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5 アルト団長の一言で少し救われる
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会話と、驚いているところから察するに、レンはこのことを団長には言っていなかったらしい。
交際していることや婚約のことも全て知っている団長に何故報告していなかったのだろうか。
このことには私まで驚いてしまった。
「両親とも話を決着をつけたのなら、もう別れるような問題などなかっただろう?」
「そうなんだけど……それに、今日ギャレット殿下から婚約を申し込まれてしまって……。七日だけ返事の猶予はもらったけれど、もうどうしたらいいかわからない」
「なんだと!?あの無能王子にか」
「無能?」
ギャレット殿下の名前を言ったあたりから、団長の表情が酷く焦っているように見える。
それよりも騎士団長ともあろうお方が殿下のことを堂々と悪く言うことに驚いた。
「立場上こんなこと言ったのがバレちまったら首が飛ぶかもしれねぇ。でもヒマリちゃんのためだから言っておく。悪いことは言わねーから、言い訳つけてでもなんとかして断った方が良い」
「そんなに問題大ありなの?」
「俺は陛下や王子の護衛や任務が多い身分だからな。ギャレットからの依頼だけは勘弁してくれって感じだな。アイツは目的のために手段を選ばない外道だし、女遊びも相当激しいんだ」
最悪だ……。
そんな男と結婚してしまったら私の人生が終わったようなものじゃないか。
幸せになれってレンから言われたけど、不幸確定だろ……。
「レンの奴、とんでもないタイミングで……、いや、あの外道王子は結婚していようが喰うような奴だし関係ないか。レンはそのことを知ってるのか?」
「さっき言った。でも、俺より格上のお方と結婚できるんだから幸せになれるだろうって言われてしまったの」
「アイツはギャレットと会ったことがねーからそういうこと言えるんだろう。もうレンが何考えてんのかわかんねー。良い加減な男なら騎士としてもクビだが」
「レンと戻りたい……」
必死に涙を出さないように堪えている。
だが、もう限界寸前だ。
「よし、なんとかしてやる」
「え!?」
「俺に任せろ。どっちみちこのままヒマリちゃんを泣かすようなままならば、そんな奴は騎士に必要ない。自分の周りにいた人間を不幸にさせるような者が国を守れるわけがないだろう」
団長がいてくれてよかった。
少しだけ重荷が軽くなったのだから。
「そのかわり、国を敵に回すくらいの覚悟はあるな?」
「団長とここで会わなかったら、すぐにでも国から逃げ出すつもりだったくらいよ」
「承知した!」
団長の一言が、私の運命を変えてくれるかもしれない。
そう信じて、今日のところは大人しく家へ帰ることにした。
交際していることや婚約のことも全て知っている団長に何故報告していなかったのだろうか。
このことには私まで驚いてしまった。
「両親とも話を決着をつけたのなら、もう別れるような問題などなかっただろう?」
「そうなんだけど……それに、今日ギャレット殿下から婚約を申し込まれてしまって……。七日だけ返事の猶予はもらったけれど、もうどうしたらいいかわからない」
「なんだと!?あの無能王子にか」
「無能?」
ギャレット殿下の名前を言ったあたりから、団長の表情が酷く焦っているように見える。
それよりも騎士団長ともあろうお方が殿下のことを堂々と悪く言うことに驚いた。
「立場上こんなこと言ったのがバレちまったら首が飛ぶかもしれねぇ。でもヒマリちゃんのためだから言っておく。悪いことは言わねーから、言い訳つけてでもなんとかして断った方が良い」
「そんなに問題大ありなの?」
「俺は陛下や王子の護衛や任務が多い身分だからな。ギャレットからの依頼だけは勘弁してくれって感じだな。アイツは目的のために手段を選ばない外道だし、女遊びも相当激しいんだ」
最悪だ……。
そんな男と結婚してしまったら私の人生が終わったようなものじゃないか。
幸せになれってレンから言われたけど、不幸確定だろ……。
「レンの奴、とんでもないタイミングで……、いや、あの外道王子は結婚していようが喰うような奴だし関係ないか。レンはそのことを知ってるのか?」
「さっき言った。でも、俺より格上のお方と結婚できるんだから幸せになれるだろうって言われてしまったの」
「アイツはギャレットと会ったことがねーからそういうこと言えるんだろう。もうレンが何考えてんのかわかんねー。良い加減な男なら騎士としてもクビだが」
「レンと戻りたい……」
必死に涙を出さないように堪えている。
だが、もう限界寸前だ。
「よし、なんとかしてやる」
「え!?」
「俺に任せろ。どっちみちこのままヒマリちゃんを泣かすようなままならば、そんな奴は騎士に必要ない。自分の周りにいた人間を不幸にさせるような者が国を守れるわけがないだろう」
団長がいてくれてよかった。
少しだけ重荷が軽くなったのだから。
「そのかわり、国を敵に回すくらいの覚悟はあるな?」
「団長とここで会わなかったら、すぐにでも国から逃げ出すつもりだったくらいよ」
「承知した!」
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そう信じて、今日のところは大人しく家へ帰ることにした。
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