俺はヒーローなんかじゃない

ここクマ

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俺は君のヒーローだ。

1 俺の幼馴染と衝撃

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 俺には、幼馴染がいる。

 俺の家とそいつの家が丁度学校区分の境目で、小学校から中学校までは違う学校に通っていた。それでも、毎週のように2人で遊んでいた。

 そいつは、会うと必ず俺に特別をくれる。

「僕ね、真木まきちゃんが好きだよ。大好き。真木まきちゃんは、僕のヒーローだよ。」

 柔らかい優しい笑顔に、俺を真っ直ぐ見る瞳。
 
 小さい時から、その全ては俺だけのものだと……俺だけが、お前の特別なんだと思っていた。
 







「真木ちゃん!おはよう!!」


 家の扉を開けると真新しい制服を着たとらこと、俺の幼馴染のはら 虎之助とらのすけが勢いよく挨拶してくる。

「…あぁ…おはよう。とらは…朝から元気だな…。」


「だっ!…だって…今日から、真木ちゃんと一緒に同じ学校に行けるんだよ?嬉しくなっちゃうんだもん…」

 虎は、唇を尖らせながら拗ねたように地面を蹴った。

(あぁ…虎は今日も可愛いな…。)


「俺も。」

 一緒に行けて嬉しい気持ちを込めつつ虎の頭をポンと撫でて先を歩く。

 今日から俺たちは高校生になる。


「へ?!真木ちゃん?!」

「…虎、行くぞ。」

 俺が振り返ってそう言うと、白い肌を真っ赤にさせた虎が走って俺の隣まで来た。

「…真木ちゃんは、狡いよ…。格好良すぎる…。」

 ボソッと、虎が呟く。

(いや…そんなこと言っちゃう虎は可愛すぎるから。)

「…虎。」

「ん?なに?真木ちゃん。」

「クラス…」

 そう言って、ちらっと隣にいる虎を見ると、俺の言おうとしていることがわかったのかニコっと笑った。

「そうだね!一緒だといいね!」

「…あぁ」


 高校までの道のりは約15分。

 今日は、入学式で集合時間の30分前に着くようにと前日に2人で話し合い時間を合わせた。

(だから、扉の前に虎がいたんだよな…。)


 そして、家を出てから数分で無言の空間が出来上がった。

(だけど…嫌じゃ、ないな…落ち着く…。)

 虎も同じ事を思っているのかニコニコしながら俺の隣を歩いている。


 しばらくして、虎が口を開いた。

「ねぇ、真木ちゃん。」

「ん。」

「真木ちゃんって、彼女いるの?」

「…っ?!…ぃ、ない。」

 虎の口から、と言う言葉が出てたのに驚いた。

そして、俺に彼女がいるのかもしれないと思った虎に少し悲しくなった。

(お前がいるのに…彼女なんて…)

「そっかぁ…僕ね、この間彼女にフラれちゃってね…」

「?!…そっ、うなのか…」

(か、彼女?!振られたって…は?!)

 頭がついていかなくてぐるぐると考える。

(だって、俺は…虎の特別なんじゃ…。

 虎は、俺が好きなんじゃ…。)




 虎の言葉の衝撃が強すぎで、高校に着く前にすでに帰りたくなった。
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