寵愛を受けた"元"公爵令嬢は、帝国で本当の幸せを掴む

１章

全てを失った日（後）

 

 この話も前半が残酷な内容です......。


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 何をするのかと思えば、なんと、私の右目に刺さった5本の棒を瞳をえぐるようにしながら抜きはじめたのです。
 
しかも、〝狂気じみた笑み〟を浮かべながら......

 「ぃいっっぁぁぁ...!!」とこの場にいる人達以外には届かないでしょうが、悲鳴を上げ続けました。
 右目から血が溢れ出してきて、痛みはさらに、酷くなっていきましたが、それを見てまた、この部屋にいた人達は不気味に笑っていたのです。

私がいったい何をしたというのでしょうか？

父との約束を守り、４年間も近づかず、話しかけないようにしていたのに......

 〝どうして？どうして？〟

幼い私には、理由はわかりませんでした。

 父は5本の棒を抜き終わると、満足そうに顔に笑みを浮かべながら、この部屋から立ち去っていくました。

 もちろん、父の家族も一緒に。

 



 その後、私はいつの間にか意識を失っていたようです。
今、私がいる部屋を見回すと、公爵家の先程までいた部屋......とは、違うことに気がつきました。
右目には、柔らかい眼帯がつけられ、包帯が丁寧に巻かれています。
心優しい誰かが、やってくれたみたいです。

 右目を失ってしまったけれど、左目が残っているだけ、奇跡だったのでしょう。

こうして私は、12歳になった日に、自分の帰るべき家、本当の家族？、お母様が〝綺麗だよ〟と言ってくれた大切な瞳、１日に全て失いました。

 唯一残ったのは、あの男の子から貰った〝彼の瞳色のピアス〟
私の『大切な宝物』だけ......。