ガチャガチャ戦記～ブラックなスキル持ち達の解放戦争～

第３０話 タイムリミット超えそうです

　光のジニーの目にもとまらぬスピードの斬撃を、リラメイド長がカイルの真横に瞬時に移動し、全ての攻撃を退ける。
　次から次へと迫ってくる。光のジニーの宝剣の斬撃を、リラメイド長が物凄いスピードで防御し続ける。

　真上からの斬撃、真横からの斬撃。　
　リラメイド長の防御は完璧すぎた。

　獰猛な叫び声。
　筋肉が膨張しているのに俊敏なスピードの斬撃。
　
「おかしい、どいう事だ。いくら剣帝だろうとも、これに追いつける訳がない」

　リラメイド長が不適に笑うと。

「カイル様を守るために私はさらに強くなりましたから、あなた達の知っている剣帝はかつての残念な私ですわ」

「スキル：ブレル発動」

　だが、光のジニーが放ったスキル。ブレルは空間そのものをブレさせる物であった。
　
「な……」

　リラメイド長の足が止まった。
　光のジニーの宝剣の刃先ではなく、ミネの部分でリラメイド長が右に吹き飛ばされて、オリハルコンの城壁に激突する。

「お前に用はない、この光のジニーが相手するのはカイル・オリゲートただ1人だ！」

「あ、やば、そうこうしてるうちに、タイムリミットが後１０秒だ」

「しねえええええ」

　カイルがやばそうに呟くと。

　光のジニーの宝剣が誘うとしていた場所に突如モンスターが出現した。
　
【ペナルティー発生　ガロスゴーレムレベル９９９９】

「逃げてください、そいつはレベル９９９９のガロスゴーレムです！」

　近くにいた敵のリリスル隊長と言う奴が叫んだ。
　昔見た事があるとカイルは思い出していた。

　ガロスゴーレムの拳が光のジニーの真上を捕えた。

「ふ、そんな攻撃でえええええ」

　ガロスゴーレムの拳をガードしたことが間違いだったのか、ぐちゃりという生ものが潰れる音を響かせて、光のジニーは死亡した。

「やっぱし、ペナルティーはやだなああああ」

　カイルは倒れているリラメイド長を背負うと。

「よーしガチャさんの配下達、兵士達は任せるから、俺はガロスゴーレムを敵に導くぜ」

　そう言いながら、カイルはバナレス卿がいるであろう場所へと走り出した。

　オリハルコンの城壁の真上だろうと先程認識している。

　地上から跳躍して城壁に上ると。
　そこから、バナレス卿を見つける。

「お前の大好きなリラメイド長だ」

　そう言いながら、リラメイド長をぶん投げる。

「ちょ、くるなああああ」

「って、いきなり投げないでええええ」

　カイルを狙ってガロスゴーレムが噴射口を発射して、空を飛翔している。
　ダメ領主のいた場所に盛大なゴーレムの拳が飛来してくると。

「カイル！」

　リラメイド長の悲鳴が轟いた瞬間。
　オリハルコンの城壁がぶっ飛んだ。

「って、ここオリハルコンだよねえええ」

　バナレス卿が悲鳴を上げている中で。
　そのゴーレムの攻撃を避ける事に成功したカイルは一心不乱にバナレス卿の元へと走り出す。

　リラメイド長はバナレス卿が逃げないようにしがみ付き。

「はなれろおおお、こっちくるなー後ろから化物が走って来てるぞおおおお、バーナード隊長、リリスル隊長、ガンビール隊長、テツロウ隊長はやくなんとかしろおおお」

　だが４人の隊長はオリハルコンの城壁の下にいる。　
　後先程ゴーレムが破壊したのはちょうど階段がある所だったという事もある。

「あ、わし、死んだわ」

　バナレス卿が突然死期を悟った瞬間。

　大地そのものが轟いた。
　それは地震と呼ばれるものだった。
　ガロスゴーレムがよろけて、オリハルコンの城壁から落下する。

「い、命拾いしたああああ」

　そう言いながらバナレス卿はオリハルコンの城壁の外側の梯子からせっせと逃げ出すのであった。

　カイルはリラメイド長に手を差し出すと。

「人を物みたいに投げないでください」
「いや、なんとなく驚かそうかと思ってさ、バナレス卿には逃げられちゃったし、ガロスゴーレムでも倒すとするか」

　そうして、兵士達がガロスゴーレムに阿鼻叫喚させられながら、撤退をしていく姿を眺めながら。
　今回で２度目のペナルティーボスモンスターを討伐するのであった。
　ガロスゴーレムを討伐は滅茶苦茶大変で、三日三晩飲まず食わずの戦いとなった。

　ガロスゴーレムが討伐された後、ジスタ領地はジスタラン王国と言う名前に任命された。
　と言うか勝手にそう名付けられた。
　バナレス卿は殆どの兵士を失い、１２翼までも失い。
　王者ラバーンはカイル・オリゲートを逆賊として任命して。
　
　事実上ジスタラン王国は独立国家となる。
　だが、アララスタ王国は現在、ファイガスタ帝国の猛攻撃にさらされそうになっており、ジスタラン王国討伐が出来ないでいた。

「と言うのが事のあらましですね」

　お茶を飲みながらジーバ執事長が教えてくれた。

「いやー大変だったなー三日三晩のガロスゴーレム討伐は」

「あれはもうやりたくないでしょうね」

「後、氷の大地にて、見つけられた異世界の扉２個が開かれたそうです。そこから謎の人物達がこの世界へ来訪したのですが、ちょうどジェイグルンド共和国の伝説の勇者がいなかったそうですよ」

「そんな恐ろしい事があったんだなぁ」

　カイルはお茶を飲みながらそんなことを聞いていたのだが。

「あの大地震ですが、ゴミ王国が発端らしいですね」

「へー」

「何が起きたのやら、とても興味深いですが、今ゴミ王国はとても大変な時期だそうです。ではお片づけを」

　ジーバ執事長が去っていくと。
　カイル・オリゲートはただぼんやりと、クエストガチャがこないかなーと期待するのであった。

　そこへリラメイド長が来た。

「ちょうどさっき、ジスタラン王国に不思議な人が来てたけど、なんだかスライムを纏ってたみたいで」

「それって、まさか！」

　カイルの脳裏によぎった噂の主。
　かつて知り合いだった。ロイ・ゴッド・エルレイムではないだろうか。
　噂ではスライムの力を手に入れたとかないとか。

「今すぐ探せ！」