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1章
父として
しおりを挟む「さて、みんなには本当のことを話さなきゃね。ソフィアと私のことを.........」
アトゥールが、そう言うとその場の空気が変わった。
「でも、その前にやらなきゃならないことがあるから1度神界に帰るね。」
アトゥールは、黒い笑みを浮かべていた。
だが、1度黒い笑みをしまい、国民達の方へ向き姿勢を正した。
まるで、アトゥールの周辺だけ、空気が変わったように......
「帝国の国民達。
今ソフィアは、私が表面上の傷は癒した。
だが、心の傷は簡単には癒すことは出来ないだろう。
だから、君たちには、ソフィアに以前のように接してあげて欲しい。
そして、笑顔になれるように優しく見守ってくれ。
私が、父としてできることは、これくらいだから.........よろしく頼む。」
アトゥールは主神として、ではなくソフィアの父親として、帝国の国民達に頭を下げた。
普通の神ならば、自分より立場の低い者に頭を下げたりなんかしないだろう。
だが、アトゥールは違った。
大切な娘のために、自分よりも立場が低い者でもソフィアが、幸せになれると思ったからこそ父として行動した。
その行動に、国民達は胸をうたれた。
国民の中には、アトゥールの娘を思う気持ちをを自分達と重ねてみたり、涙を流す者も多くいた。
皇帝と皇妃は、最愛の息子がいるからこそ、アトゥールの気持ちがよくわかった。
「主神様、どうかお顔をあげてください。
貴方が、私達にこれ以上頭を下げる必要はないんですよ。
私達は、これからもソフィア嬢を守っていくつもりですし、国民達もそうです。
この国の国民達、全員がソフィア嬢を愛しているのですから。
どうか、私達を信じてください。」
皇帝は、アトゥールに言った。
するとアトゥールは、涙を流していた。
国民達のソフィアに対する優しく、愛おしいという気持ちを感じとったからだった。
「そうか......ソフィアは、こんなにも愛してくれる人がいたのだな....良かった.....」
そう言ってアトゥールは、涙を拭うと笑顔を見せた。
「デーヴィド帝国に祝福あれ。」
アトゥールは、そう呟いた。
すると、デーヴィド帝国中に美しく光が舞い降りた。
「主神様、ありがとうございます!!」
「主神様!!ありがとう。」
国民達は感謝の言葉をのべていた。
すると、帝国に住んでいた者達の重い怪我や古い傷を美しい光は、たちまち癒し、多くの人が以前のような暮らしをできるようになった。
主神のこの行動は、デーヴィド帝国の国民達の間で代々語り継がれることとなった。
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