俺はヒーローなんかじゃない

ここクマ

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僕たちの唄

番外1

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『僕の小さな世界』
田中太狼


僕の小さな世界には死にたがりの海と死んでしまう太陽がいる。

死にたがりの海と、死んでしまう太陽。
僕の世界はその2つだけ。

それでも、僕は幸せだった。
それでも僕は、幸せだった。

死にたがりの海に足を入れて死んでしまうと知らない太陽を見る。

僕はそれが幸せだった。
僕はそれで幸せだった。

死にたがりの海は、僕の足を撫でる。
死んでしまう太陽は、僕の世界を照らす。

永遠に続けばいい平穏。

太陽は、僕と海だけを残して去って行った。
温かい光と照らされた世界。
僕はそれを知ってしまったから。

僕は凍える暗闇で海を歩く。

ぴちゃぴちゃ ザザッー ぴちゃぴちゃ ザザッー

もう、海の色さえわからない。

寒い、寒い

けれど、僕はそれでも不幸じゃなかった。
死にたがりの海は、ここから消えないと信じていたから。

ザーッ

雨の様な音だけを残して
死にたがりの海は僕を置いて行った。

とうとう僕は独りになった。

この小さな世界に、僕はただ、独りになった。
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