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俺は君のヒーローだ。
16 夢と悪魔[s]
しおりを挟む「真木ちゃん、僕ね真木ちゃんが好きなんだ。」
顔を赤らめて、虎が俺を見た。
(でもきっと、俺と虎の好きは違うだろう?)
ドサッ
いつの間にか虎が俺をベットに押し倒した。
「真木ちゃん、僕ね本当に好きなんだよ。」
虎が目を瞑り顔を近づける。
「と、ら……?」
唇が重なって、俺は目を見開いた。
心臓の音が耳に響く。
「真木ちゃん、好き、好き、」
虎は音を立てて唇にキスを繰り返す。
頭の中が真っ白で、息が苦しくなって俺は口を開けた。
「優翔」
「と、ら…?っん、んん、ん!?んー!!」
口の中に入ってきたそれを受け入れようとして、虎じゃないことに気がついた。
(嫌だ、違う、虎じゃない!)
「あれ?また泣いちゃった?」
「智也さ、ん……」
「優翔、好きな子いるのに僕のキスで気持ちよくなっちゃったの?悪い子だね。」
「ちが、やだ…」
「やだじゃないでしょ?だって優翔、良い顔してる。」
涙が止まらないのに体がポカポカして、気持ちが悪い。だけど、なんで……強く拒む事ができない。
「とら……ごめ、ん」
「……ちゃん」
「……まきちゃん」
「真木ちゃん!」
「っ!と、ら?」
虎の声で、飛び上がるとベットの上にいた。
「……夢か。」
そう思ってから、思い出す。
(いや、キスはしたんだ。)
無意識に唇に手が伸びた。
「真木ちゃん、泣いてたよ……怖い夢、見たの?」
制服を着た虎が俺に目線を合わせる。
「…………いや、平気だ。」
(言えるわけ、無いよな。)
虎の頭を撫でて、朝の支度をする。
登校の時間は虎と2人だけ。いつもなら、幸せだと感じただろう。
だが、変な夢を見たせいか、それとも昨日のキスのせいか……。なんとも言えない罪悪感がまとわりついて虎の隣にいる自分が恥ずかしかった。
「……あのさ真木ちゃん、朝からずっと唇触ってるけどどうしたの?」
不安そうに虎が俺を見た。
俺は言われてはじめて自分の手が唇にあったのを確認した。
「…………。」
本当の事を言って楽になりたい自分と、言ったら何かが壊れてしまうと思う自分。
(……もし、言うとしてもなんて言うんだ?)
昨日キスしたんだ。とでも言う?
誰とって聞かれたら?
バイトの先輩って言うのか?
そしたら、バイトしている事を言わないといけないじゃないか。隠してるわけじゃない。
でも、少し虎の事を考えない時間が欲しいだけだ。
虎の事を考えると時々苦しいから。
それに、男とキスして真剣に考えてる俺を知ったら虎はどう思うんだ?
(……気持ち、悪い?)
考えれば考えるほど悪い結果しか出なかった。
「……真木ちゃん?」
「……悪い、ぼーっとしてただけだ。」
虎の頭を撫でて笑顔を作る。
「そっ……か。」
学校に着いて授業を受けて、休み時間に虎や幸太、獅子角と話して時間が過ぎた。
「真木、明日暇か?」
獅子角が、突然俺の前に現れた。
「っ、明日?」
「エンジェルシリーズの新作が明日、ゲームセンターにやってくる。」
「っ!新作が……!?」
「そうだ、今回はなんと、小悪魔モモンガと小悪魔ベアーのぬいぐるみだ。」
「みに、でび?」
「あぁ、ミニデビ、小悪魔の事だ。しかも、サイズは手の平サイズだ。」
「手の平。」
「そうだ。手の平。どうだ、明日、ゲームセンターに行くか?」
「……勿論だ。」
だが、俺はこの選択を後悔する。
「ちなみに、明日は水曜日だ。クレープが安いぞ。」
「……そう言うのが、あるのか?」
「そうだ、クレープは美味いぞ。」
「っ、そうか。」
(クレープ……食べたいな。……ん?水曜日って、カフェが休みだな。)
『優翔』
頭の中に声が響いた。
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