幼馴染みは鬼畜変態男子

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#06 君の選択肢は、“はい”か“イエス”の二択だ

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 旧校舎で恥ずかしい写真も撮られちゃったし、脅しの材料は増える一方だ。

 このまま卒業まで、橘くんから逃げることはできないのかもしれない。

 支配される悦びに私のカラダは打ち震えるが、時折氷室くんの顔が脳裏をチラつき、名状しがたい胸苦しさに苛まれる。

 旧校舎で、橘くんに本気で殴りかかっていった氷室くん。私なんかのためにあんなに怒ってくれるなんて……。

「何ボーっとしてんの?」

 ポンと肩を叩かれたかと思えば、耳元でゾッとするような橘くんの声が響いた。

 ここは昼休みの生徒会室。

 生徒会副会長を務めている橘くんに、問答無用で連れて来られたのである。

 黙って彼の命令を待っていると、ふいに橘くんは机の引き出しから一冊のノートを取り出した。

「生徒会活動の一環で、夏休みに保育園を訪問することになってるんだ。紙芝居の読み聞かせをやる予定なんだけど、ありふれた童話ばかりじゃつまらないだろ。だからオリジナルの紙芝居を作ろうってことになって……取り合えず台本は出来たんだけど、絵を描ける人がメンバーの中に誰もいなくて困ってたんだ」

 まったく意味がわからず、私はノートと橘くんの顔を交互に見つめるばかり。

「花宮、君なら描けるよね?」

 口調は柔らかいけど、すごく“圧”を感じる。

「どうして私が……?」

「中学の時、美術部だったでしょ」

「そうだけど……あんまり上手くないし───」

「拒否権なんてないよ。わかってるだろ?君の選択肢は、“はい”か“イエス”の二択だ」

「……わかった」

「ありがとう。取り合えず今週末までにラフ画だけ描いてきて。キャラのイメージとか設定は全部このノートに書いてあるから」

「うん、わかった…」

 彼が望むのなら、やるしかない。でも───

「でもその代わり───この間撮ったあの写真を削除して」

 とたんに橘くんの顔付きが冷たくなった。

「ねぇ…何交渉しようとしてんの?自分の立場わかってる?」

 怖い顔で詰め寄られ、言い返せなくなってしまう。

「花宮は僕の奴隷だよ。逆らうのもお願いするのもダメ。ただ僕の命令に従っていればいいんだよ。わかった?」

「…………」

「ほら、返事は?」

「……はい」

 橘くんは目を細めて笑った。生徒会室のドアが開いたのはその時だった。

 入って来たのは、両手にファイルの束を抱えた三年生の女子。ゆるふわウェーブのロングヘアに、黒目がちの大きな目。小柄で童顔なので一見すると中学生に見えるが、体つきはメリハリがあり、歩く度に立派なバストがゆさゆさと上下している。

「あ…ごめんなさい。取り込み中だった…?」

「いえ、全然」

 橘くんは私の手を掴み、彼女に紹介した。

「僕の幼馴染みの花宮桜さんです。例の紙芝居の絵、彼女が描いてくれることになりました」

「そうだったの。よろしくね、花宮さん」

 女生徒はニコっと笑ってペコリとお辞儀した。

 学年は違うけど、彼女のことは知っている。

 生徒会書記の栗原美凪くりはらみなぎ

 父親は警察官だって、噂でちらっと聞いたことがある。

「それじゃ、僕は栗原先輩と生徒会の仕事があるから、花宮はもう戻っていいよ」

「う…うん……」

 私は橘くんと栗原さんを残して生徒会室を出た。

 生徒会の仕事って言ってたけど、本当かな…。今頃二人でイチャついてたりして……。

――――って…何考えてるの、私ったら…。

 さすがの橘くんだって、警察官の父親を持つ栗原先輩には手を出さないだろう。


 残りの昼休みは机に向かって紙芝居の下書き作業に励んだ。

 五時間目の日本史の時間もこっそり描いていたのだが、キャラの衣装デザインが上手くいかず、鉛筆が止まってしまった。

 自分のことなら妥協してしまうが、他人から任された仕事に手を抜くわけにはいかない。

 参考資料が必要だ。

 放課後、掃除当番を終えた私は帰宅せずに図書室へと赴いた。

 普段はほとんど利用しないので、服飾関係の本がどこにあるのかイマイチわからない。

 少々探すのに手間取ってしまったが、どうにかそれっぽい本を何冊か見繕って閲覧テーブルへと向かう。

 人の少なそうなテーブルを見つけて腰を下ろした。

 斜め向かいには勉強している男子生徒が座っている。よほど難しい問題を解いているのか、頭を掻きむしりながら悪態をついていた。

 邪魔をしないように、そっとページを捲る。

「あれ…花宮……?」

 男子生徒に声を掛けられ、ハッとする。

 この声は確かに氷室くんだ。

 私は穴が開くほど彼を見つめた。

 茶髪だった髪はいつの間にか黒くなっており、じゃらじゃら着けていたピアスも見当たらない。いつも着崩していたシャツも、ボタンを首元まできっちりと留めている。まるで以前とは別人みたいだ。

「氷室くん……だよね。あんまり変わっちゃってわからなかったよ」

 彼は気恥ずかしそうに目を逸らし、軽く頭を掻いた。

「別に先公に注意されたからとかじゃねぇからな。俺が自分の意思でやったんだ。本音を言えばこんなダセェ恰好したくねーけどよ……。橘に対抗するには、まずは不良を卒業しないとって思ったんだ。この間あんなこと言われて、すっげームカついたし…」

 旧校舎での出来事がフラッシュバックし、羞恥心が込み上げる。

 そうだ…。私は氷室くんに、すっごい恥ずかしい姿を見られちゃったんだよね…。

 なんだか居たたまれない気持ちになり、私も彼から目を逸らす。微妙な沈黙が流れた。

「あのさ、花宮…」

 ふいに氷室くんがテーブルに身を乗り出してきた。

 驚いて顔を上げると、力強い切れ長の瞳とばっちり視線がかち合った。

「花宮。俺…お前のこと助けたいんだ」

「え…?」

「橘に弱み握られてんだろ」

「う…うん……」

「俺が絶対助けてやる。お前をあいつから解放してやる…。今すぐには無理だけど、どうにかして絶対助けてやるから」

「氷室くん……」

 見つめ合ったその数秒間は、永遠のような長い一瞬だった。

 胸の奥がじんわりと熱くなり、ついポロリと涙が零れてしまう。

 あれ…?変だな……。私、なんで泣いてるんだろう。

 優しくされるよりも、手酷く扱われることに快感を覚える変態のはずなに……。

 今はただ、氷室くんに甘えたい――――そんなことを考えてしまう。

「何かあったらすぐ連絡しろよ」

 氷室くんはぎこちない手付きで私の頭をポンポンと撫でてくれた。

「うん…。ありがとう、氷室くん」



 あれから何事もなく、無事に一週間が終わった。橘くんは生徒会の仕事が忙しいのか、一切接触してこなかった。

 だが日曜の午後、突然橘くんから電話が掛かってきた。

 電話というのは、うちの固定電話のことだ。小学校の頃に配られた連絡網のプリントを見て掛けてきたのだろう。

 彼にはスマホの番号を教えていないから安心しきっていたけど、まさか固定電話に掛けてくるなんて…。

『三時に僕の家に来て』

 それだけ告げて橘くんは電話を切った。

 私に拒否権はない。命じられるがまま彼の家へ向かった。

 小学校の時、他の友達と一緒に遊びに来たことがあるから、場所は知っている。

 自転車で約十分。高級住宅地の一角に建つ橘家は、中々立派な邸宅だ。

 庭には色取り取りの花や植木があり、小規模だが本格的なガーデニングが施されている。

 そういえば橘くんのお父さんて、中小企業の社長さんだって噂で聞いたような…。確かアクセサリーメーカーだったかな。

 チャイムを押すと、橘くん本人が出迎えてくれた。

 Vネックのシャツにジーンズといったラフな出で立ち。制服以外の服を着た彼を見るのは久々だった。

「両親は今遠出してるから、ゆっくりしてってよ」

 お洒落なサーキュラー階段を上って二階へと上がる。

 ご両親が留守ってことは、今橘くんと二人きりってことだよね…。

 どうしよう…。今日はどんなことされちゃうんだろう…。

 読めない橘くんの行動に戸惑いつつも、期待している自分がいる。

 私を助けてくれようとしてる氷室くんには本当に申し訳ないけど、実際私は、橘くんの性奴隷であることに悦びを感じてしまっている。

 もっと支配されたい。彼だけの私でいたい――――そんな浅ましいことを考えてしまう。

 橘くんが、扉の前で立ち止まる。ここが彼の部屋か。

 開かれた扉の向こうには、モノトーンで統一されたシックな部屋が広がっていた。

 壁にも洒落たインテリアがいくつか飾ってあったが、それらをつぶさに観察する余裕はなかった。

「えっ……?」

 私はただただ茫然としていた。

 部屋の中央で、ショーツ一枚の女性が目隠しをされてリクライニングチェアーに拘束されていたからだ。

 両手の拘束は勿論、両脚も限界まで開脚させられ、縄で縛られている。所謂M字開脚縛りだ。

 乳首にはニップルポンプ、さらにボールギャグも噛まされており、口の端からはだらだらと唾液を垂らしている。

 目隠しとボールギャグのせいで顔はよく見えないが、このロリ巨乳の体付きと、ゆるふわウェーブの髪型からして、生徒会書記の栗原美凪先輩である可能性が高い。

 でも…どうして……?

 なんで栗原さんが、橘くんの家に…?

 わけがわからず立ち尽くしていると、橘くんは颯爽と女性の後ろ側に回った。

 目隠しとボールギャグが、いっぺんに取り去られる。

 ゆっくりと顔を上げたその女の子は、間違いなく栗原さんだった。

 目が合った瞬間、その瞳に動揺の色が現れる。

 それは恥じらっているようでもあり、どこか観念しているようでもあった。  

「さて……濡れ具合を見てみようか」

 ショーツに手が掛けれらる。

 栗原さんは煽情的な黒いレースの紐パンを身に着けていた。

 両サイドのリボンが解かれ、ショーツが剥ぎ取られる。

 クロッチ部分はしとどに濡れており、秘部から糸を引くように伸びていた。陰毛はぬらぬらといやらしく輝き、私の中にある栗原さんの清楚で可憐なイメージは一気に崩れ去った。

「ほら、そんなとこに突っ立ってないで花宮もこっちに来なよ」

 橘くんは手招きするが、私は一向にこの状況を受け入れることができない。

「橘くん……これってどういうことなの……?栗原先輩と橘くんて、どういう関係なの?」

 橘くんはふっと黒い笑みを浮かべる。

「何?嫉妬してるの?」

「ち、違う…。そんなんじゃないけど──」

「じゃあ黙って見ていなよ」

 橘くんは私を黙らせると、栗原さんの乳房からニップルポンプを外した。豊満な乳房が誘うように大きく揺れる。

 随分長く着けられていたのか、乳首は食べ頃のベリーのように赤くぷっくりと膨らんでいた。硬く勃起しているのは遠目からでもよくわかる。

 橘くんはそのベリーにしゃぶりつきながら、しなやかな手付きで秘部を弄び始めた。

「んっ……あぁっ……」

 身を捩らせ、可愛い声で善がる栗原さんに、橘くんは意地悪く囁く。

「ああ…また汁が溢れてきた。花宮に見られて興奮してるんですね。こんなに粘って糸を引いてる…。もっと弄ってほしいと言わんばかりにアソコがヒクヒクしてますよ」

「……っぁ……!やめて……言わないでぇ……」

 栗原さんの両腿が小刻みに痙攣を始めた。絶頂の寸前だ。

 しかし橘くんはそこで手淫を中断した。

 寸止めでお預け状態を食らった彼女はもどかしそうに体を捩り、顔を歪ませた。膣口は物欲しそうにヒクつき、だらしなく涎を垂らしている。

 それからも何度か橘くんは陰核を刺激したが、栗原さんが絶頂の兆しを見せるとそこで責めるのをやめ、彼女を焦らして苛めて愉しんでいた。

 栗原さんの呼吸は荒々しく、汗で濡れた髪が頬にピタリと張り付いていた。快感の放出口を閉ざされ、無駄に体力だけを削られ続けるのは、想像以上にきついのだろう。これではまるで拷問だ。

 とうとう栗原さんの口から、信じがたい言葉が発せられた。

「お願い……早くあなたのをちょうだい………」

「まったく……先輩の下半身は本当に節操がないですね。今夜は年上の彼氏とデートの約束してるんじゃなかったんですか?」

 彼女を咎めつつも、橘くんはゆるゆるとズボンを下ろし、挿入の準備を始めた。

 慣れた手付きでコンドームを装着し、栗原さんの両腿を掴んで勢いよく腰を前に突き出す。

 悲鳴にも近い栗原さんの嬌声が響く。さらに激しいピストンが加わり、彼女は狂ったように叫び続けた。

 肉体同士がぶつかり合う音、卑猥な水音。彼は獣のようになりふり構わず律動を刻む。まるで、私に見せつけるかのように――――

 私の右手は、無意識に股ぐらへと伸びていた。じわりじわりと、下着が濡れていくのを感じる。

 込み上げる渇望感。渦巻く欲望。疼く下半身。

 栗原さんが羨ましくて、妬ましくて堪らない……。

 そして、橘くんが憎らしい……。

 私の心情を察したかのように、橘くんが振り返って微笑わらう。

 どこか試すような、意地の悪い笑み。

 私の理性を掻き乱して楽しんでるんだ…。

 もうこれ以上見ていられない。

 私は回れ右して橘くんの部屋を出た。

 けれど階段を下りる途中で、ハッと思い出して足を止めた。

 右肩に提げていたトートバッグから、十数枚の画用紙をまとめて取り出す。 

 頼まれていた紙芝居のイラスト。取り合えずラフ画までって言われてたけど、つい筆が進んで全部完成させてしまったのだ。

 我ながら、上手く描けたと思う。この出来なら、橘くんだって文句を言わないだろう。

 完成した絵を玄関の隅にそっと置き、私は橘くんの家を出た。

 



 帰宅するなり自室のベッドに身を投げ出した。

 着替えるのも煩わしく、ワンピースを着たまま自慰に及んだ。

 橘くんに激しく犯されていた栗原さんの姿を、自分に重ねながら……。



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