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第五章 拗らせとすれ違いの先は……
【14】
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「奥方様こちらは如何で御座いましょう」
リラによって髪を美しく結い上げられれば何時もよりも数倍見られるようになっております。
「えぇ有難うリラ。そうね華美でもなくそれでいてとても上品に仕上げてくれて本当に嬉しいですわ」
これよりわたくしなんかと比べる事自体が烏滸がましいと思う程に美し過ぎる旦那様の隣へ立たねばならないのです。何と申しましてもわたくしは華美な容姿に恵まれていないだけではなく、旦那様よりも12歳も年上の年増女なのですよ。おまけに二十日ばかりの自由を満喫している間に、わたくしは思っている以上に自分磨きをかなり怠っていた様です。
そう言えばシンディーより毎日色々と注意は受けておりましたわ。
時には問答無用とばかりに浴室へ連れ込まれもしたのですけれどもね。
ですがえーっと、これははっきり言っていい訳です。
はい、ただ魔道具作りが思いの外楽し過ぎた故の弊害……ですわね。
また可愛いゾエラちゃん達との戯れもここにはない穏やかな時間の全てが余りにも楽しくて幸せで、なのに時折旦那様……リーヴィの事を考えれば自分でもよく分からなくなってしまい、彼の事を考えれば考える程に胸がチクチクと痛む様な疼いてしまうと言った不思議な感覚。
その全てに翻弄され気付けば何処にでもいるおばさまへと変貌していたのですよ。
抑々あの時は二度と公爵家へ戻らない心算でしたので、そこは貴族ではなく平民として生きていくのならば不要に飾り立てる必要もないと判断したのです。
ですが公爵家へ連れ戻されて早くも今日で一週間。翌日目を覚ましたのは何とあり得ない事にお昼をしっかりと過ぎておりましたの。勿論隣に寝ていらしただろう旦那様のお姿は当然ありませんでしたわよ。
そこは当たり前ですわね……と言うよりも、彼は本当にわたくしの隣で寝ておられたのかしら?
それともあれはわたくしの都合の良い夢だったのかしら。
リーヴィーにがっちりと、然もまるで大切に愛されているかの様に抱き締められたまま眠っているだなんてきっと、ふふそうきっと夢……だったのでしょう。
本当に何時までも烏滸がましい想いを抱いてはいけませんよヴィヴィアン。
旦那様はサブリーナ嬢と添い遂げられるのですからね。
さて要らぬ考えに耽るのはここまでと致しましょうか。
そうそう翌日遅くに目覚めたわたくしは久方ぶりに、ヴェルレの街に住んでいた時には一度たりとも症状がなかった故にわたくしもコロっと忘れておりましたのですけれどもね。
何と帰宅早々あ、あのっ、そのですね、例の……ですよ。
公爵家より逃走する前によく見受けられた全身の気怠さと共に下腹部のい、違和感でしょうか。旦那様との行為の後に感じる様な秘所の疼きにも似たと申しますかっ、もうそのものって感じの症状に見舞われたのです!!
や、やはりこれは何か女性特有の病なのかもしれません。
はぁ元気だけが取り柄でしたのに、でもこの様な症状なんてそう簡単に誰にも相談出来るものでもないのです。
公爵家のかかりつけ医であられるバークリー医師はそ、その男性で、い、いえいえ男性だから相談出来ない訳では……決して男女差別と言う訳ではないのですよっ。そうなのです。ただお話しする切っ掛けがなくて、そ、それとやはり恥ずかしさも相まった結果、こうして一人悶々とした日々を過ごしているのです。
以前は数日おきだった症状が今では毎日の様にってけ、今朝もなのです。
もう最近では全身の気怠さも然る事ながら下半身の疼きも尋常ではなくて本当に困っています。
な、何かがずっと一日中旦那様のあ、アレの感覚らしいものが残っている……と言う事はです!!
きっと膣に何かしこりが、えぇ一日中感じてしまう程に大きく成長をしたしこりがあるのだと思います。
また気怠さと共に最近は眠気が、今夜は隣国サリス王国より王太子ご夫妻が来訪されたので、陛下主催の晩餐会が催される予定です。明日は王太子妃殿下と視察や慰問があり、二日後にはお茶会にその二日後には皇室主催の舞踏会が催される予定です。
それ故に帰宅した翌日より体調が優れないと言えないままリラとエイミーが主となり、我が公爵家の腕利きのエステティシャン達によって全身を磨かれていく中、不覚にもわたくしは何度も眠りの世界へ引き込まれてしまったのです。
こうして皆が必死に磨いて下さっていると言うのにです。後ほんの少しの間となりますがその間だけでも公爵家の女主人としては実に情けない姿ですね。
あぁそれにしてもやはり眠いです。
い、いえここはしっかり気合を入れなければっ。
今も階下では恐らく旦那様がわたくしの支度を待っておられるのでしょうからね。
予定では後もう少しでをわたくしを地獄へと突き堕とそうとされる恐ろしい魔王様だとしてもです。魔王様の妻として最後まで毅然と、いえここはやはり隙を突いてまた逃げる算段をしておりますよ。
何と申しましたも此度の人生の目的は運命に抗うのをコンセプトにしておりますからね。
「有難う皆、こんなに綺麗に仕上げて貰えてとても嬉しいわ」
「「「いいえっ、奥方様がお可愛らしくまたお美しいからですわっ」」」
「ふふ、何時も有難う」
お世辞でも嬉しいです。
そうしてわたくしは支度部屋を後にすればエントランスへとゆっくり向かう中ふと思い至りました。
そう言えばサブリーナ嬢は一体どうなさったのでしょう。
まさかあれからずっと眠っていらっしゃる訳でもないでしょうしお胎のお子様の成長も気がかりですわね。
わたくしが心配する立場ではない事は十分に理解はしております。
でも……あの様にお元気な令嬢の気配すらも屋敷内にほんの少しも感じないと言う事は一体どうした事なのでしょうね。サリスの王太子ご夫妻の一連の行事が終わった頃にでもウィルクス夫人へ少し訊いてみましょうか。
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