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1章
怒り
しおりを挟むそこへ、皇帝も皇妃も金龍騎士団の騎士達もやってきました。
ライラット王国の騎士達の制止も聞かずに......
必死にライラット王国の騎士達は止めようとしていましたが、帝国の皇族に失礼なことが出来ない彼らは、強くは言えませんでした。
エドワードは、
「もっと早く迎えに来ればよかった......ごめんね、ソフィ......」と、涙を流し、ソフィアを抱きしめながら謝っていました。
そして、デーヴィド帝国の者達も目にしてしまったのです。
皇太子のエドワードが抱きしめている〝神・精霊・妖精の愛し子〟でもあり、彼らの愛した大切な姫の変わり果てた姿を......
その瞬間、皇帝も皇妃も騎士達も歩みをとめました。
皇帝も皇妃も辛くても泣くことのなかった自分の息子が、涙を流し抱きしめながら謝っている姿をみて、驚きを隠せませんでした。
ですが、それよりもソフィアが大怪我を負っていることに驚いていました。
すると、皇帝と皇妃の姿に気づいたソフィアは、
「か、いる、さま?、す、かぁ、れっと、さま?、うぇ、る、たぁ、さま?」
と、声を出すのは辛いはずなのに大切な人達の名を呼びました。
帝国の者達は、怒りで満ち溢れました。
なぜならソフィアが、無理やり笑っているように見えたからです。
すると、空気の読めないライラット王国の貴族の女性達は、
「エドワード様~♡そこの〝ゴミ〟と話さないで、私達とお話しましょ♡」
と、エドワードに向かって言いました。
それを聞いた皇帝は、帝国から連れてきた騎士に命じ、
「そこにいる者達を、反逆罪で引っ捕らえろ!!すぐにだ!!」
と、叫びました。
すぐに令嬢達は引っ捕らえられ、牢屋へと連れていかれました。
エドワードは、ソフィアをもう離すものかと、ずっと抱きしめていました。
そして皇帝は、ライラット王国の国民達と騎士達に告げました。
「この国と和平を結ぶことは、やはりやめにする。
ソフィアをこんなにも傷つけた国と、和平を結ぶほど、我らは優しくはない!
よくも、我らの〝大切な姫〟......ソフィアをこんなにも傷つけやがって!許されると思うなよ?
我が帝国は、この国を許すことは絶対にない!!」
皇帝はエドワードに近づくと言いました。
「エドワード、ソフィアを連れて帰るぞ。さぁ、早く帝国に帰ろう。
黒龍騎士団も疲れただろう?決してソフィアが傷ついたのは、お前達のせいではない。
俺は、お前達に罰を与えるつもりはないし、これからまた、ソフィアを護ってもらうつもりだ。よろしく頼むぞ。」
「「「はい!!もちろん、ソフィア様を護らせていただきます!」」」
と、騎士達は涙を浮かべながら笑顔で答えました。
「そして、貴殿はこの国の宰相殿と医師殿であろう?ソフィアを助けてくれたことに感謝する。この国は、しばらくすれば滅びるだろう。だから、もしよかったら帝国に来ないか?もちろん、メイドや執事、その家族らも来るといい。ただし、ソフィアを害さない者だけだがな。」
するとメイドと執事から〝ワッ〟と歓声が上がりました。
「ありがとうございます。是非そうさせてください。私達は、ソフィア嬢を害したりはしないと約束します。宰相の私が、できることは帝国で手伝わせてください。」
「医師の私も手伝わさせてください。」
と、宰相のウィリアムと医師のフェリークは言いました。
「うむ。では、帝国へと帰るぞ!!」
「「おー!!」」
帝国の者達はリリアン公爵家元令嬢ソフィア・アメリア・リリアンと、ライラット王国宰相であったウィリアム・ノア・アレクサンダー、王国一と呼ばれいたフェリーク・レイランドを連れて、帝国へと帰って行きました。
ライラット王国の騎士達は、止めることが出来ず唖然とするしかありませんでした。
こうしてライラット王国は、破滅へと着実に歩みを進めていた。
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