【BL】シロとクロ ※R-15

コウサカチヅル

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本編+挿話

挿話『クロのしっぽ』

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 私のは『シロ』。僭越せんえつながら、鬼の国の王子おうじつとめさせていただいている。
 ある日保護ひほごした、ちいさなおおかみのもののけ・クロ。
 あいくるしいかれといる日常にちじょうは、あまりにしあわせで。
 そのふか闇色やみいろひとみ自身じしんうつると、たまらなくぞくぞくするようになった。

 ああ、もっとおくまでれたい。くちづけをとし、躰中からだじゅうみだらに私のねつわせたら、この嬌声きょうせいをあげてくれるだろうか?

 無垢むくなクロにそのような無体むたいはたらけるわけもなく、私は毎日まいにちのように、が国の官僚かんりょうであり、幼馴染おさななじみでもあるクレナイに、クロへのあいかたり、さけぶ。それでなんとかいろいろおさめている。本当ほんとうにいろいろ、なんとかおさめている。

 可愛かわい可愛かわいいクロと夕刻ゆうこくまでえないくやしみにひたりながら廊下ろうかあゆんでいると、いつもの執務室しつむしつえてきた。


✿✿✿✿✿


「クレナイ、いてくれ!!」
「……今度こんどはどんないぬっころエピソードなんだ」

 私のたかぶった様子ようすから、クロの話題わだいであることを瞬時しゅんじさっしたらしいクレナイ。
 げんなりしつつも、いつも最後さいごまでいてくれるのだから、本当ほんとうにいいともったとおもう。

今回こんかいのは、史上最強しじょうさいきょうすさまじいかもしれない……!!」

 私は、こと顛末てんまつかたりはじめた。


✿✿✿✿✿


 夕餉ゆうげませ、ふたりきりでおだやかにごす至福しふくのとき。
 私はくまでさりげなくをよそおいながら、クロへりだした。

「クロ、このところ、いままで以上いじょう毛並けなみがつややかじゃないですか?」

 いつも(バレない範囲はんいで)めまわすようにている私に、わからないはずがない。クロのみみやしっぽは、もともとからす羽色ばいろごとうつくしかったが、近頃ちかごろはより、さらさらふわふわつやつやしていたのだ。

「えへへ、クレナイ様が最近さいきん、ぼくにせっけんの開発かいはつにはまってるんだって!」
「へぇー、クレナイはそういう調合ちょうごう、すきですものね~……」
 いい仕事しごとにもほどがありすぎないか、クレナイ!! あとで好物こうぶつのよもぎもち奉納ほうのうしておこう……。


✿✿✿✿✿


「えっ、よもぎもちどこ?」

 普段ふだんめったにはなしさえぎらないクレナイが、辛抱しんぼうたまらずといった様子ようすりだしてくる。
 私しからないことだが、かれだいのよもぎもちずきで、そのおもめのあいはもはや、ストーカーとってもしつかえのない代物しろものだった。

いま最高級さいこうきゅうのをおちゅうだ」
 感謝かんしゃきわみ!! とあらためてれいべ、(かれとしては最大級さいだいきゅうに)かがやかせるクレナイをなんとかしとどめながら、私は口上こうじょう再開さいかいさせる。

本題ほんだいはこのさきなんだ!! 私は、どうしてもそのふさふさなしっぽをでてみたい衝動しょうどうられてしまった……」


✿✿✿✿✿


 私は若干じゃっかんよこしま気持きもちをクロにさとられないよう、極力きょくりょくにこやかに、かつ、すこしだけ遠慮えんりょがちにおねがいしてみる。

「……あのクロ。迷惑めいわくじゃなければ、しっぽにれてみてもいいでしょうか?」
「ほんと? さわってさわって!!」

 えっ、可愛かわいい。最&高さいアンドこう……。

「で、では、ゆきますね」
 しっぽの表面ひょうめんをゆっくりでる。うれしそうにしっぽをるクロの様子ようすを見ながら、すこしずつつよめに。

「シロ様になでてもらうの、とっても気持きもちいい!」

 クロは本当ほんとう心地ここちよいのだろう、どんどんしっぽのりがつよくなる。
 私はふと、その根元ねもとがいってしまった。

(……しっぽのつけは、どういう手触てざわりなのだろう?)

 私が何気なにげなく、その場所ばしょれると。

「ひゃぅんっ!!」

 クロは、びくん、とねてあとずさり、そのちいさなからだにしっぽをきつけてきゅうっ、とそれをかかえた。かおっ赤で、かすかにふるえてしまっている。

「クっ、クロ!? 大丈夫だいじょうぶですか、いたかったですか!!?」
「っ、ち、ちがうの、シロ様……」

 その獣耳けものみみせ、ねつっぽくうるんだひとみらしながら、かれけた。
「あの、しっぽのつけは……えと、『性感帯せいかんたい』、なの……」

「――……」


✿✿✿✿✿


「……ということがあって」
「……」
「とりあえず……0.01秒後びょうごには土下座どげざをしていた……」
 のち300ねんかたぎたい伝説でんせつはなしおえた私は、感極かんきわまって口許くちもとおさえる。ともは変わらず、しずかに聞きつづけていた。
 いやもう大変たいへんにまずい、あのときの純情じゅんじょう劣情れつじょうよみがえって……いろいろなカタチで再爆裂さいばくれつしそうなのだが。
「『ひゃぅんっ!!♡』って、『ひゃぅんっ!!♡』って……! それだけでご飯三杯はんさんばいはイけてしまうだろうとうといッ!!」
「いや本人お前自由じゆうではあるが……一国いっこく王子おうじが0.01びょう土下座どげざかますのはどうなの?」

 いつもどおり、天使クロ出逢であえたよろこびにむせぶ私と、これ以上いじょうないくらいきにくクレナイ。


 今日きょうかぎりなく平和へいわで。非常ひじょうに、しあわせである。



【終】
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