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第二章
13、和歌と透夜
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「東。陽葵の好きな相手が、どんな奴か知ってるか?白兎の生徒らしいんだよね」
遊園地で遊び尽くし、解散した所で、山郷が東へと聞く。
「え、まじ、初耳なんだけど」
「目ぼしい相手とか居ねぇの?」
「もし陽葵にそんな相手が居たら、すぐさま噂流れると思うんだよな、陽葵愛されキャラだし。今んとこ、陽葵の色恋系の噂は皆無だな。もしかして相手、俺だったり」
「殴るぞ」
「少しくらい夢見させてくれたっていいじゃんか、俺だって陽葵の事好きだったんだぞ」
「告ればいいだろ、返り討ちくらうだろうけど」
「いや、真面目な話、それ白兎ではかなり危険な行為。陽葵は皆の物って言う、無言の掟がだな」
「なんだそれ」
「知らないだろうけどな、俺、白兎で陽葵に話掛けんのすっげぇ勇気いんのよ。回りの視線がめっちゃ冷ややかで怖いんだぞ。優越感は感じんだけど、恐怖の方が断然強い。陽葵と付き合ってみたいけど、あの突き刺さる視線に耐えぬく自信、俺にはない」
「陽葵と付き合えんなら、俺ならそんな視線気にしないね」
「いや、お前でも絶対にあれは慄くから。それにだな、陽葵に釣り合わないと判断されたなら、徹底的に勉学や武術、教養などを再教育され叩き込まれるのは必須だぞ」
「それは、ちょっと勘弁だな。付き合う云々は取り敢えず置いといてさ、あの陽葵を落とした男がどんな奴かは、マジで気になる」
「それは同感だな」
*****
「こんばんわ、お疲れ様です。今日はありがとうございました」
閉店間際の喫茶「茶々介」に顔を出す和歌。
春の姿はなく、お店の中には透夜一人だけが居る。
「おかえり和歌、楽しめた?」
「はい、今日は有難うございました。これ、遊園地のお土産です」
「有難う」
和歌は、遊園地マスコットキャラクターのチョコクッキーを透夜に渡す。
「あの、春さんは?」
「砂糖が切れたって、ついでに他に色々買って来るって言って出かけて行った。もうすぐ帰ってくるとは思うけど」
「そうでしたか。春さんにもお土産直接渡したいし、少し待たせて貰おうかな」
「ココア飲む?入れようか?」
「・・・お代は払いますからね」
「和歌が持ってきてくれたクッキー、一緒に食べよ」
クローズ作業に入る透夜を、和歌も手伝う。
只今、奥の控え室。
ココアとクッキー、最高の組み合わせに舌鼓中の和歌と透夜。
なのだが、先ほどからずっと、透夜の手が和歌の頭を撫でっぱなしになっている。
「もぉ、何なんですか!?この手は?」
「美味しそうに食べる和歌、かわいいなぁって思って」
「言っときますけど、減点マイナス5はとっくに貯まってますからね!」
「そうだね、和歌のお願い、聞いてあげなきゃだね、何がいい?」
今日はいつにも増して、和歌への甘やかし度が凄い。
声には艶やかなとろみ感が混じり、困る程の色っぽさを醸し出している。
そこで和歌は気付くーーーーあれ?もしかしてこれ、逆にご機嫌斜めの嫌がらせ、なのではと。
「龍崎君、もしかして何か怒ってる?」
「察しがいいね、流石は和歌だね」
「私、何かしました?」
「してないよ、俺が勝手に拗ねていじけてるだけ。俺も、和歌と遊園地デートしたかったなって」
「デートじゃないですよ、皆で遊んで来ただけです。でも、そうですね、では、お願い事はそれにします」
「え?」
「今度、一緒に行きましょ、遊園地」
「・・・確認だけど、それって、俺と二人でって事で良いんだよね?」
「あっ」
すっごく良い笑顔で脅され、和歌は追加事項を言わせて貰えそうにない。
和歌は縮こまりながら「はい」とだけ答えた。
.
遊園地で遊び尽くし、解散した所で、山郷が東へと聞く。
「え、まじ、初耳なんだけど」
「目ぼしい相手とか居ねぇの?」
「もし陽葵にそんな相手が居たら、すぐさま噂流れると思うんだよな、陽葵愛されキャラだし。今んとこ、陽葵の色恋系の噂は皆無だな。もしかして相手、俺だったり」
「殴るぞ」
「少しくらい夢見させてくれたっていいじゃんか、俺だって陽葵の事好きだったんだぞ」
「告ればいいだろ、返り討ちくらうだろうけど」
「いや、真面目な話、それ白兎ではかなり危険な行為。陽葵は皆の物って言う、無言の掟がだな」
「なんだそれ」
「知らないだろうけどな、俺、白兎で陽葵に話掛けんのすっげぇ勇気いんのよ。回りの視線がめっちゃ冷ややかで怖いんだぞ。優越感は感じんだけど、恐怖の方が断然強い。陽葵と付き合ってみたいけど、あの突き刺さる視線に耐えぬく自信、俺にはない」
「陽葵と付き合えんなら、俺ならそんな視線気にしないね」
「いや、お前でも絶対にあれは慄くから。それにだな、陽葵に釣り合わないと判断されたなら、徹底的に勉学や武術、教養などを再教育され叩き込まれるのは必須だぞ」
「それは、ちょっと勘弁だな。付き合う云々は取り敢えず置いといてさ、あの陽葵を落とした男がどんな奴かは、マジで気になる」
「それは同感だな」
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「こんばんわ、お疲れ様です。今日はありがとうございました」
閉店間際の喫茶「茶々介」に顔を出す和歌。
春の姿はなく、お店の中には透夜一人だけが居る。
「おかえり和歌、楽しめた?」
「はい、今日は有難うございました。これ、遊園地のお土産です」
「有難う」
和歌は、遊園地マスコットキャラクターのチョコクッキーを透夜に渡す。
「あの、春さんは?」
「砂糖が切れたって、ついでに他に色々買って来るって言って出かけて行った。もうすぐ帰ってくるとは思うけど」
「そうでしたか。春さんにもお土産直接渡したいし、少し待たせて貰おうかな」
「ココア飲む?入れようか?」
「・・・お代は払いますからね」
「和歌が持ってきてくれたクッキー、一緒に食べよ」
クローズ作業に入る透夜を、和歌も手伝う。
只今、奥の控え室。
ココアとクッキー、最高の組み合わせに舌鼓中の和歌と透夜。
なのだが、先ほどからずっと、透夜の手が和歌の頭を撫でっぱなしになっている。
「もぉ、何なんですか!?この手は?」
「美味しそうに食べる和歌、かわいいなぁって思って」
「言っときますけど、減点マイナス5はとっくに貯まってますからね!」
「そうだね、和歌のお願い、聞いてあげなきゃだね、何がいい?」
今日はいつにも増して、和歌への甘やかし度が凄い。
声には艶やかなとろみ感が混じり、困る程の色っぽさを醸し出している。
そこで和歌は気付くーーーーあれ?もしかしてこれ、逆にご機嫌斜めの嫌がらせ、なのではと。
「龍崎君、もしかして何か怒ってる?」
「察しがいいね、流石は和歌だね」
「私、何かしました?」
「してないよ、俺が勝手に拗ねていじけてるだけ。俺も、和歌と遊園地デートしたかったなって」
「デートじゃないですよ、皆で遊んで来ただけです。でも、そうですね、では、お願い事はそれにします」
「え?」
「今度、一緒に行きましょ、遊園地」
「・・・確認だけど、それって、俺と二人でって事で良いんだよね?」
「あっ」
すっごく良い笑顔で脅され、和歌は追加事項を言わせて貰えそうにない。
和歌は縮こまりながら「はい」とだけ答えた。
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