俺はヒーローなんかじゃない

ここクマ

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俺は君のヒーローだ。

2 幼馴染の仮面

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 まだ、頭の整理が追いつかない俺を置いて虎がどんどん話を続ける。

「中学の時に付き合ってたんだけどね…高校の願書出す時になって、『同じ高校行くんだよね!?』って急に言われてね?…僕、真木ちゃんと高校行くってずっと決めてたからさ、『え、一緒がいいならいいけど、君と同じ偏差値に合わせる気ないよ?』って言ったら、『さいっってー』って、言われて平手喰らったんだよね…。」

(いや、まて…頭が追いつかない。が、とりあえず!とりあえず!)

「それは…虎が、悪いだろ。」

 俺がそう言うと、虎が驚いて俺を見た。

「えぇ!!なんで!?」

(えぇ…なんでって…えぇ…虎さ~ん?)

「…付き合ってるなら、志望校くらい教えた方が良かっただろ。それと、言い方が…良くない。…俺が、……か、…彼女の、立場でも…多分、虎に平手する。」

 虎は、俺の話を聞いて納得したように頷いてから、でも…と、口を開いた。

「僕…高校は、ずっと真木ちゃんと一緒って決めてたし…真木ちゃん、頭凄くいいから…真木ちゃんの志望校に合わせられるようにって、いっぱい勉強したんだよ…。それなのに、『私と一緒の所に行くのが普通でしょ?』みたいに言われたから…イラッとしちゃって…。」

(…虎、俺の為に…勉強、頑張ったのか…。)

 その事が嬉しくて少し顔が緩む。

「確かに、僕だって志望校言わなかったけど…彼女だって、聞かなかったし…願書出す時に言うって、おかしいじゃない?…だから、高校別でもいいんだなぁって、思ってたんだよ…。これって、やっぱり僕が悪いの?!」

 少し涙目になった虎が俺を見上げて聞く。

「っ、…ぁー、………2人とも、言葉が…足りなかった、と思う…。」

「じゃあ、両成敗?」

「あぁ。」

 そう答えてから、ふと思った事を虎に聞く。

「…虎は…その子が好きだったのか?」

「え?………どう、して?」

「…好きなら、何よりも先に優先すると、思うから…。」

(俺は…何よりも先に…虎を優先する…。)

 そう思って、なぜか苦しくなって唇を噛んだ。

「…僕が、1番優先するのは真木ちゃんだよ。…真木ちゃん、だけだよ…。」


 虎は小さくなにかを言って俺のワイシャツの裾を掴んで立ち止まった。

「…虎…?」

 俺が振り返ると、虎は俯いていて表情が上手く見れなかった。

「………分かんないや」

 顔をあげてヘラっと笑って虎は言った。

「え?」

「告白されたから、何となく付き合ってみたんだけど…好きって、難しいねぇ~」

(……虎…?…なんで…泣きそうに、そんな事…言うんだ…?)

 虎は、笑顔の仮面をつけながらそう言うけれど俺には、今にも泣き出しそうな顔にしか見えなかった。
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