俺はヒーローなんかじゃない

ここクマ

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俺は君のヒーローだ。

3 やめろ、離れろ

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 入学式前から色々な衝撃を与えられすぎた俺の頭には、虎の泣きそうな笑顔だけが残った。

(なんで……あんな顔……。)

 そんな事を考えていると、学校の校門が見え…。

 見たくない奴が走ってきた。

ゆうーーーーーぉぉぉー!!」

「っ。」

  俺の名前を叫びながら全速力の笑顔で両手をこちらに向けて来るのは小中とクラスがずっと同じで、やたら俺に構う松山まつやま 幸太こうただ。

「優翔っ!入学式始まる前に出会えるなんて、やっぱり俺達は運命かなのかな?!」

「っ……離れろ。」

 幸太は、俺に抱きついたまま頬ずりをして俺の言葉を聞かずに話を続ける。

「いやぁ、やっぱり…優翔は、良い匂いがするなぁ…大好きだなぁ。」

「……はい、終わり!」

 突然虎がふにゃけたままの幸太を引っぺがした。

「っ、ちょ、何するんですか!って、つか、誰!」

「誰って、そっちこそだけど?」

 虎の表情が、急に冷たくなった。

「俺は!優翔の小学校からの同級生で、大親友の松山まつやま幸太こうた!因みに!俺は優翔の将来の嫁だから!よろしく!」

「っ、おい幸太。」

「…真木ちゃん。嫁って?」

「幸太の妄想だ。」

「ちょ、優翔ぉ!約束したじゃん!俺は今でも覚えてるからな!小学1年生のあの遠足!」

「…虎、行くぞ…幸太はこの話をすると長いんだ。」

「え、…ぁ、わかった。」
 俺は、虎に耳打ちして2人で入学式の受付へと向かった。

 クラスの名簿が配られ、俺は胸を撫で下ろした。

「真木ちゃん、一緒のクラスだね!」

 虎が満面の笑みで俺を見る。

(っ、可愛、可愛い!!)

 心の中で尊いポーズをしながら虎に返事をして、校舎へ向かう。

 入学式が始まる前に、教室で説明があるらしいのだ。

 俺と虎は地図を見ながら3階にある1年5組へ向かった。

 教室を開けると、俺と真木が1番だったらしく誰もいなかった。黒板を見ると座席表が貼ってあった。席は名前順だ。

 俺は、窓側の前から2番目に向かい、虎は俺の前の席に向かった。

「席、近いね!」

「あぁ。」

 俺が喜びを噛み締めていると、ドアが勢いよく開いた。

「酷いよ、優翔!なんで、置いて行くの!」

 幸太は、チラッと黒板を見てから俺の後ろの席に向かい荷物を置いた。

「まぁ、席が近いから許すけどさ!置いていかれるの寂しいんだからな!それで、そっちの人の名前聞くの忘れたし!」

 そう言って、幸太は虎を見た。

「あ、そっか。僕ははら虎之助とらのすけ。真木ちゃんのだよ。」

 虎は、幼馴染を強調してニコッとわらった。

(はぁ、虎可愛い。)

 そうして、俺達は3人で担任が来るまで話していた。
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