額にあるため、レンが働いてなんとかしようとしている。
 今まで何度も甘い誘惑で借金返済するような声がかかっていたが、レンは頑なに断り続けてきた。
 昔からずっと、そういう真っ直ぐな男だから好きなのだ。

「ヒマリよ、簡単に女を捨てるような男は忘れるのだ。私は沢山の女を抱くし愛するが、捨てるようなことはしないと誓おう」
「でも私は……」

 殿下のこんな言葉に惑わされてたまるものか。
 他の男のところへ行ってもいいと平気で言うような男が、捨てるようなことはしないとよく言えたもんだ。
 それに、レンはそんな酷いことをする人じゃない。
 そう思ってはいるが、何度も同じような言葉をずっと言ってくる殿下の言葉を聞いていたら、どっちなのだろうかと若干惑わされてしまっている。

「ジェイムス家の借金をレン騎士爵が一人で解決しようとしていたのだろう? これはヒマリと結婚するためのおまけのようなものだ。そもそもは、ファールド家の地位を上げようとお前の両親に言ったら泣いて喜んでおったわ」
「お父様とお母様が!?」
「あぁ。だが婚約者がいたのだろう? その者ともすぐに引き離すと言ってくれたのもお前の親だ」

 ギャレット殿下の話を聞いているだけで、本当は殿下の言っていることが全て本当のことなのかもしれないと思うようになってしまっている。

 私の両親は地位とお金にうるさい人たちだ。
 殿下か使いの者からそのように聞かされたら私とレンの関係を引き離そうとする可能性は十分に考えられる。

「さぁ、わかったら大人しく私の元へ抱きついてこい」
「それは……お断りします」

 レン以外の男に抱きつくなど死んでもゴメンだ。
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