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お姉様、宝石の行方を案じる。
しおりを挟む「まぁ、ジェイダ夫人だわ」
「ご療養されてたはずでは?」
「相変わらずお美しいわ。」
かつて、国一番の美女と持て囃され、黒き宝石の異名を持つレッドモンド前大公夫人。
ギルバートのお母様で、心臓の病の為に余命幾ばくもないはずのこの方が何故この場に?
前の人生ではもう夫人は表舞台から姿を消されていたはずですのに。
「私の愛息子が初めてレディーと一緒にパーティーに出席すると聞いて晴れ姿を見に来ましたの。
貴女がうちの息子がお相手かしら?」
「リビア・フェルディナントと申します。ジェイダ夫人にご挨拶申し上げます。」
前の人生で私の味方になってくれたジェイダ夫人。
でも嫁ぐ前に、天に召されていってしまわれた。
またこうしてお会い出来る日が来るだなんて……
あら……でもおかしいわ。
「ギルバートのパートナーがこんな素敵な方だなんて、母として鼻が高いわ。」
「ジェイダ叔母様もそう思われます?リビア嬢は私の一番の親友ですのよ。」
「王女殿下もご立派になられて。もうすっかり一人前のレディーですわね。」
親戚関係でもある王女殿下とジェイダ夫人の話をそっちのけで私は夫人の胸元を凝視していた。
何故、身につけておられないの?
ジェイダ夫人がいつも社交界で身につけられていたはずの家宝の薔薇の宝石を身につけておられないわ。
大公家が王家から忠臣の証として授かったレッドモンド家の誇りともいえる薔薇の宝石。何百年も前から王家が所有していた神秘の力を秘めたとも言い伝えのあるその家宝。
前の人生ではジェイダ夫人が亡くなった後、私が管理を任されていた。
社交界の場では義務だと言われて薔薇の宝石を半強制的に身につけさせられていたわね。
薔薇の宝石は身につけてこそ価値があるという言い伝えがあったから、それに従って家の奥にしまっておくことは出来なかった。というのもこの薔薇の宝石、歴史の中で何度か盗難にあっていたらしいけど、しばらくすると何故か持ち主の王家の元に戻るらしいけれど。
その真相のほどは私も分からないけれど、必ず身につけるべき薔薇の宝石を夫人が持っていないのは絶対におかしいわ。
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