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1章
宰相視点(後)
しおりを挟む騎士は、少女について話し出しました。
「アレクサンダー様、フェリーク様、ソフィア様を助けていただき本当にありがとうございました。お二方のお陰で、ソフィア様の命が救われました。」
「ソフィア様......いや、ソフィア・アメリア・リリアン様は、リリアン公爵家の先妻メアリー様の娘で、本当の公爵家の嫡子です。そして、公にはなっていませんがソフィア様は、デーヴィド帝国皇太子エドワード・デーヴィド様の正式な婚約者で、次期皇妃様であらせられます。」
私とリークは、驚きのあまり思わず息をのんだ。
だが、彼の話に、まだ驚く真実が残っているとは、まだ思ってもみなかった。
「自己紹介が遅れました。私は、皇帝様によって任命された、第三位大公が息子、シュバルツ・レイニーと申します。もう、お二方はお分かりでしょうが、ソフィア様は、生まれてすぐ〝神・精霊・妖精の寵愛〟を受けております。
以前、ソフィア様は今は亡きお母様である、メアリー様の手により、国外留学と偽り帝国へと行くように手続きが皇帝様との間でなされてありました。ただ、留学だと偽るのは最大で3年間が限界だったのです。
そのため、 留学がおわりライラット王国に帰るとき、それをとても心配なさった皇帝様は初め、帝国の一を誇る金龍騎士団の騎士団長様達に護らせようとおっしゃったのですが......さすがにそれでは、余計に危険だとなり、ならばと、私が騎士団長を務める暗殺も得意とする黒龍騎士団に護らせようとなったのです。」
私は、冷や汗をかきました......。
やはり、帝国は敵に回してはいけないと、強く思いました。
「ですが、どうしてソフィア嬢はこんなにも、大怪我を負ってしまったのですか?騎士団の人達がついていたのではないのですか?」
私は、思わず尋ねました。
「私達騎士団は、公爵家にバレないためにこっそりと護衛と監視をおこなっていたのですが、案外勘のいい奴がいたんです。
バレそうなときは、少しだけ退けと皇帝様から、言いつけられていたので遠くから、安否確認を取っていたのですが......突然公爵家の者達が、屋敷から不気味な笑みを浮かべながら馬車で出ていったので、まさかと思い私達騎士団は、公爵邸に素早く忍び込みソフィア様を探したのです。そしたら、公爵邸の地下の薄暗い部屋で大怪我を負わされていたのです!!私達は、大切なお嬢様を護ることができなかったのです......。」
彼は、とても悲しそうな表情を見せ、今にも自害をしそうな勢いでした。
それを、私とリークで必死に宥めました。
そして、何となくわかってはいるのですが、一応聞きました。
「その傷を負わせたのは?」と。
「ソフィア様の父である公爵と後妻一家が、ソフィア様に大怪我を負わせて、右目を失明させたのです。
現場は、証拠を消されないようにそのまま保存してあります。ちなみに、右目を失明させた凶器はこちらです。」
彼は、そう言ってこちらに、5本の鋭い棒を差し出してきました。
これが、目に......
考えただけで、“ゾッ...”とします。
よくみると、ソフィア嬢の血でしょうか?うっすらとついていますね。
まだ、小さい子どもにあいつらは、なんてことを.........
同じことリークも考えたのでしょう。
自分の手を握り潰しそうな、勢いで怒っていました。
「シュバルツさん。なら、帝国の方々が来るまで、ここに住みませんか?無理に移動をさせるとソフィア嬢も辛いでしょうから。」
すると彼は、涙を浮かべながら
「はい。しばらくの間、どうかよろしくお願いいたします。」
と、言ったのでした。
私は、「もちろん。」と答えました。
こうして、私は、黒龍騎士団の騎士団長シュバルツ・レイニーと騎士団員、次期皇妃であるソフィア・アメリア・リリアン嬢をデーヴィド帝国の方々が来るまで住まわせてあげることになったのです。
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